【連載】ウクライナ問題の正体(寺島隆吉)

第22回 新たなるロシアの悪魔化 ー「2008年のロシアによるジョージア侵攻」という嘘ー

寺島隆吉

前章を私は次のように結びました。

〈研究所の研究員から届いたメールに応えて、ロシア軍の「特別作戦」が国際法違反ではないということもダニエル・コバリク教授とは違った視点で述べたいと思っていたのです。が、気がついてみると既に十分に長くなりすぎています。で、今日はここで断念し、次回こそ完結できればと願っています。〉

さてそこで、煩を厭わず、研究員(小山さん=仮名)から届いたメールを再び引用することから私の論を始めたいと思います。

今日の事態については、グローバルリサーチ社の見解が妥当のように思えます。つまり、ロシアの立場は理解するが、ロシアの侵攻は支持しない。

素人考えですが、ロシアは2州の自治独立を承認したのちに、両自治州の自主投票によるロシア編入を待つべきだったように思います。

そうすれば、ウクライナによる2州への攻撃は止むでしょうし、もしその攻撃が続けば、ロシアは反撃の正当性が主張しやすくなると思います。ただし、その時でも、今日のように、アメリカのプロパガンダによる情報攻撃がおこなわれるでしょうが。

ウクライナ侵攻が、寺島先生が危惧されるように、ロシアにとって第二のアフガニスタンにならなければよいと願います。

ここで小山さんは「ロシアは2州の自治独立を承認したのちに、両自治州の自主投票によるロシア編入を待つべきだったように思います」

「そうすれば、ウクライナによる2州への攻撃は止むでしょうし、もしその攻撃が続けば、ロシアは反撃の正当性が主張しやすくなると思います」

しかし既にこのブログで何度も書いているように、ドンバス2カ国は、住民投票による独立宣言をしたあとに、ロシアへの編入を求める自主投票もおこない、どちらも圧倒的多数の賛成を得ていたのです。

ところがドンバス2カ国は、ロシア編入どころか、独立宣言すらも認められなかったのです。だからこそキエフ政権は「分離主義者・テロリスト集団を制裁する」という口実で2014年以来、8年間にわたってドンバス2カ国を爆撃し続けることができたのでした。

なぜロシアがクリミアと同じように、独立を認めただけでなくロシア編入も即座に許可しなかったのか、その理由はよく分かりません。

その理由は、私なりに推測して前著『正体1』に書きましたから、ここでは割愛させていただきます。しかし、いずれにしても、そのため、ドンバス2カ国は、この8年間、一方的に攻撃され続けました。

その間、何度も休戦と交渉が続けられ、それが「ミンスク合意」 「ミンスク合意2」となりましたが、これらの合意も、キエフ側は真面目に実行したことはありませんでした。

そこで遂にロシアの堪忍袋の緒が切れてウクライナへの「進攻(侵攻ではない)」となったわけです。しかし、いきなりウクライナに「進攻」したわけではありません。国際法に従って次のような手順を踏んでいるのです。

①まずドンバス2カ国を独立国として承認する。
②その独立国の要請にしたがってウクライナへの「特別作戦」を実行する。

これはプーチン大統領がシリアにロシア軍を出動させたときの手順と基本的には同じものです。

アメリカやイスラエルの後ろ盾を得てシリアに侵略してきたイスラム原理主義勢力(いわゆるISIS)に、アサド大統領が十分な対応をできず、ついにロシアの援助を求めたとき、プーチン大統領は国際法に従ってロシア軍を出しました。

ところが、このときアメリカもシリアに軍隊を出動させています。その時の口実は「アサド大統領が住民を化学兵器で殺しているから、そのような悪逆非道な政権を倒さなければいけない」 「そのために反政府勢力を援助する必要がある」というものでした。

しかし、アサド政権を倒そうとしている「ISIS」は、アメリカが日頃からテロリストと名付けて攻撃してきた「アルカイダ」と同じものだということが暴露されると、当時のオバマ大統領は「穏健なISIS」という口実で彼らを擁護しました。

それが「穏健」かどうかは別にして、アメリカがアサド政権の要請なしにシリア領内に軍隊を出動させることはシリアに対する主権侵害ですから、これは明らかに国際法違反行為です。

