【連載】植草一秀の「知られざる真実」

【連載】知られざる真実/小池都政を終焉させるための秘策

植草一秀

選挙は目的でなく手段である。

望ましい政治を実現することが目的で、選挙はその目的を実現するための手段だ。

7月5日に東京都知事選が投票日を迎える。

小池都政の存続を望む者もいれば、小池都政の終焉を望む者もいる。

選挙の勝者が実権を握る。

それぞれの人々、勢力は、自らが目指す政治を実現するために、選挙というハードルを超えなければならない。

選挙に勝たなければ目指す政治を実現することができない。

選挙には一種のゲームという側面がある。

ゲームにはルールがある。

ルールのなかで勝敗を競うという側面がある。

都知事選は勝者が一人のゲームだ。

勝敗は投票所に足を運び、有権者が投じた票の多寡によって決まる。

最多の票を得た者が当選者になる。

しかし、異なるゲームの方式が用いられる場合がある。

フランスの選挙では、1回目の投票で単独過半数を獲得する者がいない場合、上位2者による決選投票が行われる。

主張の近い2人が1回目の投票で2位と3位になり、1位の得票者が過半数を獲得していない場合、上位2者で決選投票が行われる。

この方式の方が優れている。

3位の候補者に投票した有権者が決選投票で2位の候補者に投票すると2位だった候補者が勝利することもある。

フランスでは大統領選でこの方式が採られている。

日本の場合は、1回目の投票で1位の候補者が当選者になる。

このことを踏まえて戦術を立てなければならない。

小池都政NOと考える主権者が多数存在する。

メディアが小池優勢と報じるのは、ステマ広告のようなものだ。

有権者の行動を誘導するための情報操作なのだ。

「勝ち馬に乗る行動が促進される」とともに、

「反小池の有権者が投票所に足を運ぶ意欲を削ぐ」ことが狙いである。

2012年の総選挙から、この工作が一貫して実行されている。

安倍自公勢力にとって何よりも重要なことは投票率を抑制すること。

自公に投票する者が有権者全体の25%いる。

投票率を5割以下に抑えれば、自公が選挙に勝てるのだ。

そこで与党圧勝予想を流布して投票率を何とか5割程度に抑制する。

この状況下で、反対勢力が複数候補を擁立すれば完璧だ。

自公の勝利は動かない。

この計算で自公はメディアを支配下に置いて選挙を行っている。

しかし、自公に投票しない残りの75%の主権者の圧倒的多数は安倍政治に賛同していない。

「安倍政治を許さない!」と考えている。

しかし、投票に行く主権者が5割しかいない。

投票に行く主権者の半分は反自公だ。

この反自公の勢力が一つにまとまれば、情勢は一変する。

さらに、選挙に行っていない5割の有権者の何割かが投票所に足を運んで反自公候補に投票すれば形成は逆転する。

自公が勝利を続けているが、その基盤は決して盤石ではない。

都知事選では小池都政を終焉させて、99%の人々のための政治を実現しようとする側から二人の候補者が出馬した。

このままの状況では、小池氏を敗北させることはかなり難しい。

一つにまとまることが必要だ。

二人が出馬してしまったいまとなっては、これを一人にすることはできない。

しかし、方策はある。

二人の候補者が共闘を宣言して、選挙の最終段階で、主権者に対して、どちらか一方の候補者への投票集中を呼びかけるのだ。

候補者自身が取り組まない場合は、主権者が主導してやるしかない。

いまのままでは、選挙に行っても何も変わらないと考える人が続出して投票率が下がってしまう。

小池陣営の思うつぼになってしまう。

期日前投票を控えてもらい、最終段階で投票集中する方針が示されるだけで、都知事選は一挙に緊迫する。

選挙の主役は候補者ではなく主権者である。

主権者が主権者のための政治を実現するために工夫しなければならない。

※なお、本記事は、植草一秀の『知られざる真実』2020年6月23日 (火)
小池都政を終焉させるための秘策: 植草一秀の『知られざる真実』 (cocolog-nifty.com)からの転載であることをお断りします。

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植草一秀 植草一秀

植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050

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