【連載】週刊 鳥越俊太郎のイチオシ速報!!

第12回 「反撃能力が必要」とか「敵基地攻撃能力」「崩れゆく専守防衛」(敵基地攻撃能力)ここ数日新聞に踊った見出しだ/ほとんどの日本人は気づいてはいない!これは戦後77年目の重大な別れの刻なのだ!!

鳥越俊太郎

週刊 鳥越俊太郎のイチオシ速報!!
https://foomii.com/00190

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私はこの夏から秋、冬にかけて、大変沈鬱な気分から抜け出せないでいる。

勿論82歳という高齢の身だ。身体の各所で死への「overture」(序曲)が始まっている。そこからさざ波のように押し寄せる、これも沈鬱な気分だ。

だがこれは違う。

日本がもうすっぱり縁を切ったはずの他国との戦争の影がかなり真実性を帯びて日本の政治の舞台に立ち現れている。

それなのに日本の新聞やテレビといったメディアは、というよりそこで働く記者達にはほとんど「歴史観」が欠けているのだろう。

読者に、いや日本の国民に今日本の政治は戦後77年間大事に守ってきたある一線を越えようとしていることを正面からキッチリと告げなければならないはずだ。

しかし、今の記者達にはある重大な事実──明治維新から第二次世界大戦終結までの77年と終戦から今日までの77年を日本の一つの歴史として総括してみる「歴史観」はない。

あるのは「敵基地攻撃能力」とか「『反撃能力』公明容認へ」と言った断片記事を書き散らかしているだけだ。

「歴史観」を共有する記者ならば、今日本の政治が踏み渡ろうとしている危険な一線についてもっと危機感と怒りを込めてもっともっと多くの、溢れんばかりの原稿を書いてほしい。

しかし、記者達は淡々と断片ニュースしか生産しない。

例えば直近で言うと、11月26日(土曜日)の朝日、毎日、東京三紙の記事を見比べてみよう。

まず朝日新聞から。

1面にこう言う3段見出しの記事がある。

「敵基地攻撃能力の明言」
政府案「与党、来週にも合意」

一般読者には、これだけでは全くわからないだろう。少し記事の引用をする。

「敵のミサイル発射拠点などをたたく『敵基地攻撃能力(反撃能力)』について、政府は25日、安全保障関連3文書の改定に向けた自民、公明両党の実務者協議で、『必要最小限度の措置として行う』などとした政府案を説明した。両党は来週にも敵基地攻撃能力の保有について合意し、政府が年内に改定する安保3文書に盛り込まれる見通しになった」。

この記事の後には「??4面=論点山積み」とあるので、先の記事だけでは理解できない論点が多くあることがわかるが、それは後述する(止めた)では毎日新聞はどう報じているか、見ておきたい。

11月26日の毎日新聞は2面に3段見出しでこう報じている。

「『反撃能力』公明容認へ」
「抑止力強化に有効と判断」

記事の一部を引用する。

「公明党は、相手国のミサイル発射拠点をたたく反撃能力(敵基地攻撃能力)について、政府が保有することを容認する調整に入った。党関係者が25日、明らかにした。北朝鮮や中国のミサイル能力向上などを踏まえ、抑止力の強化に有効と判断した。

この後に(5面に関連記事)とある。

毎日もこの問題はストレートニュースだけでは説明できないと踏んで5面で関連記事のコーナーを設けている。これも後述しよう。(やめた)。

さて東京新聞はどうか。
3面に2段見出しでこう報じている。

「『反撃能力必要』
「政府が初提示」
「自公の実務者、議論着手」

東京新聞も記事内容は同じなので引用は控える。

私の理解の範囲内で少しわかりやすく説明するとこうなる。

用語の問題点はいくつかある。
1.反撃能力
2.安保関連三文書の改定

そもそもの始まりは昨年12月岸田総理の演説。「新たな国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛力整備計画を、おおむね1年をかけて策定します」と述べたのが始まり。ま、簡単に言うとこの三つの文書を作り直して、日本の防衛力を強化したいと言う訳だ。

