【連載】週刊 鳥越俊太郎のイチオシ速報!!

15歳若者の新聞投稿から始まった、メディア読者投稿欄の発見/☆読者投稿について考える☆ある文春、ない新潮、あるビッグコミック

鳥越俊太郎

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週刊 鳥越俊太郎のイチオシ速報!!
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廣島りう(孫10歳の折)作

皆さんは新聞の読者投稿欄をご覧になったことはありますよね。
私はまあ、時折目を止めるメディアの、言い訳欄のようで正直それほど注目していた訳ではありません。
なぜか新聞によって目を落とす時間が少し違っているのに今回分かりました。
そこで私が定期購読している新聞紙、週刊誌、月刊誌、季刊誌、漫画誌、加えて何かの縁で身近に転がっていた雑誌の類も含めて一応調べてみるとどこもなにがしかの読者投稿欄を持っていた。これはちょっとした私の大発見でした。

で、私がチェックした限りで一切読者の反応を紙面化していないのは「週刊新潮」だけでした。
これはちょっとした発見ですよ!!
何かと比べられる、こちら「週刊文春」にはちゃんと「読者より」のページがあるんですよ。
もう一つ、私が愛読している漫画誌「ビッグコミック」にも「BIG  FAN」という読者投稿ページがある。
私が毎号見ている「季刊 アラブ」と並んで「週刊新潮」はやはり読者の声無視の雑誌ということになる。

まあ、なぜ今回は新聞、雑誌の類の読者欄に私の好奇心が動いたんだろうか?

私の今週の「鷲の目」の旅は東京新聞の「発言─若者の声」の欄に掲載された一片の投書であった。
この欄はいつもは
「発言─読者とともに」
というページなので、調べていないが、恐らく週一金曜日に若者の投稿を待っているのだろう。
4月28日金曜日の社説の欄の右隣が「発言─若者の声」で、5本の声が掲載されている。
13歳女子中学生【保育園での虐待に不安】
14歳女子中学生【自分の好きなこと大切】
15歳女子高校生【制限解除に心動かす】
15歳男子高校生【ミサイルの避難訓練も】
21歳男子大学生【政治家狙う事件なぜ】

この中で15歳男子高校生の【ミサイル避難訓練も】という投稿がちょっと、じゃなく、あれれれれと大いに気になった。
その全文を掲載しよう。

「ミサイルの避難訓練も
高校生 一柳 早良 15歳
(東京都練馬区)
この文章を私があれこれ論評するので匿名にしようと一旦考えたが、匿名にする方が何か隠すのは問題があるように見えるのではと判断、新聞にあった名前は残した。

「先日、弾道ミサイルが他国から発射された。日本政府は、その弾道ミサイルが北海道周辺に落下すると見て全国瞬時警報システム(Jアラート)で速報した。
全国各地の学校の多くは、不審者、地震、火災等の避難訓練を行なっていると思う。しかし、ここ最近の情勢を踏まえるとそれだけではなく、ミサイルが落ちて来たという想定の避難訓練も行った方が良いと考える。なぜなら、災害と同じように、いつどこにどこからミサイルが落ちてくるかは分からない。また、多くの人々が演習をおこなっていかないと意識が定着しないと思うからだ。

だからこそ、小学校、中学校、高校、地域での避難訓練の種類を現代の社会情勢に特化したものにしていくことが必要なのではないか」

 

ちょっと長くなりましたが、何かおかしいな、と思いませんか?
この高校生の発言の趣旨は
【災害と同じようにいつ、どこからミサイルが落ちてくるかも分からない】
【だからこそ、小、中、高校、地域での避難訓練が必要なのではないか】
これだけ見ると先日北海道周辺に落下すると見てJアラートが鳴ったので北海道にミサイルが落下する可能性があった、しかし、現実にはその落下はなかった。
正直に言って空騒ぎだった。

実を言うと北朝鮮のミサイルは何度も発射訓練を行なっている。
それはなぜなのか?
実を言うと日本のメディアは北朝鮮軍のミサイルの意図についって真剣に議論することなく、「Jアラート」について報じている。このJアラート、本当に日本にミサイルが飛来し、落下し、住民は果たして避難訓練などが必要だったのだろか?

ここは大変重大なところだ。
日本に本当にミサイルを打ち込む国があるのだろうか?
一柳君、ぜひ一緒になって考えてほしい。
先日のJアラートは北朝鮮のミサイルだった。これはミサイルの飛来をウオッチしている防衛省の担当者が、このミサイルは青森県のどこかに落下する可能性がある、と判断。さらに上部の判断を得てJアラートが響いた。

あの警戒警報の音。私は昭和20年は5歳、幼稚園児だった。福岡の田舎町だったが、どうやら日向灘から玄界灘に抜ける米軍機の通り道だったらしく、頻繁に「ううーん」で始まる警戒警報─空襲のサイレンが鳴り響いた。

その度に幼稚園児はお遊戯の真っ最中でも、一斉に自宅に帰された。今あれ何んで帰されたのかな?ふと疑問に思う時もあるが、幼稚園が爆撃食った時に恐らく大量の死傷者を出すことが予想されるので、それは避けたかったんだろうな。
帰り道に上空に米軍機が現れたことが何度かある。そういう時は道にいた大人も子供も道の側の小川に飛び込んで息を潜める。うまく自宅に帰り着いたら、自宅の土間に掘ってあった防空壕に飛び込んでじっと歯を食いしばった。

