【連載】コロナ騒ぎ謎解き物語(寺島隆吉)

第39回 朝日新聞「ワクチン先進国 悩む再流行」を考える①:ワクチンが感染者を増やしている!?

寺島隆吉

私の主宰する研究所の一員から「先生はこの記事をどのように御覧になられますか」と言って、朝日新聞(2021-10-24)の切り抜きが送られてきました。

それは次の二つでした。

ひとつは、 「ワクチン先進国 悩む再流行」と題する、2面のほぼ2/3を埋め尽くす8段抜きの記事で、もうひとつは24面のほぼすべてを埋め尽くす「治療薬増える選択肢」と題する、さらに大きな記事でした。

そのすべてについて1回で論評することは無理なので、本節では「ワクチン先進国悩む再流行」という2面の記事だけに絞ることにします。

まず最初の記事「ワクチン先進国悩む再流行」では、その冒頭に次のような記事概要が載っていました。

 

新型コロナウイルスのワクチン接種が進んだシンガポールや英国で感染者の増加が止まらない。規制への考え方は両国で分かれるが、感染拡大の理由が明確でないのは共通する。どのように以前のような日常を取り戻すのか。 「コロナとの共生」への模索が続く。

この朝日新聞の記事では、イギリスとシンガポールの「1日あたりの感染者数と死者数、ワクチンの接種率」の時間軸による変化が載っていました。そこで、それをWEBに載せてある画像からコピーして紹介しようと思ったのですが、コピーガードがかかっていて、ここに載せることができません。

ところが調べてみると、イギリスとシンガポールにおける同じ現象を取りあげて研究した論考が、オンライン誌GlobalResearchに載っていることが分かりましたので、そのグラフを利用しながら朝日新聞記事を考えてみることにします。

この論考は、カナダの腫瘍外科医であり統計学者であるジェラール・デレピーヌ博士が書いた次の研究です。

ちなみに博士は、小児科医、腫瘍外科医であり、レイモン・ポアンカレ・ガルシュ大学病院の元小児腫瘍科部長でもあります。

(1)High Recorded Mortality in Countries Categorized as “Covid-19 Vaccine Champions”. The Vaccinated Suffer from Increased Risk of Mortality compared to the Non-vaccinated
( 「コロナワクチンのチャンピオン」と目されている国々での高い死亡率。ワクチン接種者が、ワクチン未接種者よりも死亡率増の危険に苦しんでいる。 )
https://www.globalresearch.ca/high-recorded-mortality-in-countries-categorized‐as-covid-19-vaccine-champions-increased-hospitalization/5757173

上の論考の題名を見ただけで内容が分かりますが、これには幾つものグラフが載せられていました。その4番目に載っていたのがシンガポールのグラフでした。
(もとの論文がフランス語で書かれていたものをGlobal Researchが英訳したものなので、グラフはフランス語のままであることを御了解ください。 )

シンガポールでのワクチンの失敗。80%のワクチン接種率でも流行の再発を防げなかった。

 

このグラフには次のような説明がついていました。(和訳は寺島)

この小さな国はワクチン接種率も高く、国民の8割近くが少なくとも1回の接種を受けている。

しかし、2021年8月20日以降、6月には10人程度だった患者数が7月末には150人以上、9月24日には1,246人と増加し、指数関数的な流行の再開に直面しなければならなかった。

ワクチン接種にもかかわらず、このように制御不能な再発が起きているため、ウイルスを根絶する戦略を放棄し、 「インフルエンザのように」病気を治療しようとすることで、 「ウイルスと共存する」というモデルになっている。

ところが朝日新聞の記事は、この同じ現象に対して「デルタ株が蔓延、再び規制強化」という4段抜きの大きな見出しをつけ、 「いまは1日の感染者数が3,000人を超える。日本の人口なら1日7万人の水準になる。ほとんどが接種完了後の『ブレイクスルー感染』だ」という解説を加えています。

そして、デルタ株の感染力が強かったから目算が狂ったとして9月から3回目の「ブースター接種」に踏み切ろうとするシンガポール政府の姿勢を、何の疑問もなく受け入れた記事の書き方をしているのです。

WHOもアメリカCDCも、そして日本政府も、 「ワクチンをうちさえすれば平常に戻れる」と言っていたのが間違いではなかったのかという、誰もがみな考える当然の疑問が、ここには全く見られません。

というのは、 「mRNAワクチン」という遺伝子組み換えワクチンはきちんとした臨床試験が終えられていないので今後どのような現象が生まれるか分からないからこそ、 「緊急使用許可」としてしか認められてこなかったのです。

まただからこそ、このようなワクチン接種が始まった直後から、ノーベル賞受賞者で、パスツール研究所の元レトロウイルス研究室長でもあったリュック・モンタニエ博士は、実験的ワクチンを接種することが統制不能な変異種を生み出す恐れがあるという警告を発していたのです。

(2)Bombshell: Nobel Prize Winner Reveals – COVID Vaccine Is ‘Creating Variants’
(爆弾発言:ノーベル賞受賞者が暴露──コロナワクチンが「変異株」をつくりだしている)
https://www.globalresearch.ca/bombshell-nobel-prize-winner-reveals-covid-vaccine-creating-variants/5746003?utm_campaign=magnet&utm_source=articl

ところがモンタニエ博士の警告は「陰謀論」というレッテルを貼られて闇に葬られてしまいました。

しかし、抗生物質が耐性菌をつくり出すという理由で、今では抗生物質は安易に使ってはならないということが常識になっています。だとすれば、これと同じことが遺伝子組み換えワクチンで起こらないことを誰が保証できるのでしょうか。

だとすれば、モンタニエ博士の発言を「ファクト・チェック」と称して言論界から放逐し封じてしまうことなく、公の場で論争し、科学的検証を続けるべきでしょう。ガリレオの地動説が教会権力によって闇に葬られたことを、私たちは二度と繰りかえしてはならないのです。

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寺島隆吉 寺島隆吉

国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授

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