その1年の期限が迫ってきて自民、公明両党の間で議論のポイントが明らかになってきたという。

それでは肝になる言葉をあげておこう。

自民党の部会では当初使われていた言葉は「敵地攻撃能力」だった。この言葉は「不戦」「専守防衛」を謳った日本国憲法とはあまりにも違い過ぎて、自民党内部から「これじゃ拙いぞ」と言う意見が出て最終的には「反撃能力」と言う曖昧な表現に変わった。

しかし、中身は同じとする新聞各社の表現はどの新聞も「反撃能力」(敵基地攻撃能力)とするか、「敵基地攻撃能力」(反撃能力)と言葉は違えど中身は同じとする立場だ。

しかし、ここが大事なところだ。

敵基地攻撃能力とは何か?

敵(相手国)が日本を攻撃する動きを事前に察知して、その攻撃力、例えばミサイル基地をたたき、破壊する。それで日本の安全は守られるというものだ。

ただ、先制攻撃は国際法違反になるためいやいや先制攻撃はしないよ、先制攻撃の能力を持つことが相手国の動きを抑える、つまり「抑止力」を保持でき、これが日本の安全保障になると言う理屈だね。

これは戦争したくてうずうずしている連中とちょっと二の足踏んでいる連中の妥協の産物だけど、現実には防衛費が増え日本のミサイルなど武装化が進むんだね。

毎日新聞の記事はそのあたり、公明党に焦点を当てて書いている。

「石井啓一(公明党)幹事長は25日の記者会見で、反撃能力の保有について『抑止能力の強化が最大の目的だ』と理解を示した。迎撃のみではミサイル防衛は難しくなっているとの認識を示し、『しっかりとした【反撃能力】があると示しておくことが、結果として攻撃を抑止する』と強調した。

政府は反撃能力の保有に向け、憲法や国際法などに基づき①反撃能力を含む武力の行使には国会承認が必要②国際法違反の「先制攻撃」はしない③相手国への攻撃は必要最小限度にとどめる──ことを原則とすることを検討する」

ちょっと待て待て!

政府は「必要最小限」と限定しながらも「相手国への攻撃」を公言したのか?

日本は太平洋戦争を最後に二度と戦争はしないと誓ったんじゃなかったんですかい????それが、毎日新聞の記事では、ただ「政府は」としか書いていないので政府の誰がこんな暴言を吐いたのかな?

しかし、これでよく分かったよ。

自民党も公明党もそして日本政府も、他国を攻撃する武装を「議論する」という名の下にスタートさせているのだ。

「反戦」と「非戦」を誓った戦前(昭和15年)生まれの私には到底受け入れ難い理屈だ。

先に朝日、毎日両新聞の受けの記事を後述すると書いたが、省略する。

要するに日本は今政治家(自民、公明)政府官僚、メディアも日本攻撃を抑止するとの名目があれば他国との戦争は許されるとの線までじわりと動いている事実だ。もう一つ言えばそうした政治家を許し受け入れている日本の国民も同じだ。
じわりと動いている。

私はいかなる場合も戦争はしない。絶対的な反戦、非戦派だ。

空襲の警戒警報のサイレンが鳴り響く中、防空頭巾で身を固め、幼稚園から自宅土間にあった防空壕に逃げ帰っていたあの日、あの時。
私の体が反応する。

他国を攻撃すれば、いずれ日本も攻撃される。それが現代の戦争の実態だ。

戦争知らないで育った幸せな世代のあなたならどうする????

(2022年11月28日)

 

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鳥越俊太郎 鳥越俊太郎

1940年3月13日生まれ。福岡県出身。京都大学卒業後、毎日新聞社に入社。大阪本社社会部、東京本社社会部、テヘラン特派員、『サンデー毎日』編集長を経て、同社を退職。1989年より活動の場をテレビに移し、「ザ・スクープ」キャスターやコメンテーターとして活躍。山あり谷ありの取材生活を経て辿りついた肩書は“ニュースの職人”。2005年、大腸がん4期発覚。その後も肺や肝臓への転移が見つかり、4度の手術を受ける。以来、がん患者やその家族を対象とした講演活動を積極的に行っている。2010年よりスポーツジムにも通うなど、新境地を開拓中。

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