空襲警報(今ならJアラート)が鳴って、一柳君がいう避難訓練というのはそういうものだ。容易いもんじゃないんだよ。
さて本題だ。一柳君、あなたが考えるミサイルを日本に向けてぶっ放す国ってどこかな?あなたが
「いつどこにどこからミサイルが落ちてくるかは分からない」
と発している疑問だよ。

先日 Jアラートの時は北朝鮮のミサイルだったね。

 

だから一柳君も含めて多くの日本人が避難訓練をするようなミサイルはきっとか漠然と北朝鮮のものだと思っているに違いない。
だけど北朝鮮は自分の王朝を守るためには何としても朝鮮戦争の相手、アメリカと話をつけたい。そのため、というか自分を話し合いの相手と認めてくれるには、アメリカ大陸に届く大陸間弾道弾(ICBM)を開発したい。その度にJアラートが鳴り響き、一柳君たちを「想定訓練を」との思いに走らせてしまうんだね。
もう一つ可能性があるのは、中国だね。これはあくまで仮定の話だからね。

中国が台湾に武力侵攻をしたとする。
その場合インド洋から東アジアに浮かぶアメリカの第7艦隊や南西諸島にある在日米軍基地が反応するのでしょうか?
そうなると中国のミサイルは在日米軍基地を叩きにくるでしょう。米軍基地を狙ったミサイルが日本人住宅に舞い落ちないという保証はないでしょうね。

これが自民党の政治家がしきりに言う日本の安全保障が危うくなったという理由ですかね?

だけど現実的に考えると米中が武力衝突する可能性は低い。
まず第一に中国は台湾を武力侵攻はしない。あり得ない。中国は台湾の内部の政治的な変化をじっと待っている。香港もその手口で手に入れた。
中国が武力侵攻をした場合、アメリカはどう動くのか?これも不確定だ。
私はそうミサイルがバラバラ落ちてくる場面は想像できない。
一柳君、ミサイルがあなたの街に降って来た時は、もう終わりだね。
諦めてくれ。
私はそんな事態はあり得ないと思うけど。

 

さて今日は雑誌の読者投稿欄について書いてきた。
東京新聞の次に毎日新聞は「みんなの広場」
朝日新聞は「声」(voice)
産経新聞は「談話室」
読売新聞は「気流」
どこの新聞も投稿者の
1、住所
2、電話番号
3、携帯電話
4、お名前
5、年齢
6、職業
7、e-mail
8、テーマ
9、ご意見330字程度

各新聞社とも偽のなりすましの原稿を極力避けている。
新聞社以外の投稿欄はどうか?
しんぶん赤旗日曜版は結構面白い新聞なので丹念に読んでいるが、「読者のページ」にはこの日は6本、少し紹介しておこう。

「政治にも春を」
土井 律紀広島県 74歳
「草木が芽吹き、新しい門出の春なのに、異次元の物価高騰。今月も五千品目を超える食料品の値上げで年金生活者は四苦八苦。
巨額を注ぎ込む大軍拡で戦争準備を進める岸田自公政権を1日も早く退陣させ、『長生きしていてよかったね』という社会を1日も早くつくりたい。老骨にむち打ってガンバロー」

「ビッグコミック」は1068年の創刊以來の愛読書だ。
特に巻末に来る「ゴルゴ13」は1回目から読んでいる。ストーリーがしっかりしているので、新聞記者の私には大変勉強になった。のちに早稲田大の探検部出身で私がサンデー毎日編集長をしている時「砂のクロニクル」の連載をしてもらった船戸与一さん。ストーリーに直木賞作家として名を成す人が若い時分、この「ゴルゴ13」のストーリーを書いてたんだ、と後で知り、その貴重さを知る。単行本は第一巻から全て持っていたが、今はどこへ行ったのか?
この「ビッグコミック」誌にも読者投稿欄がある。

「BIG FAN]
という欄だ。その中から私の愛読コミック
「BLUE GIANT EXPLORE」
ジャズの話なので好き嫌いはあるだろうが、このストーリーは中々面白い。この話についての投稿だ。
「大が雪祈と再会したことで大に『雪祈と組みたいのか』と聞いていたアントニオがちょっと心配だったのですが・・・アントニオの真摯な対応に、ちょっと意外な一面を見たような気がして驚きました。同じ楽器同士、良い付き合いになるといいな。このシリーズも残り3話。雪祈の作曲でやるライブが本当に楽しみです」〈栃木県/ぱんだ子〉

色々紹介したが、今日の本番は東京新聞「若者の声」から東京都練馬区の高校生15歳一柳 早良君の「ミサイルと避難訓練」の話が私のメインのテーマでした。

(2023/05/01)

鳥越 俊太郎 記

 

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鳥越俊太郎 鳥越俊太郎

1940年3月13日生まれ。福岡県出身。京都大学卒業後、毎日新聞社に入社。大阪本社社会部、東京本社社会部、テヘラン特派員、『サンデー毎日』編集長を経て、同社を退職。1989年より活動の場をテレビに移し、「ザ・スクープ」キャスターやコメンテーターとして活躍。山あり谷ありの取材生活を経て辿りついた肩書は“ニュースの職人”。2005年、大腸がん4期発覚。その後も肺や肝臓への転移が見つかり、4度の手術を受ける。以来、がん患者やその家族を対象とした講演活動を積極的に行っている。2010年よりスポーツジムにも通うなど、新境地を開拓中。

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