権力者たちのバトルロイヤル第32回: ディープステートとは「何か」

西本頑司

・今、陰謀論が広まる理由

2022年、世界はどう動くのか。

それを理解するには、 いわゆる「ディープステート」から始めなくてはならない。こう書けば眉をひそめる読者もいよう。だが、この「陰謀論」が強い影響力を持つようになっているのも事実なのだ。

昨年3月、筆者はディープステートの最新情報をまとめた書籍『世界の黒幕・闇のパワーランキング』(宝島社)を手掛けたが、これはタイトルからわかるよう、陰謀論好きのマニア向けである。そんな本が発売直後からアマゾンの総合2位となり、1週間にわたってトップテンをキープしたのだ。コロナ禍以降、読者層に変化が起こり、陰謀論が急速に一般化してきたことを改めて実感させられた。

この傾向は欧米社会の市民層にはより顕著で、海外のムーブメントに引きずられ、日本でも若い層の間で「ディープステートは存在する」「人類を大量虐殺する陰謀を企てている」と信じられるようになってきたようなのだ。

もともと日本では、ユダヤ金融資本やフリーメイソンの「秘密結社」が世界を裏で牛耳っているといった陰謀論は、マンガや小説の定番ネタとして扱われてきた。ただし、その背景はフィクションに限らず、実は第二次世界大戦前、欧米列強との戦争のために「欧米の特権階層」の研究が軍や大学で極秘裏に行なわれ、相当、詳しい実態を掴んできたことがある。それで、戦後も政治家や企業家、知識層の一部では、今でいうところのディープステートの存在を「重要情報」として受け継いでおり、それらがネタとしてエンタメへと流れていたわけだ。

とくに第四インターナショナル日本支部長だった故・太田龍氏は戦前からの「欧米の特権階層研究」を引き継ぎ、このジャンルの世界的なオーソリティとなった。ユダヤ陰謀論やフリーメイソン悪の結社説は、実は日本からの発信だったのである。

その意味で40代以上の多くの人は、この手の情報に耐性があるといえる。しかし、陰謀論への耐性がなかった欧米市民層や日本の若い層は、ドナルド・トランプ米政権の17年以降、一気に広まった「ディープステート情報」に強い衝撃を受け、宗教的な熱狂と使命感で行動するようになっている。

Norcross, GA, USA – October 10, 2015: Presidential candidate and Republican party nominee Donald Trump giving a speech at a rally in Georgia

 

今後の世界情勢は、もはや「ディープステート」抜きには語れなくなった。そして、その熱狂がディープステートに関する詳細な情報へと繋がってきた。

今回は、改めてディープステートとは「何か」を、これまで“陰謀論”として流布されてきた“情報”に従って解説してみたい。

・「13血脈」とFRB

ディープステートを定義するならば、「13血脈」と呼ばれる欧米の王侯貴族や特権階層の世界支配を実行する「裏組織」となろう。

13血脈は、4世紀のローマ帝国内でキリスト教を「国教」にしたベネチア貴族をルーツにしている。宗教によって巨大な覇権国家を動かし、「神の言葉」を使って大衆を管理してきた勢力と言い換えていい。バチカンを中心にカソリック「ローマ教」は自分たちが作ったと豪語し、ローマ帝国崩壊後は、ゲルマン諸国家の王侯貴族として散らばり、近世までローマ教による支配を行なってきたという。

大航海時代、「太陽の沈まぬ国」となったスペインがイエズス会を通じてアジアへの進出を図ったのも、宗教による全世界の支配が目的だった。しかしインドやアジアでは布教に失敗し、イスラム圏との対立、プロテスタントとの宗教戦争によって「ローマ教による世界支配」の目論みは不可能となった。

そこで13血脈は、その時代の覇権国家乗っ取りに方針を変更する。その実働部隊として生まれたのが「ディープステート」という構図となる。

18世紀、産業革命で新しい覇権国家となった大英帝国では、ロスチャイルド家当主のネイサンメイヤーが、当時、最強の国際基軸通貨であったポンドの発行権を奪い取ることで実質的な支配権を得た。

Antique black and white photograph of New York: Rothschild Building

 

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西本頑司 西本頑司

1968年、広島県出身。フリージャーナリスト。

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