映画『福田村事件』原作者に聞く 朝鮮人虐殺100年 日本の〝現在地〞

浅野健一

取材に答える映画『福田村事件』原作者・辻野弥生氏
 岸田文雄自公野合政権が8月24日に東京電力福島第一原子力発電所の放射能汚染水の太平洋への放出を開始してから1カ月を迎えた9月24日、NHKは「東電が原発から3キロ以内の海域で実施するトリチウム濃度の分析では、基準を大幅に下回っている」と報じた。

政府の広報を務めるNHKとともに、反中プロパガンダを引っ張るのが朝日新聞だ。9月25日付の一面左肩で、〈日本沖で操業、持ち帰れば「中国産」全面禁輸1カ月、中国の魚事情 福島第一原発の処理水問題〉(井上亮記者)を掲載。第1社会面では〈「迷惑電話」かけた中国人〉が載っている。電子版には、〈禁輸なのに…大量のサンマ中国船の操業、米駐日大使も「明らかだ」〉という記事もあった。

米国のラーム・エマニュエル駐日大使は9月22日、自身のX(旧ツイッター)を更新し、〈「百聞は一見にしかず」ということ。中国は日本産の水産物を輸入禁止としたが、その発表後の9月15日には、日本沿岸で操業を行う中国漁船が同じ海域で再び漁を行っている〉と指摘していた。

朝日新聞の船橋洋一・元主筆は、米CIA協力者として認定され、軍事3文書の有識者会議メンバー10人の1人だ。80年前と同じように、朝日新聞とNHKが先頭に立って、軍国主義・岸田政権と犯罪者集団「原発マフィア」の広報宣伝部隊を牽引している。

中国だけが反対という報道はフェイクだ。汚染水放流に対しては、日本国内の漁業関係者・専門家・市民の多くが反対している。外国でも、朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)、ロシア、太平洋諸島フォーラム(PIF)などが反対・疑義を表明している。

中国外務省は9月14日、中国の習近平国家主席とベネズエラのマドゥロ大統領の会談を踏まえた共同声明を発表した。声明では「日本の核汚染水の海洋放出に反対する」と記した。南太平洋の島国ソロモン諸島のソガバレ首相は同22日、ニューヨークでの国連総会一般討論で、放出計画が安全基準に合致するとしたIAEA(国際原子力機関)の報告書が確定的でなく、データが「不適切、不十分で偏向している」と主張した。「日本政府はそうした懸念を無視した。もし処理された放射能汚染水が安全ならば日本国内に保管されるべきだ」と語った。

このニュースを伝えた共同通信と時事通信は揃って、「ソロモンは昨年に中国と安全保障協定を締結するなど、関係を深めている」と強調。中国に押されて、汚染水放出反対を言っているという悪質なミスリードだ。

福島原発事件で発令された原子力緊急事態宣言の撤廃の目途は立たず、廃炉への道筋もまったく見えない。地球環境を破壊する海洋放出の加害国なのに、中国が科学的根拠も示さずに反対しているという世論ができ上がった。本来は、汚染水放出で最も影響を受けるアジア太平洋諸国の人民に対し、頭を下げて許しを請わなければならないのに、各国は支持・理解しているとウソをついて、放出以外の方法をと提言する中国に「科学的な根拠を示せ」と言い放つのだ。まるで中国で原発事故が起きたようである。

朝日新聞が9月16・17日に実施した世論調査では、海洋放出を「評価する」は66%、「評価しない」は28%だった。8月の同調査では「賛成」が53%。日米軍事同盟と現代版・大本営発表報道の結果だ。

 

「汚染魚」投稿で候補を取り消した共産党
 櫻井よしこ氏ら極右文化人は「日本の魚を食べて中国に勝とう」とまで言い出した。これに異議を申し立てた共産党の次期衆院選(新広島6区)新人の村井明美氏(元福山市議)が立候補を取り下げる事態になった。

櫻井氏が9月7日、Xで「高島屋で新鮮な魚を買ってきたわよ」という声を紹介し、「魚や貝をたくさん食べて、明るく幸せになって、中国に勝ちましょう」と呼びかけた。村井氏はこの投稿への返信で、「高島屋に行ける方は、ごくわずかの方たち。どうぞ、もっとしっかり汚染魚を食べて10年後の健康状態をお知らせください」と書き込んだ。

「汚染魚」という表現の是非についての議論は自由でも、出馬を取り消すほどの問題ではない。本人の申し出による措置でも、過剰反応ではないか。

これは野村哲郎農水相(当時)が8月31日、水産業者への支援について岸田氏らと協議した直後に、「汚染水のその後の評価を情報交換した」と語った“失言”問題と酷似している。NHKは「汚染水は中国などが使う言葉」と繰り返し、大手メディアは「汚染水」を禁句にしている。岸田氏による野村氏への撤回・謝罪の指示を当然とし、野村氏が謝罪の際、準備した紙を読み上げる形だったと非難した。