それとも、アメリカは「神に許された国」 「例外的な国」だから何をしても許されるというのでしょうか。

そもそも、 「穏健なISIS」と「過激なISIS」という区別が存在しないことは、その言動によってますます明らかになってきました。

また「アサドによる化学兵器の使用」ということも根拠がなかったことは、 調査にあたったOPCW(化学兵器禁止機関)の科学者たちによって内部告発されています。

つまり、OPCWの公式発表は、自分たちが調査して報告した内容と違うと言っているのです。それどころか、 「アサドによる化学兵器の使用」は、いわゆる「ホワイトヘルメット」と呼ばれる集団の自作自演だったということも暴露されてきています。

このように、ロシア軍のシリア出動は国際法から照らしても合法であるのに反して、アメリカ軍のシリア出動は明らかに国際法違反です。

それと同じように、ドンバス2カ国への要請によるロシア軍のウクライナにおける「特別作戦」も、国際法違反にあたりません。

これに対して次のような反論が出てくるかも知れません。

「ロシア軍が、ドンバス2カ国へ侵略してきたウクライナ軍を追い出すだけであれば、確かに国際法違反には当たらないかも知れないが、ドンバス2カ国から外に出てウクライナ領にロシア軍を進出させるのは疑問だ」

しかし国と国との戦争では、相手が一方的に空爆してくるのに、それを国内で防御しているだけでは、いつまでたっても戦争を終わらせることは出来ません。相手の軍事拠点を空爆やミサイルで攻撃するだけでなく、相手国の司令部を攻撃し占拠することも、場合によっては必要になります。

実際、第2次大戦ではロシア軍がドイツのヒトラーがいる指令部を攻撃し占拠することによって戦いは終結しました。もしロシア軍がソ連領内からドイツ軍を追い出すだけで矛先を収めていたら、撤退したドイツ軍は、また態勢を立てなおしてロシアを襲って来たに違いありません。

最近になって初めて知ったことですが、ドイツ軍を破ったのは一般的には英米を主力にした連合軍がノル マンデ ィー上陸作戦でドイツ軍を破ったからだ(1944年6月6日)と言われていますが、ソ連軍がベ ルリンを完全包囲した時点で、実質的に第2次大戦は終わっていたのです(1944年4月25日)。

この戦いにおけるソ連の犠牲者は2200(~2600)万人であり、第2次世界大戦の参戦国の中でも最大でした。それに比してイギリスの死者は33万人、ア メリカの死者は29万人です(第6章90~91頁を参照)。

第2次大戦の終了がいかにソ連の犠牲のもとに達成されたかが分かります。

ここまで調べてきて、ソ連における犠牲者の多さに息をのむ思いがしました。アメリカが、大量破壊兵器(WMD)という嘘をついてイラク侵略に乗りだしたとき、その嘘を暴露した国連の「大量破壊兵器査察官」だったスコット・リッターが、アメリカ国民は、 「あまりにも事実を知らなさすぎる」と、次のように嘆いた理由がよく分かりました。

インタビューに答えるスコット・リッター(右側)

 

An open letter to the American people, as Russia celebrates its WW2 victory over the Nazis(ロシアが第2次世界大戦でナチスに勝利したことを祝して、アメリカ国民に宛てた公開書簡)
https://www.rt.com/russia/555114-victory-day-america-nazis/

この公開書簡の副題は次のようになっていました。

To those who have forgotten the sacrifices the ‘Greatest Generation’ made to defeat Hitler(ヒトラーを倒すために 「偉大なる世代」 が払った犠牲を忘れてしまった人たちへ)

つまりスコット・リッターは、バイデン政権の流す嘘に欺されて、ア メリカが新たな戦争に引きずり込まれようとしていることに対して、5月9日「ロシアの戦勝記念日」に、具体的事実をあげて祖国の人々に訴えたくなったのです。

私はスコット・リッターの公開書簡を読んで、ヒトラーのナチス軍によるソ連侵攻を許したと同じ失敗をプーチン大統領が二度と繰りかえしたくないと思ったとしても、それは当然のことではないかと、改めて思いました。

