権力者たちのバトルロイヤル第32回: ディープステートとは「何か」

西本頑司

同様に20世紀の覇権国家アメリカでは、ドルの発行権を13血脈が支配するFRB(連邦準備理事会) の形で乗っ取る。事実、FRBは民間銀行の連合体であって、アメリカ政府の国家機関ではない。これはドル発行に必要な「 金( ゴールド)」 を用意できなかった(させないようにした)米政府に代わり、兌換用の金を準備したのが民間銀行であり、その金を提供したのが13血脈だったためだ。

The United States Federal Reserve building in Washington DC, USA.

 

その証拠にドルの発行は米政府が国債を発行し、それをFRBの米連銀が引き受けて、額面分のドルを米政府に引き渡している。ドルは通貨ではなく「国債引き替え証書」であり、金との兌換もFRBが管轄するために、米政府は自国通貨の「ドル発行」に一切、関与できなかった。

超大国アメリカのドル発行権を奪い、「99%の富を1%の層が握っている」という状況を作り出したのが、ディープステート(闇の政府)の大統領、通称「ピンダー」のデイヴィッド・ロックフェラーだった。

1972年のニクソンショックで金兌換を廃止したあと、ドルを「石油交換券」にした張本人で、そのために冷戦や共産ゲリラでマッチポンプを行なっては、世界最大の米軍と息の掛かった巨大メジャー企業で世界中の重要な資源をことごとく押さえてきた。

ロックフェラーによる支配は、支配によって搾取されていることすら気付かせないほど狡猾なものだったのだ。

・ハルマゲドン

ディープステートの存在が「危険」になったのは、デイヴィッド・ロックフェラーの引退が迫った2000年直前のことだった。

21世紀の支配体制を巡ってディープステート内で権力争いが起こったためである。便宜上、「左派」とするが、こちらは発展するITを使い、地球全体を「人間牧場」とし、より徹底した管理体制と搾取をして「劣等種」は断種する方針を出す。コロナウイルスのパンデミックで、ワクチン接種の財団を作ったビル・ゲイツが“人口調整”の犯人扱いされたが、その背景にこの左派の政策があったのだ。

一方、「パパブッシュ」ことジョージ・H・W・ブッシュ元米大統領が率いる「右派」 は「 NWO( ニュー・ワールド・オーダー)」を掲げる。この政策を簡単に述べれば、ローマ帝国時代のように唯一絶対の神のもと、1つの国家と1つの宗教で、すべての人類が「神と契約」する。そしてディープステート=13血脈は、神の代理人となって世界を管理するというものだ。この「1つに束ねる」ことをラテン語でファッショといい、ファシズムの語源でもある。自分たちの原点に戻ろうと主張したこととなろう。

とはいえ科学と文明が進んだ21世紀、すべての人類が「一つの神」に帰依し、神の言葉で動くとは思えまい。だが、もし人類が滅亡するような危機的な状況に陥り、その危機を「神」が救済したとすればどうだろうか。イエス・キリストに代わる「メシア」が誕生すれば、残された人類は、この新たな神を信じ、新たな聖書を受け入れるのではないか。

こうして右派はオペレーション「ゴク&マゴク」を発動する。聖書エゼキエル書38章には「神への反逆軍ゴクがマゴクの地(中東)に集まり、イスラエルに攻めたとき『終末の日』となって最後の審判=ハルマゲドンが起こる」とあり、有名な「ヨハネの黙示録」やコーランにも同様な記述がある。キリスト教圏やイスラム圏では馴染みのある「ハルマゲドン物語」を現実に起こそうとしたというのだ。

右派・左派の対立は2000年の米大統領において、右派のジョージ・W・ブッシュと左派のアル・ゴアの代理戦争となり、最終的に右派が勝利する。そしてブッシュ政権は9・11を引き起こし、戦時体制を築いてアフガニスタンに続き、イラクへと攻め込んだ。当時も「どうしてブッシュ政権は、あれほど強引なまでに戦争を仕掛けたのか」と疑問の声が世界中で挙がったが、イラク占領後、次にイランを追い詰めて関係の深い中国とロシアへと泣きつくよう仕向ける。このイラン・中国・ロシアを「悪の枢軸」という「ゴク」にし、イスラエルへと侵攻させる。そうして聖書通りに中東で全面核戦争という名の「ハルマゲドン」を引き起こす計画だったわけだ。

このイラク戦争以降、「9・11はブッシュ政権による自作自演テロ」「ビル・ゲイツはワクチンを使って人類の間引きを考えている」「ジェフリー・エスプタインはカリブの島に児童性愛の秘密クラブを作り、そこにセレブを集めて児童を虐殺し、生き血を飲んでいる」といった陰謀論が突如、噴出するようになった。

これは、イラク戦争においてブッシュ政権が本気で全面核戦争を起こそうとしていることを知った米軍上層部がディープステートの危険性を認識し、意図的に情報をリークするようになったからといわれる。同時に「神の反逆軍」とされた中国とロシアの軍当局も、反ディープステートのために米軍と連携して、この中東発の全面核戦争阻止に動いたとされる。

 

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西本頑司 西本頑司

1968年、広島県出身。フリージャーナリスト。

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