【連載】ウクライナ問題の正体(寺島隆吉)

第35回 ドンバス4カ国のロシア編入とEU諸国の悲惨な現実「ファシズム前夜」

寺島隆吉

EUから脱退したイギリスも状況は似たり寄ったりです。イギリス政府はドネツクからの報道を理由に、 英国籍で独立系ジャーナリストのグレアム・フ ィリップス(Graham Philips)に個人的制裁を科したからです。

グレアム ・ フィリップス記者

 

このように書いてくると、今までアメリカよりもEU諸国のほうが民主的だと思っていた私の思い込みが、ガラガラと崩れてしまい悲しくなります。もうアメリカやEU諸国に未来はないのかもしれません。

そのダメ押しの例として、あとひとつだけEU、NATO、OPCW(Organization for the Prohibition of Chemical Weapons:化学兵器禁止機関)の堕落と腐敗について書かせてください。

というのは、アサド政権が国民に化学兵器を使ったという嘘をつき、アメリカやNATOがイスラム原理主義勢力を使ってシリア攻撃に乗りだしたことを先に紹介しましたが、その証拠とされたのがOPCWの調査でした。

ところが、このOPCWの調査では、 調査団が「そのような化学兵器による攻撃はなかった」とする報告書を書いていたにもかかわらず、それを握りつぶしたのがOPCWのフェルナンド・アリアス事務局長でした。

ところが、この件について、 EU議会でミック・ウォレス議員が質問しようとしたら、例によってロワゾー議員が、その質問を阻止しようとしたのです。

次は再び先述のThe Grayzone誌からの引用です(太線は寺島)。

シリアのドゥーマ地区では2018年4月に化学兵器攻撃がおこなわれたとされているが、化学兵器禁止機関(OPCW)の調査団は、 そのような事実はなかったと結論づけた。

ところがOPCWのフェルナンド・アリアス事務局長が、 OPCWの調査を検閲し、 それを握りつぶしたという疑いが出てきた。

そこでEU議会の2021年4月の公聴会で、 欧州議会ミック ・ ウォレス(Mick Wallace)議員が、 その疑惑について質問しようとした。

するとロワゾー議員は激昂してウォレスを遮り、その発言を封じた。

「国際機関の活動に疑問を呈すること、そして今あなたが行ったような言い方で、化学兵器の犠牲者の言葉に疑問を呈することは受け入れられない」

元EU議会議員ミック ・ ウォレス

 

この「犠牲者の言葉」というのが捏造されたものであるという疑いが出てきているのに、それを権力で押さえつけようとしたのがロワゾー議員でした。
これはまるで新型コロナやワクチンについて疑問を呈すると、即座に「陰謀論者」のレッテルを貼られてきたのとそっくりです。

科学的議論は事実に基づいて議論すべきなのに、権力者が政治的判断で異論を排除するのは、中世のガリレオ裁判を思い起こさせるものです。

ですからミック・ウォレ ス議員が次のように反論したのは当然でした。

同じく先述のThe Grayzone誌による記事の続きです。

 

これに対してウォレス議員は、 「欧州議会では、 もはや言論の自由は認められていないのか」と憤慨した。 「今日、 あなたは、何の根拠もなく私の意見を否定している!」と憤りを露わに
して反論した。

何度も言いますが、これが欧米における言論界の実態です。そして同じような言説がウクライナ問題についても繰りかえされているのです。つまりロシアとプーチン大統領の「悪魔化」です。

こんな状況でドンバスとロシアに未来はあるのか。今回は、そんなことも書くつもりでしたが、思わぬ横道に入り込んでしまいました。

そこで引き返して、この話題に戻りたいのですが、午前10時から午後8時までノン・ストップで書き続けてきたので、正直言って疲れました。

この続きは明日にさせてください。

(寺島隆吉著『ウクライナ問題の正体3—8年後にやっと叶えられたドンバス住民の願い—』の第9章から転載)

 

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寺島隆吉 寺島隆吉

国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授

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