以上、 「独立国であるドンバス2カ国からの要請であるから、ロシア軍の行動は国際法違反ではない」という私論を述べてきたのですが、スコット・リッターの公開書簡を読んでいるうちに、少し考えが変わりました。

つまり今度のドンバス攻撃は、単にキエフ政権によるドンバス2カ国への攻撃どころか、これは「キエフ政権を道具に使ったロシアへの攻撃」とも考えられるということです。言い換えれば「キエフ政権はロシアへの代理戦争を戦っている」ということです。

むしろ、そのほうが事態を正確に捉えているのではないかと思い始めました。その意味で、ダニエル・コバリク教授の意見を、ここで改めて紹介し解説する必要があるのではないかと思い始めたのです。

Why Russia’s Intervention in Ukraine is Legal Under International Law「ロシアのウクライナ介入が国際法上、合法である理由」( 『翻訳NEWS』2022/04/27)
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-895.html

コバリク教授は前章で紹介したこの論考で次のように述べています。

しかし、ロシアが主張する介入の正当性については、まだ検討すべき点がある。

それは、ロシア人を含むロシア系住民を攻撃する過激派集団が国境に存在するだけでなく、これらの集団は米国から資金提供や訓練を受けていると伝えられていることである。それはロシアを不安定化し政権を転覆するためだ。

YahooNews! は2022年1月の記事で次のように説明している。

〈この構想に詳しい5人の元情報 ・ 国家安全保障局員によると、CIAはウクライナのエリート特殊作戦部隊やその他の諜報員のために米国での秘密の集中訓練プログラムを監督しているという。その元情報局員によると、2015年に始まったこのプログラムは、米国南部の非公開の施設を拠点としている。

このプログラムでは、 「ウクライナ人がロシア人に反撃する能力を高めるための、非常に具体的なスキルの訓練がおこなわれてきた」 、と元情報当局の高官は述べた。

この訓練には「戦術的なもの」も含まれており、 「ロシアがウクライナに侵攻すれば、かなり攻撃的に見えるようになるだろう」と元政府関係者は語った。

このプログラムに詳しいある人物は、もっと露骨にこう言った。

すなわち、 「我が国は暴徒を訓練している」「このプログラムはウクライナ人に『ロシア人を
殺す方法』 を教えている」とCIAの元幹部が言ったというのである。 〉(強調は筆者)

つまり、 「ウクライナにはロシア人を含むロシア系住民を攻撃する過激派集団が存在する」という事実を認めているのです。

この「過激派集団」が「ネオナチ」であり、いわゆる「アゾフ大隊」等と呼ばれている集団を指すことは間違いないでしょう。しかも、これらの集団は米国から資金提供や訓練を受けているというのです。

具体的には、CIAはすでにウクライナでクーデターを成功させた翌年の2015年からウクライナのエリート特殊作戦部隊やその他の諜報員を訓練し、それは「ロシアを不安定化し政権を転覆するためだ」というわけです。

ですからキエフ政権がドンバスの「ロシア人」 「ロシア語話者」を爆撃して殺すことは最初から計画に入っていたことになります。そして、ロシアがこの挑発にのってウクライナに進攻すれば、それはロシアの「攻撃性」「侵略性」を宣伝する材料として使えるというわけです。

CIAの元幹部が「我が国は暴徒を訓練している」「このプログラムはウクライナ人に 『ロシア人を殺す方法』 を教えている」と言ったというのですから、このことは、ほぼ間違いないでしょう。

言い換えれば、ドンバス2カ国への攻撃が残虐であればあるほどロシアがそれに我慢できなくなってウクライナに進攻を始めるようになり、それを口実にNATOをロシアへの戦争へと駆り立てることが可能となるという戦術です。

しかも、この訓練がアメリカの本土、米国南部の非公開の施設を拠点としている、というのですから、ますます、このウクライナ危機は、NATOやウクライナを「代理」として使った、ロシアとアメリカの戦争を意図したものであることが、明確になってきます。

EUを単にロシアへの経済制裁の道具として使うだけでなく、NATOやウクライナ軍もロシアとの戦争への「代理」として使えれば、ア メリカにとってこんなに好都合なことはありません。米軍兵士の血を流さずにすむからです。

