【特集】新型コロナ&ワクチン問題の真実と背景

インド、2重株で世界最悪、酸素欠乏で司法が行政に戒告、再封鎖も

モハンティ三智江

予想通り、インドの1日当たりの新規感染者数が2022年4月22日、アメリカで1月に観測された29万7430人の最多記録を抜いて、31万4835人と世界ワーストに躍り出た。

同年4月24日現在は新規34万7000人(累計1660万人、死者19万人、新規死者2624人)と勢いは止まらず、これは1分間に陽性者240例、1時間に死者100人という恐るべき割合だ。60日内に新規ミリオン超の予測もなされており、空恐ろしい限りである。

首都デリー(Delhi、累計98万1000人、死者13541人、新規2万4331人)では、医療酸素不足でパニック状態、州政府が中央政府に緊急要請するも、ガンガー・ラム・ホスピタルで25人、ジャイプール・ゴールデン・ホスピタルで20人ほか、計6病院で多数の死者が出た。

医療機能が麻痺寸前で、病床逼迫(ICU99%占有)、患者2人が1つのベッドに横たわっての酸素吸入や、廊下にもストレッチャーや簡易ベッドが溢れ出している。各州の病院や個人からの酸素供給のSOSが殺到し、未曾有の緊急事態に瀕している。

グジャラート州(Gujarat、累計46万8000人、死者6019人、新規1万3804人)のアーメダバード市(Ahmedabad)の市民病院前には、80台もの救急車が列をなして順番待ち、赤信号点滅の各州はまさしく、カオス状態だ。

バーラト・バイオテックが開発したインド国産ワクチン、コバキシン(Covaxin) は、トリプル変異株にも有効といわれるが?ワクチン不足を受けて、目下増産中。値段は州政府向けに1回600ルピー(1ルピー=約1.4円)、私立病院には1200ルピー。ちなみに、モディ首相が2回接種完了したのは、国産のコバキシンだった。

 

最悪州マハラシュトラ(Maharashtra、累計416万人、死者6万3252人、新規6万6836人)では21日、州都ムンバイ(Mumbai)の北200キロに位置するナシック(Nashik)のザキール・フセイン病院で、駐車中の車両から酸素漏れ事故が起こり、コロナ重症患者の人工呼吸器への供給が絶たれ、22人が死亡した。

一方、マハラシュトラ、ケララ(Kerala、累計135万人、死者5055人、新規2万8447人)、カルナータカ(Karnataka、累計127万人、死者1万4075人、新規2万6962人)に次いで、タミルナドゥ(Tamil Nadu、累計105万人、死者1万3395人、新規1万3776人)、ウッタルプラデシュ(Uttar Pradesh、累計101万人、死者1万0737人、新規3万6605人)がミリオン州にランクインした。

各州でワクチンやレムデシベル(Remdesivir)薬剤が不足しているが、製造会社がこっそり貯蔵していたり、ストックして値を釣り上げる闇市場の横行が憂慮されている。中央政府は、各州に闇売買の監視を強化するよう強く要請した。

政府は急遽5月1日から、18歳以上の全国民にワクチン接種を認可、また各州が直接製造会社からワクチンを買い付けることを許可した。

ここまで爆発しては、開発まもないワクチンに頼るしかなく、接種加速に向けての、自由化である。今現在1億3000万回超に達したが、2回完了したのは、13億5000万人以上という膨大な人口からすれば、わずか1.4%だ。

マハラシュトラ州政府は、18歳から45歳までの全州民に無料接種を実施中で、当オディシャ州(Odisha)政府も25日、2000クロール(約280億円)の予算で同様の無料接種を5月から開始することを公表した。

ワクチン不足が深刻化する中、自国優先でワクチンの原材料の輸出を渋っていたアメリカ政府も、インドよりの批判の声が高まるにつれ、モディ(Narendra Damodardas Modi)首相曰くコロナストーム、荒れ狂う感染の嵐を見過ごせず、ようやく原材料はじめの医療機器や防護服の輸出支援に乗り出した。

誰もが予想だにしなかったメガ第2波に、全土は大わらわだ。第1波中は、膨大な人口の割に、日当たり新規数が奇跡的に最多10万人を超えず、致死率も低く、欧米に比べると、健闘していたため、油断したのである。

TSUNAMI(ツナミ)級再拡大の裏には、ワクチン開始以降の大幅な緩和政策(クンブメーラなどの大型宗教行事や政治集会の許可)やルール無視の気の緩みもあるが、二重変異種(B.1.617)というインド特有の変異株の感染力の強さが主因との見方が最近になって有力視されている。ひとつのウイルスにふたつの変異が起こる二重どころか、トリプル株も西ベンガル州(West Bengal)で見つかっており、感染力が増強、歯止めが効かない状態た。

野党・国民会議派(congress I)の前総裁、名門政治家一家の長男(暗殺されたラジブ・ガンジーとイタリア出生未亡人かつ現総裁ソニアの息子)、ラフール・ガンジー(40歳)の陽性が発覚。先にマンモハン・シン前首相(88歳)が感染を公表していたが(改善中)、接触関連か。与党・インド人民党のコロナ敗戦は、2016年の廃貨失策と並んで、格好のサンドバッグだ。

 

酸素不足問題については、見かねた司法が介入し、行政を叱咤、最高裁の詰問に中央政府が返答に窮するひと幕もあった。首都デリーの高等裁判所でも、中央政府と州政府が責任のなすり合いをしている場合でなく、酸素不足を喫緊に解消し、人命を尊重するよう厳しい戒告を垂れた。

当座産業用の酸素で代用、埋め合わせることになったが、当オディシャ州首相、ナビーン・パトナイク(Naveen Patnaik)は、モディ首相に率先して酸素供与の申し入れを行なった。オディシャ州は資源豊富で、ラウケラ鉄鋼プラントらの産業用酸素をあてにしてのことだ。早速中央政府から軍用機で搬送された15台の空タンクに250トン満たされた酸素が、州外の6都市にトラック輸送された。

 

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モハンティ三智江 モハンティ三智江

作家・エッセイスト、俳人。1987年インド移住、現地男性と結婚後ホテルオープン、文筆業の傍ら宿経営。著書には「お気をつけてよい旅を!」、「車の荒木鬼」、「インド人にはご用心!」、「涅槃ホテル」等。

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