第2回 安倍晋三の射殺と三代の腐れ縁①
政治※本稿は「『オリンピック青春記』の追補:(2022年版のReprise)」を訂正加筆したものである。
安倍が銃殺されたが背後に統一教会があり、祖父の岸信介が作った「国際勝共連合(IFVC)」が控え、文鮮明教祖の野望にどう結ぶかに関し、この「追補」を使い解析するプロセスに移る。『Mountains of Dreams』の「あとがき」で指導性のなさに触れ、安倍の国家主義者としてのナチス的な危険性に関し、次のように指摘して置いた。
<・・・・安倍はナショナリストであり、核武装に熱心な軍国主義者である。しかし、彼は行政の基本的な管理訓練を受けていないし、先進国日本のリーダーになるための大臣の経験や技能もない。安倍首相はマスメディアでの人気で栄え、政治での成功は従順な笑顔と空虚な脅しに基づいている。安倍首相は政治的なパフォーマンスと経験が乏しいにもかかわらず、北朝鮮に対して過激なショーを見せている。観客を魅了するために罵倒と堅苦しい態度をとり、常に一族の政治的記録を掲げている。
…… 日本政府は歴史的に見ると、大日本帝国の軍備拡張に対する民衆の支持を得るために、国家神道のイデオロギーを推進した。この国家神道への支持の一環として政府は19世紀末に靖国神社を建立した。この新しい国家イデオロギーには、ナチスがアーリア人種として優れていると信じたように、日本人は他の民族より優れているという教義が含まれていた。
・・・残念ながら、最近の日本の政治家は靖国参拝が、国際的なレベルでどのような深刻な結果をもたらすかを理解できないでいる。このような日本の政治状況は非常に危険である。
自民党と創価学会を母体とする自公両党による連立政権は、ナチスのような専制的な性格をはっきりと示している。1936年のベルリン・オリンピックの時に似たメンタリティーを彷彿とさせる、・・・(中略)・・・靖国カルトの夢は日本を戦前の帝国主義体制に戻すことである。しかし、1930年から2000年にかけて、永劫回帰のサイクルが政治に響いていたとしたら、次の世代の私たちの未来は決して良いものではないだろう。……>
このように総括してから安倍がファシストで靖国カルトだと規定したが、靖国カルトの実態としては、創価学会、日本会議、統一教会がカルト三角形を作り、安倍はその中心に陣取っていた。創価学会はフランスではセクトに指定され、危険な狂信団体の扱いを受けており、統一教会はMoonieと呼ばれコリアゲート事件を起こし、国会議員への買収工作が発覚して1970年代の米国を震撼させた。
コリアゲート事件はビジネスマンを装った、KCIA要員である朴東宣が駐韓米軍の撤退阻止のために、下院議員の買収を試みて選挙資金を提供した汚職事件として知られている。逮捕された朴東宣は安倍晋太郎と親しく、刑務所を出所してからは息子の安倍晋三に対してロスで面倒を見ていたが、中東やラテンアメリカに幅広い人脈を持つフィクサー的な人物である。
当時の安倍晋太郎は政調会長だがカネがなく、信奉者の朴東宣を通じて統一教会から支援を受け政治資金を作っていたし、地元のパチンコ業者から下関の選挙区を支えて貰った。だが、妻の洋子の父親は首相をやった岸信介で、文鮮明とも親しかったから、岸は笹川良一と手を組み、統一教会の突撃隊として勝共連合(IFVC)を発足させ、自宅の敷地内に事務所を開き反共運動の拠点にした。
笹川良一は戦前の国粋大衆党を組織しファシスト運動を指導した右翼の総帥で、ムッソリーニの崇拝者としてローマに飛び、飛行機をムッソリーニに贈呈しそれを宣伝に使ったことで名を上げた。敗戦でA級戦犯容疑者として岸と共に3年監獄に収容され、東条英機など七人が絞首刑になった翌日、岸や笹川は放免になったが、背後にはCIAの特別な措置があった。
岸と笹川は反共主義者で、岸は政界に復帰して首相になり、笹川はギャンブルの帝王として競艇を支配し、戦後日本の闇の世界に君臨して日本財団を作り、ニクソンと親しく日米間のフィクサー役を果たした。朝鮮戦争後の復興利権で岸と笹川は朝鮮半島に進出し、そこで文鮮明との出会いを持ち、反共思想で意気投合して統一教会の日本進出に協力したとしても、国際情勢からして不思議ではない。
統一教会を論じるには教祖の文鮮明について、その人物と思想を知る必要が不可欠であり、戦前の早稲田の工専で電子工学を学んだ、日本通という事実から始める必要がある。なぜならば、戦時中の日本に住み被支配者の立場から観察して、軍国主義の実態を知り尽くし、日本人の強みと弱みに関して熟知する人物だからである。
戦前の在日朝鮮人は日本人扱いを受けても差別され、日本人に対しての恨みの感情は朝鮮文化に根差している、恨に基づくルサンチマンが意識の深層に沈積している。だから、それが反日感情としてカルトの統一教会の教義に反映し、執念深い怨念の気分が息づき日本への復讐心の形で燃えているが、日本人はそれに気づく能力に欠けている。
教祖の文鮮明は北鮮系の韓国人だが、自分はモーゼの生まれ変わりで地上に再来したメシアだと称して、呪術系のカルト教団を組織し、キリスト教では異端に属す新興宗教の教祖になっている。淫姦罪で逮捕された文は二年間ほど北朝鮮で服役し、朝鮮戦争の時に解放されて韓国で布教を開始したが、1954年にソウルに本部を持つ統一教会(Moonie)を設立した。
文鮮明が北朝鮮で学んだのがマインド・コントロール術で、朴正煕政権の時代に勢力を拡大した統一教会は、反共思想で武装して日本に進出を果たし、岸信介元首相の屋敷内に勝共連合(IFVC)の本部を作った。そして、カルトの生長の家から久保木修己をスカウトし、初代会長に据えると共に右翼のボス笹川良一を名誉総裁にして、自民党の別動隊の形で反共活動を担当させ、日本の政治に強い影響を与えた。
統一教会の教義には、半島の韓国はアダムだから男性のペニスを象徴するし、島国の日本はイブの国で女性の性器を表すので、イブはアダムに奉仕して全身を捧げる必要があるとする。それを儀式化したのが独特な合同結婚式であり、教祖が決めたカップルは式の当日に相手を始めて知り、日本人の女性は花嫁として韓国人の男の十倍の費用を払い、韓国の田舎で家庭を営む形で人身売買が宗教の名で実行されている。
経済成長期の日本を舞台に使い、霊感商法や合同結婚式で資金を蓄積して米国に進出した統一教会は、大量の米国議員を買収したコリアゲート事件を起こし、Moonieとして悪名を轟かせた。下院の『フレザー報告書』にその経過が詳しいが、「文鮮明の組織が目指す目標は国家と教会の分離を廃止し、統一教会の信徒によって統治される、世界政府の手で統一政権を樹立する」と書いてある。
これはブッシュ大統領(父)が主張した、「新世界秩序(NWO)」に通底する反共の政治思想であり、朝鮮半島は第三のイスラエルであり、朝鮮語は世界語になるし韓国人が世界を支配するとも言う。また、CIAが統一教会を設立したが、コリアゲートの主役の朴東宣は安倍晋太郎の支援者であり、妻の安倍洋子は岸信介の娘で、次男の安倍晋三の母親でもある。
フリーランス・ジャーナリスト。『皇室の秘密を食い荒らしたゾンビ政体』『日本に巣食う疫病神たちの正体』など著書多数。海外を舞台に活躍する。