権力者たちのバトルロイヤル第32回: ディープステートとは「何か」

西本頑司

・ウイルスシミュレーション

核戦争計画が阻止された2010年、次なる陰謀が動き出す。

その中心人物はデイヴィッド・ロックフェラーの後継者となったデイヴィッド・ロックフェラー・ジュニアである。この計画は「オペレーション・ロックステップ」と呼ばれ、10年、ロックフェラー財団から「新型ウイルスの世界的パンデミックが起こった際の社会変動」を予測したシミュレーションが“犯行予告”のように発表されるのだ。

その内容は「新型ウイルスの世界的なパンデミックが発生した場合、多くの国家は国民や企業の活動を強圧的に制限し、国家による統制を行なう。収束後も統制はより強化され、世界各国は計画経済と全体主義へと移行する」というものだ。新型コロナの発生から被害の拡大と規模、どんなパニックが起こり、どのように国家統制をするのかが、20年からの状況を見てきたかのように書いている。

つまり、新型コロナのパンデミックは、この「ロックステップ」に基づいた陰謀ではないか。ワクチン接種した21年以降、欧米先進国のアメリカやEU、日本などで、強圧的な政府が誕生し、全体主義の独裁体制となって国民の人権と自由を奪い、多くの企業が強引な手法で国家の管理下に入るのではないか。そして最終段階では、やはり全面核戦争を起こし、人工的なハルマゲドンを起こすのではないか……。

ディープステートの陰謀を信じる人たちは、そんな「ストーリー」を受け入れている。そう考えれば、コロナ禍への対応やワクチン接種に関する過激な行動も理解できよう。

実際、この反ディープステートの盛り上がりのピークとなった昨年9月以降、ディープステート側と目された権力者たちが相次いで失脚した。日本では安倍晋三の傀儡政権(菅義偉)が倒れ、アンゲラ・メルケルの与党も選挙で敗北した。カナダのジャスティン・トルドー首相やフランスのエマニュエル・マクロン大統領の失脚も秒読み段階に入った。ジョー・バイデン政権もレームダックとなり、ワクチン利権に加担したインドのモディ首相も支持率が64%から24%まで下落。信者たちに「ワクチンを打て」と言い出したフランシスコ教皇も、名指しで批判の声が出るほど求心力を失っていった。

ディープステートの中核メンバーとされてきたビル・ゲイツは離婚し、ロスチャイルド家当主ベンジャミン・ド・ロスチャイルドは21年1月に死亡の発表、ジョージ・ソロス、ジェイコブ・ロスチャイルドなど、続々と表舞台から消えている。

そして2022年、前号で紹介した「米中同時破綻」は、ディープステートの根拠地のアメリカと、富の源泉であるドルを崩壊させる一方、中国が暴走しないよう不動産バブルで動けなくする……というディープステート関連の最新情報が元ネタとなっている。「信じるも信じないもあなた次第」とはいえ、侮れない“情報”となっていることは間違いない。

(月刊「紙の爆弾」2022年2月号より)

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西本頑司 西本頑司

1968年、広島県出身。フリージャーナリスト。

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