【連載】コロナ騒ぎ謎解き物語(寺島隆吉)

第4回 奇々怪々なるワクチン開発劇―WHOがパンデミック宣言をしてもいないのに―

寺島隆吉

第2章で私は今回の事件を次のような時系列にしたがって紹介しました。

2019年
9月30日、トランプ大統領は(武漢のプロジェクトへの)資金提供を終了。
9月30日、武漢研究所では大勢の科学者が解雇された。
12月30日、ネットやソーシャルメディアでSARSウイルス患者が中国で発生したかも知れないという噂が流れる。
12月31日、中国の調査チームが湖北省武漢に送り込まれる。

2020年
1月1日、ベルリン医科大学シャリテー病院のクリスティアン・ドロステン博士は、まだ新型コロナウイルスの実態が何も分かっていないのにコロナウイルス検査のためのPCRテストを開発し始める。
1月21日、テスト完成は非公式に発表される。
1月21日、WHOはこのドロステン博士のテストの信頼性を確かめることもせず、世界のスタンダードテストとして使うように世界各国に推奨。
1月23日、ドロステン博士の開発したPCRテストについての論文が正式に発表される。
1月24日、中国から初めての報告書が提出される。
1月30日、WHOが「緊急事態宣言PHEIC」を発令。
2月3日、中国の調査チームはこの報告書を基に、新型コロナウイルスの全遺伝子を解読したとする経緯をまとめ、正式に論文を公開。
3月11日、この論文がWHOによって認められ、新型コロナウイルスはパンデミック指定された。

そして私は、この時系列から読みとれることとして、次のような事実を指摘しました。

(1)新型コロナウイルの実態が何も解明されていないのに、ベルリン医科大学シャリテー病院のクリスティアン・ドロステン博士は、2020年1月1日、コロナウイルス検査のためのPCRテストを開発し始めた。

(2)ドロステン博士の開発したPCRテストについての論文が正式に発表されたのが1月23日だが、WHOは、その2日前の1月21日に、このドロステン博士のPCRテストを世界のスタンダードテストとして使うように世界各国に推奨した。

(3)しかも、中国の調査チームが正式に新型コロナウイルスの全遺伝子を解読したとする経緯をまとめ論文として公開したのが2月3日だから、WHOは、その2週間近くも前に、ドロステン博士のテストを世界のスタンダードテストとして使うように世界各国に推奨したことになる。

このような不思議なことがなぜ起きたのか。

そのことを考えると、ドロステン博士もWHOのテドロス事務局長も、以前から連絡を取り合っていて、今度の新型コロナウイルスがどのようなものかを予め知っていたからこそ、このようなことが可能になったとしか考えられません。

つまりドロステン博士とWHOのテドロス事務局長は、「一つ穴の狢(ひとつあなのむじな)」だったのではなかったのかということです。

さもなければ、中国の調査チームが新型コロナウイルスの全遺伝子を解読したとする論文を正式に発表する2週間近くも前に、どうしてWHOは、ドロステン博士のPCRテストを世界のスタンダードテストとして使うように世界各国に推奨できたのでしょうか。

そこで以下ではチョスドフスキー(オタワ大学名誉教授)の論考に依拠して考察を進めます。原文は英語ですが下記にその翻訳が載っていますので、時間のあるかたは、そちらを参照ください。

*新型コロナウイルスの流行は「偽」。時系列でまとめて分析を行った http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-354.html(『翻訳NEWS』2020-08-13)。

さて、ここで注意しておきたいのは、WHOが、このドロステン博士のPCRテストを世界のスタンダードテストとして使うように世界各国に推奨した1月21日は、スイスのダボスで開かれたWEF(世界経済フォーラム)の会議日程と重なっていることです。

何と驚いたことに、2020年1月21日~24日に開かれたダボス会議で、ワクチン製造計画のためにCEPI(感染症流行対策イノベーション連合)が財政支援をするかどうかが、すでに話し合われているのです。

スイスのWEF(世界経済フォーラム)本部

 

そして、CEPIからの支援を受けてシアトルに研究所があるモデルナ社が、新型ウイルス2019 -nCoV のワクチン製造に当たることになり、NIH(アメリカ国立衛生研究所)に属するNIAID(国立アレルギー感染症研究所)のワクチン研究センター(VRC)が、モデルナ社と協同してワクチン製造に当たることになった」そうです。

ちなみに、巨大製薬会社グラクソ・スミスクラインは、CEPIを次のように説明しています。

「CEPIは、将来起こりうる疾患の流行を止めるワクチンの開発を目的として、2017年にダボス会議において発足した、公的機関、民間企業、慈善団体、市民団体による革新的なパートナーシップです。10億ドルという資金調達目標のうち、すでに7億5,000万ドル超を達成しています」。

他方、厚労省のホームページはCEPIを次のように説明しています。

「CEPI(Coalition for Epidemic Preparedness Innovations)は、世界連携でワクチン開発を促進するため、2017年1月、ダボス会議において発足した官民連携パートナーシップ。日本、ノルウェー、ドイツ、英国、オーストラリア、カナダ、ベルギーに加え、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、ウェルカム・トラストが拠出」。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09283.html

これを見れば分かるように、CEPIおよびダボス会議には日本政府からも参加しているのです。調べてみると、若宮健嗣外務副大臣が1月21日から24日までダボスに出かけています。