以上の主張をさらに確証するために、さらにコバリク教授は先の論考を次のように続けています。

ロシアの不安定化そのものがこうした取り組みにおける米国の目標であった、 という疑いが正しいかどうかは、 ランド研究所の2019年の報告書を精査する必要がある。

この研究所は長年にわたり政策目標を遂行する方法について米国に助言をしてきた防衛請負業者であるが、 その報告書には 「ロシアに無駄な財力・軍事力を消耗させて不安定化する一つとして「ロシアの最大の対外的コスト負担を押しつける選択肢の影響評価」と題されたものがあり、そこでは、数ある戦術の脆弱性を突く」ために「ウクライナへの兵器の提供」が挙げられている。

ここでコバリク教授がとりあげている「ランド研究所」は、 「非営利、無党派の組織」と自称していますが、国防総省、米陸軍、空軍、国家安全保障機関(CIAなど)だけでなく、他国の機関や強力な非政府組織から公式に資金提供を受けている組織です。

この組織は、冷戦時代、ソ連に資源を消費させる過酷な軍事対決を強いて、アメリカの勝利に導く戦略を考案したと自負していますが、その研究所が2019年に発表した報告書が次の文書でした。

Overextending and Unbalancing Russia:Assessing the Impact of Cost-Imposing Options(ロシアに無駄な財力・軍事力を消耗させて不安定化する–コスト負担を押しつける選択肢の影響評価)

幸いにも、この文書についての論考は既に次のように翻訳が出ています。

Ukraine, It Was All Written in the Rand Corp Plan「いまウクライナで起こっていることは、すべて3年前のランド研究所のプランどおり」( 『翻訳NEWS』2022/03/20)
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-836.html

これを読むと、冷戦時代にソ連をアフガニスタンにおびきだして崩壊させたのと基本的には同じ戦略を提案しています。そこでは、コバリク教授が述べているように、数ある戦術の一つとして「ロシアの最大の対外的脆弱性を突く」ために「ウクライナへの兵器の提供」が挙げられているのです。

ですから、このような事実を踏まえてコバリク教授は、自分の主張を次のように結論づけています。

要するに、ロシアは、米国、NATO、そしてウクライナの過激派代理人による具体的な不安定化工作によって、かなり深刻な形で脅かされてきたことは間違いないのである。

ロシアは8年の間ずっと、そのような脅威にさらされてきたのだ。そしてロシアは、イラクからアフガニスタン、シリア、リビアに至るまで、そうした不安定化の企みが他の国々にとって何を意味するのかを目撃してきた。

それは、国民国家として機能していた国がほぼ完全に消滅させられることを意味していたのである。

国家防衛のために行動する必要性について、これほど切迫したケースは考えにくい。

国連憲章は一方的な戦争行為を禁止しているが、第51条で「この憲章のいかなる規定も、個人的または集団的自衛の固有の権利を害するものではない」と規定しており、この自衛権は、実際の武力攻撃だけでなく差し迫った攻撃の脅威にも対応できるものと解されている。

以上のことから、 今回の切迫した事例では、この権利が発動され、 ロシアは自衛のために行
動を起こす権利があったと私は判断する。

ロシアのウクライナへの介入は、 ウクライナが米国とNATOの代理人として、 国内のロシア民族だけでなくロシア自身への攻撃をおこなったことにたいする自己防衛であったと言えるのだ。

これへの反論は、 ロシアが直面している深刻な現実を単に無視することにしかならない。

つまり、ロシア軍の行動は国連憲章第7章第51条に基づくものであり、国際法違反ではないということです。

このコバリク教授の主張を読んで、プーチン大統領がロ シア軍を派遣した2022年2月24日に、ロシアの国営テレビを通じて全国民に向けて演説した内容が急に気になりました。

この全訳はNHKのサイトに載せられていたので、いま改めて読み直してみると、プーチン大統領もコバリク教授の主張と同じように、国連憲章第7章第51条を根拠にしていたことに気づきました。