ビデオニュース・ドットコムの神保哲生氏は9月1日の文化放送「大竹まことゴールデンラジオ!」で「深刻な一種の言葉狩りだ。政府との間で何らかの合意があるからなのか、メディアでは、とにかく『処理水』ということにしている。役所の記者クラブが最初にどう呼ぶか統一する。『盗聴法』は途中から『通信傍受法』になった」と述べた。

すべての原発廃止を求める私たちは、政府とキシャクラブメディアにいとも簡単に洗脳されてしまった人々に対し、核汚染水放出の犯罪性を粘り強く知らせていこう。海洋放出でも「マスコミの沈黙」追及がいま重要だ。

岸田首相らを刑法違反で地検特捜部に告発
 私は9月1日、顧問をしている「税金私物化を許さない市民の会」と「原発汚染水放流に反対する全国連絡会」の仲間13人で、海洋放出を強行した岸田首相、西村康稔経済産業相、小早川智明東電社長、小野明東電福島原発廃炉推進カンパニー・プレジデント、松本純一同汚染水対策責任者の5人を東京地検特捜部に告発した。刑法120条第1項(出水で物を浸害)と211条の違反(業務上過失致死傷)に該当するため、厳重な処罰を求めた。

同日午前、地検文書課直告係の事務官に告発状を提出した後、司法記者クラブで会見した。私たちは告発状でこう訴えた。

岸田氏ら5人は共謀して福島第一原発に保管していた汚染水を8月24日から太平洋に放出する指示を下し、同日中に約458トンを流し、その後も流し続けている。岸田氏は、多核種除去設備(ALPS)を通せばトリチウム以外の放射性物質は除去できると虚偽の事実を告げ、放流を30年間にわたって行なうことを指示。小早川氏は岸田氏らの決定に従い小野・松本両氏を動かし、汚染水にトリチウムのほか、テクネチウム99、ストロンチウム90、ヨウ素129、ルテニウム106、炭素14などが未処理で残留したままなのを知りながら、原発敷地内に保管していたタンク約30基分に相当する計3万1200トンを23年度中に海中に放流し、海水を汚染しただけでなく、汚染水にさらされた魚を食する者にDNAの損壊の脅威並びに内部被曝のリスクを与えた。

この告発を報道したのは共同通信だけだった。ロイター通信、東京新聞電子版が共同通信記事をキャリアした。新潟日報など一部の地方紙が記事を載せた。地検への告訴状提出、記者会見の動画は「UPLAN」がユーチューブにアップしている。また、告発状を書いてくれた共同代表の岩田薫さんがブログに告発状全文を掲載している。

朝鮮人虐殺100年で考える「加害」責任
 9月7日付の東京新聞で田中優子・法政大学前総長は、中国の日本産海産物の輸入禁止について、「事故を起こした当事国」が「被害国」であるような気分になっている状況を挙げ、「巧妙かつ典型的な論点ずらしである。かつて沖縄密約がその情報受け渡しの際の男女の不倫への非難にずらされたことを私は思い出した」と書いている。

田中氏が言及した密約事件は、1971年の沖縄返還協定について、毎日新聞の西山太吉記者がスクープした事件だ。翌年、横路孝弘衆院議員が国会で追及。東京地検の検察官だった佐藤道夫氏(元参院議員)が起訴状に、「事務官をホテルに誘ってひそかに情を通じ、これを利用し」と書き、「沖縄密約」から、男女スキャンダルに転換させた。西山氏は有罪となり、退職した。

佐藤氏は1995年に中央大学の学園祭の、法学会主催「犯罪報道と人権」をテーマにしたシンポジウムに出席した際、「私が記者たちに『情を通じて』という情報をリークして、思惑どおりに、世論はコロッと変わった」と発言した。私もパネリストだった。

今年の9月1日は、関東大震災・朝鮮人中国人虐殺から100年だった。8月31日、東京都文京区で開かれた「朝鮮人・中国人虐殺100年犠牲者追悼大会」には約2千人が参加。9月1日に墨田区の都立横網町公園内にある朝鮮人犠牲者追悼碑前で開催された「東京同胞追悼会」には約500人が参加した。例年より参列者が多く、韓国から犠牲者遺族ら約100人が来日した。中国人の遺族も参加した。学生など若者の活動も目立った。