しかもCEPIには、日本やイギリスからは政府が参加しているのに、アメリカからは政府が参加せず、代わりにビル&メリンダ・ゲイツ財団が参加しています。

私は前章で、日本やイギリスの政界上層部は今度の新型コロナウイルスがどんなものかをおおよそ知っていたのではないか、と述べたのですが、それには上記のような事情があったからです。

つまり、CEPIはワクチンのための団体であり、またダボス会議の大きなテーマのひとつが「コロナウイルス対策とワクチン生産」でした。

ですから、このような会議を通じて、今回のウイルスは致死率が極めて低く、普通の風邪やインフルエンザとあまり変わらないことを、各国政府の上層部は、裏知識として知る機会は少なくなかったのではないかと思うのです。

繰り返しになりますが、彼らはそのようなことを知っていたからこそ、平気で新聞記者と麻雀をしたり、愛人を自宅に招き入れたりする事件が起きたのではないでしょうか。

もうひとつ、ここで注意しておきたいことは、WHOのテドロス事務局長もビル・ゲイツも2020年のダボス会議に出席していた、ということです。

そして「2019-nCoV」のワクチンの開発は、2020年1月21日~24日のダボス会議で発表され、ビル・ゲイツは、ゲイツ財団が今後10年間、ワクチンに100億ドル投入することを発表しているのです。

これは、中国で新種のウイルスが発見されたという発表が2020年1月7日になされてから、2週間しか経っていなかったときのことです。

しかも中国から初めて正式な論文が提出されたのがダボス会議の最終日1月24日でしたから、ダボス会議は今度の新型コロナウイルスはいかなるものかを解明すべき論文を待たずにワクチンの開発を決めたことになります。

そのうえ、ダボス会議と並行して、1月22日に、ジュネーブではWHOの緊急対策委員会が開かれていました。そこでは、PANDEMICどころか、「現時点で今回の流行がPHEIC(国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態)の宣言を出す状況にあるかどうかについて多様な意見が出ている」と発表していたのです。

そしてWHOがやっと今度の事態をPHEICだと宣言したのは2020年1月30日でしたし、この決定は、中国国外で確認された症例が150件しか報告されていないときに下されたものでした。

しかも、アメリカで初めて人から人への感染が報じられ、その感染が6例、カナダで3例、イギリスで2例あったにすぎませんでした。

つまり、PANDEMIC(疫病の世界的大流行という緊急事態)どころか、PHEIC(国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態)の宣言を出す状況にあるかどうかについて多様な意見が出ている最中に、ダボス会議ではすでにワクチンの大量生産を決めているのです。

新型コロナウイルスがなにものであろうが、ワクチン生産を最優先していることがこれで分かります。

しかし、巨大製薬会社などの利益を最優先して根拠もなくワクチンの大量生産をすることの危険性は、先にも述べましたが、空振りだった2009年のパンデミック宣言を見れがやっと今度の事態をPHEICだと宣言したのは2020年1月30日でしたし、この決定は、中国国外で確認された症例が150件しか報告されていないときに下されたものでした。

新型コロナウイルスがなにものであろうが、ワクチン生産を最優先していることがこれで分かります。

しかし、巨大製薬会社などの利益を最優先して根拠もなくワクチンの大量生産をすることの危険性は、先にも述べましたが、空振りだった2009年のパンデミック宣言を見れば分かります。

その当時「H1N1」と呼ばれた「豚ウイルス」が原因の疾患について、WHOがパンデミック宣言をした結果、各国政府は何十億ドルもの規模でワクチンを購入せざるを得なくなりました。

ところが後の調査によれば、H1N1ウイルスが原因と思われる死者数は、通常年のインフルエンザによる死者数と変わらなかったどころか、むしろ少なかったのです。

その裏で、巨大製薬会社はワクチン販売で巨額の利益を手にし、WHOおよび製薬会社と結びついていた「疫病専門家」も非常に美味しい思いをしていました。

ですから、今度の新型コロナウイルスも、それがどのようなものかを見極めることは極めて重要でした。

事実、NIH(アメリカ国立衛生研究所)の付属機関であるNIAID(国立アレルギー感染症研究所)のアンソニー・ファウチ所長を含む3名の研究者は、2月28日に「COVID-19の致死率は0.1%未満かもしれない」という論文を、『ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン』で発表しているのです。

つまり季節性インフルエンザ並みということです。

*コロナウイルス、その余波。迫り来る大恐慌…
コロナウイルス、その余波。 迫り来る大恐慌… – 寺島メソッド翻訳NEWS (fc2.com)(『翻訳NEWS』2020-09-18)。

しかし、ファウチ所長は3月11日にアメリカ下院の管理改革委員会で「COVID-19の致死性は季節性インフルエンザの10倍だ」と発言し、これを受けてアメリカ政府は3月13日に国家緊急事態を宣言し、人々は「監禁」状態になりました。

*尋常ならざる医師、アンソニー・ファウチ氏
尋常ならざる医師、アンソニー・ファウチ – 寺島メソッド翻訳NEWS (fc2.com)(『翻訳NEWS』2020-09-18)。

国立アレルギー感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長

 

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寺島隆吉 寺島隆吉

国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授

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