そのときには急いで斜め読みをしていたので、国連憲章の何条を根拠にしていたかまでは記憶に残っていなかったのです。

ここまでの説明を読んでいただければ、前章で紹介した小山さん(研究員のひとり)からいただいた次のメールをどう考えたらよいかが、改めて明らかになるのではないでしょうか。

今日の事態については、グローバルリサーチ社の見解が妥当のように思えます。つまり、ロシアの立場は理解するが、ロシアの侵攻は支持しない。

素人考えですが、ロシアは2州の自治独立を承認したのちに、両自治州の自主投票によるロシア編入を待つべきだったように思います。

そうすれば、ウクライナによる2州への攻撃は止むでしょうし、もしその攻撃が続けば、ロシアは反撃の正当性が主張しやすくなると思います。 (ただし、その時でも、今日のように、アメリカのプロパガンダによる情報攻撃がおこなわれるでしょうが。 )

ウクライナ侵攻が、寺島先生が危惧されるように、ロシアにとって第二のアフガニスタンにならなければよいと願います。

前章で私が主張したことは、ドンバス2カ国のロシア編入を待つ必要はなく、承認した独立国からの要請に基づく行動と考えれば、国際法違反ではないということでした。つまりシリアにおける行動と同じだということです。

しかし、今回改めてコバリク教授の主張を読み直してみて、ドンバス2カ国のロシア編入を待たずとも国際法違反にはならないし、それでは時機を失するという思いが強くなりました。

というのは、ロシア軍の﹁特別作戦﹂によってウクライナ領土から回収した資料によると、キエフ政権は3月早々には、ドンバス への攻撃を再開する予定だったことが明らかになっているからです。そのような情報を予め密かに入手していたからこその、ロシアの行動だったと考えられるからです。

*米政府がドンバス攻撃を始める直前に露軍が攻撃、米政府の計画が挫折した可能性(櫻井ジャーナル2022/03/29)
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202203290000/

このウクライナ軍によるドンバス攻撃について上記の『櫻井ジャーナル』は次のような事実を紹介しています。

ロシアがウクライナを攻撃する5日前、ドンバス(ドネツクやルガンスク)の独立をプーチン大統領が承認する2日前、オレグ・ツァロフというウクライナの政治家が「大虐殺が準備されている」という緊急アピールを出していた。
https://rusvesna.su/news/1645217482

彼によると、ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領がごく近い将来、ドンバス(ドネツクやルガンスク) で軍事作戦を開始するという情報をキエフから得たとしている。ドンバスでの「民族浄化」だけでなく、ウクライナのSBU (ウクライナ保安庁)はネオナチと手を組み、全土
で「親ロシア派」の粛清を実行することにもなっていたという。

さらに、ロシア軍が入手した文書についても『櫻井ジャーナル』は次のように書いていました。

ロシア国防省によると、ロシア軍はウクライナ軍が残したものを回収した文書の中に、ドンバスを攻撃する作戦に関するものがあった。
https://www.jpost.com/international/article-700752

ニコライ・バラン上級大将が1月22日に指令書へ署名、攻撃する準備が始まり、2月中に準備を終えたとされている。攻撃は三月に始めることになっていたという。この作戦はゼレンスキーが1月18日に出した指示に基づいて立てられたという。

こうした情報が正しいなら、アメリカ政府は3月にドンバスを攻撃、市街戦を始めようとしていたということになる。

ロシア政府がウクライナ軍のドンバス攻撃を非難することを想定し、事前にロシア軍の「偽旗作戦」を宣伝していた。そして、市街戦が始まってからロシア軍が介入すれば、市民の犠牲は全てロシア軍に押し付けるつもりだったのだろう。

このように調べれば調べるほど、キエフ政権によるドンバス攻撃は目前に迫っていたことになります。その意味でロシア軍による行動は一刻の猶予も許されなかったと言えます。

ですから、先述の小山さんのメール、そこに書かれていた提言は、善意に基づくものには間違いないのですが、やはり情勢に正しく対処できるものではないと考えられるのです。

それはともかく、このようなことを私に調べ直すきっかけを与えてくれた小山さんのメールに感謝したいと思います。

 

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寺島隆吉 寺島隆吉

国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授

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