様々な行事を取材しながら、この100年で、日本国民の朝鮮民族に対する差別・蔑視の姿勢はまったく変わっておらず、むしろ状況は悪化したと感じた。

朝鮮総連の機関紙・朝鮮新報(9月5日付)の「春夏秋冬」によると、ある在日朝鮮人3世は追悼式で「再び殺されるかもしれない」と語ったという。在日朝鮮人が今なお恐怖心を抱いているのは、日本政府が当時の軍・警察による虐殺の事実を認めず、謝罪と賠償を怠っているからだ。

8月31日、東京・内幸町の日本プレスセンターで、関東大震災朝鮮人虐殺犠牲者韓国遺族会(2017年に釜山で発足)が記者会見した。2度目の来日となる権在益氏は「植民地下の慶尚北道から38歳で渡日し、群馬県内の砂利採取場で働いていた祖父は、震災直後の9月5日に、朝鮮人17人が保護されていた藤岡警察署で自警団などの襲撃で殺害された。この事実を知ったのは8年前だった。100年たった今も心が苦しい」と訴えた。

続いて曺光煥氏は「祖父の兄・曺権承は1921年に慶尚南道から18歳で渡日。震災後、父親は、東京での虐殺を逃れて帰郷した先輩から、息子が日本で殺害されたことを聞かされた」と振り返り、「韓国政府は日本に謝罪も要求せず、真相究明の努力をしていない。韓国国会に『関東朝鮮人虐殺事件の真相調査と名誉回復に向けた特別法』の制定を求めている。日本では、政府・皇室もそのまま存続している。憲法を無視して軍事費を倍増し、敵基地攻撃能力の保有も決め、再び侵略戦争を企んでいる。歴史は繰り返すことを忘れてはいけない」と強調した。

毎日新聞の金泳志記者が、「日本政府は事実を認めず、ヘイト犯罪が横行していることについてどう思うか」と質問。権氏は「虐殺した当事者たちは認識しているのか。銃などの殺傷武器、トビ口、竹やりなどで殺戮した。自分の仲間が死ぬ姿を見ながら殺された。日本の政府が主犯。政府による暴徒たちへの指図だった。この責任は必ず追及されなければならない」と答えた。曺氏は「『待つ』という辛さを知ってほしい。私たちは一家の大黒柱を失った家族を支援した。今もこの悲しみ、怒りは続いている」と述べた。

松野博一官房長官は8月30日の定例会見で虐殺について、「政府として調査した限り、政府内において事実関係を把握することのできる記録が見当たらないところである」と発言した。政府の中央防災会議は2009年に「虐殺という表現が妥当」とする報告書を作成。公文書を引用して軍隊や警察が加担したことを認めている。

松野氏は翌日の会見で、東京新聞社会部の望月衣塑子記者から、「防衛省に保管されている文書に、大震災直後、内務省が全国に発信したという電信文もある。内閣府のホームページにも、官憲・被災者・周辺住民による殺傷行為が発生し、殺傷されたのは朝鮮人が最も多かったが、中国人や内地人も少なからず被害に遭ったと、被害者の数も含めて出ている。朝鮮人虐殺はなかったことにするのか」と聞かれた。松野氏は「当該記述は有識者が執筆したものであり、政府の見解を示したものではない」と反論した。

9月4日の会見では、東京新聞の佐藤圭記者も松野氏に「神奈川県の民間団体が本日都内で会見し、研究者が発掘した、当時の神奈川県知事から内務省警保局長に宛てたとする報告書を公表した。報告書には、57件、計145人の朝鮮人虐殺について具体的な日時や場所、被害者の住所・氏名・職業・年齢までが特定されている。民間団体側は、『政府がひた隠しにしてきた』と主張しているが、記録が見当たらないという従来の政府見解に変更はないか」と質問した。松野氏は「ご指摘の報告書については承知していない」と回答を拒んだ。

6日の記者会見でも、望月氏はこう質問した。「2011年7月、当時野党だった自民党の松野さんが衆院文科委員会で『内務省発表によると、この事件で亡くなった被害者は231名。別の公的記録によると、朝鮮総督府の官房外事課では、亡くなった人は計832名で、このうちの2~3割が殺害事件の被害者ではないか』と質問している。自身の発言は覚えているか」。松野氏は「私の質問は、教科書検定制度に関し、教科書の記述について政府へ質問したものだ。当時の政府(民主党)の見解は、統計資料がないのでわからないということだった。先日の見解とは矛盾していない」と答えた。

