ジョー・バイデンは米国が本当にロシアのレジームチェンジを望んでいると伝えた(後)
国際ワシントンもウクライナの人道的窮状を強調する一方で、その状況を改善するのではなく、悪化させようと積極的に動いている。
米国は、戦争を早期に終結させるためには避けられない譲歩をウクライナに思い止まらせる中心的な役割を担っているように思われる。米国を中心とするNATO諸国が行ったことは、ロシア軍に対抗するための武器をウクライナに氾濫させることだったからである。
現実は覆され、メディアは、ウクライナにもっと大きな武器を提供すれば、戦闘を長引かせ流血を増やすのではなく、人命を救うことができると主張している。
・経済戦争
以前シリアで起こったように、ワシントンは徐々にウクライナを代理戦争状態にしようとしている。
その目的は、ウクライナの苦境を和らげることでも、両者を交渉のテーブルにつかせることでもなく、米国がシリアで、そしてそのずっと前のソ連時代にはアフガニスタンで部分的に成功したように、モスクワから人材、火力、財力を消耗させることで、ロシアにとってもう一つの泥沼にすることである。
このような世界的なライバルに対する考え方は、ワシントンでは古くからある。1941年、ハリー・トルーマンは大統領になる数年前、第二次世界大戦におけるアメリカの目的を、ドイツとロシアの両方に血を流させることと表現した。彼は「もしドイツが戦争に勝っているとのなら、我々はロシアを助けるべきであり、もしロシアが勝っているならば、我々はドイツを助けるべきである。そうすることによって、彼らにできるだけ多くの人を殺させるようにするのだ」と述べたのである。
現在現出しつつあることは、ウクライナを戦場とし、ウクライナ人がその代償を払う形で行われる安上がりなNATOの対ロシア戦争なのである。さらにワシントンにとって有利なことは、他の核保有国との直接対決を避けながら、ウクライナでロシアを軍事的に弱体化させることができるということである。
ロシア軍がウクライナで苦戦し、欧州での相互安全保障という最低限の要求を達成できなければ、米国がイラクのファルージャに解き放ち、イスラエルがガザに定期的に与えているような破壊的な力で、ロシア軍はさらに暴れ出すだろう。
これは米国にとっても勝利である。マリウポルのような破壊された都市、「爆撃される病院」、戦争によって避難する何百万人ものウクライナ人の映像は、我々の爆撃から逃れる「アラブ人」の映像よりもはるかに強くヨーロッパの視聴者の心に響くのである。
その結果、憤慨した西側諸国民は、エネルギー料金の上昇や燃料ポンプですでに実感しているように、ワシントンが経済制裁という第二戦線でロシアに対して戦争を仕掛けるのに必要な犠牲を払う準備が整うだろう。そして、週末のバイデン氏の発言を受けて、これら全ての目的についてロシア人は恐らく「自分たちの政府を転覆させるためだ」、と結論付けるだろう。
これは逆説的ではあるが、ソーシャルメディア上で人気のある西側の情報を逆に反響させることになる。プーチンがウクライナに侵攻したのは本当に正しかったとロシア人に確信させ、遅ればせながらワシントンのロシアに対する悪意ある意図を阻止することができるだろう。双方は、妥協するよりもむしろ、戦うための塹壕を掘る理由を持つことになる。
それだけでも、現在ウクライナで起きている惨事、そしてこれから起きる惨事に対して、米国は大きな責任を負わなければならない(完)。
Antiwar.com提供(訳者:東江日出郎)
※「ジョー・バイデンは米国が本当にロシアのレジームチェンジを望んでいると伝えた(前)」はこちらからご覧ください。
マーサ・ゲルホーン特別賞(ジャーナリズム部門)を受賞している。近著には、以下のものがある。 ・”The Clash of Civilizations: Iraq, Iran, and the Plan to Remake the Middle East”, Pluto Press. ・"Israel's Experiments in Human Despair, Zed Books 彼のウェブサイトはwww.jonathan-cook.net。 ※この記事はMiddle East Eyeに掲載されたものです。 https://original.antiwar.com/cook/2022/04/01/joe-biden-has-confirmed-to-russia-that-the-us-really-wants-regime-change/