朝鮮人虐殺を認めた上で、事実調査を求めた本人が、政権中枢を担うと「記録がない」と言い放っている。自己矛盾を感じないのだろうか。

映画「福田村事件」原作の辻野弥生氏に聞いた
 9月1日から公開中の映画「福田村事件」(森達也監督)を2日、キネマ旬報柏で観た。

関東大震災直後の1923年9月6日、官憲が流したデマが飛び交う中、福田村(現在の千葉県野田市)で香川県の被差別部落出身の行商人が朝鮮人と間違われ殺害されたとされる事件だ。被害者は子どもや女性を含む9人。1人は妊娠していたので、被害者は10人とする人もいる。加害者は福田村の4人と、隣村の田中村(現在の柏市)の4人の8人だったので、「福田・田中村事件」と呼ぶ人もいる。彼らは讃岐弁が理解できず、朝鮮人だと疑ったという。

森氏がオウム真理教をとり上げた「A」「A2」で、私は被写体になっているので、森氏の初の劇映画がどういうものか興味もあった。

事件と被差別部落の関係など不明な点も多い。福田村事件は発生から2週間後に新聞で初めて報道された。虐殺を隠していると国際的批判が出ると考えて解禁したらしく、記事が出たのは9月201日。加害者の自警団員8人は裁判で懲役2~10年に処せられるも、その後、昭和天皇の即位による恩赦で全員が釈放された。中には村長(後に市議)になった者もいる。

事件は地元でも長く隠蔽されてきたが、千葉県流山市在住の辻野弥生さん(1941年生まれ)が現地の歴史誌に書いた記事がきっかけで明るみに出た。辻野氏は2013年に『福田村事件関東大震災・知られざる悲劇』(崙書房出版)を出版。映画化で新装版が今年7月、五月書房新社から出た。全国約80館で公開が始まり、話題を呼んで全国約170館にまで広がった。10月4日から韓国で開かれる釜山国際映画祭への出品も決まっている。映画の出演者は、元参院議員(れいわ新選組)の水道橋博士が自警団を結成した在郷軍人役を演じるなど多彩だ。

ただ、虐殺シーンに入るまでに、普通に暮らす住民を描く中で、性的描写が繰り返されるのには違和感を持った。また、殺される前に行商人の親方による「朝鮮人だったら殺していいのか」という映画のキモとも言えるセリフは、史実にないという。ドラマ映画と史実の関係についても考えさせられた。

映画の上映後のトークで辻野氏は「野田の方たちが際立って残虐だったということではない。当時、私もそこにいたら、この小さな体で竹やりを持って行っていたと思う」と語った。映画の制作・脚本を担当した井上淳一氏は「リベラルな人間でさえも沈黙せざるを得ない、沈黙という形の加担を映画の中で訴えた。1回何かが発動したら、なかなか止められない。今でも、何かがあると反対という声を上げなければならない」と語った。

会場から、「森氏が監督になったいきさつは」と聞かれて、井上氏は「僕が脚本で企画を進めたがお金がないという状況で、たまたま(脚本の)荒井晴彦氏が森氏と会い、一緒にできないかとなった。森氏も福田村事件の映画化を考えていた。そこで、森氏の劇映画第1作ならお金が集まるということで、シナリオハンティングも終えて、制作会社は太秦という座組を受け入れてくれてほしいと提案し、森監督になった」と答えた。

私は9月4日、辻野氏にインタビューした。

辻野氏は、冒頭でこう述べた。

「旧版の本は3刷で3千部程度。新装本を出すにあたっては2年間、編集者とやりとりしました。私の本が脚本の井上さん、佐伯俊道さんらに渡ったのは、元NHKの永田浩三さん(武蔵大学教授)のおかげ。千葉県立中央図書館で当時の東京日日新聞などをマイクロフィルムで見ました」

辻野氏は映画に性的場面が組み込まれている点について、

「夫が兵隊に行っている時に舅と関係した妻。戦争で夫を亡くした女性と船頭。朝鮮で虐殺事件を目撃した男性の妻の船上での不倫。しかも、大震災と同時刻に。登場する女性記者は別として、この3人の女性すべてを、性を絡めて描いている点に疑問を感じるし、女性としてちょっとかなしくなります。特に船上でのシーンなどなくてもこの映画の本意は充分に伝わると思います」

「全部で6人生き残りました。犠牲者も生存者もすべて仮名です。地元の寺の住職は、胎児を含む犠牲者全員に戒名をつけ、朝晩勤行しておられます。慰霊碑の裏にも実名が刻まれていますが、香川の人が望んだ文言は、村に忖度したのか刻まなかったようです」

「普通に良い母親、良い父親でも、スイッチが入ると残虐性が出てくる。森監督は群れることの怖さに着目し、1025人1人が個を大切にして、ちょっと立ち止まって、これは本当かなと判断する力が必要と言っています。私は、福田村で起きたことは、ことさら残虐な人たちでは決してない、普通の人間の行為だと思います。割烹着を着た主婦に竹やりで殺された人がいるという証言があります。みんな、あそこにいたら行ったかもしれないということを頭に入れてほしい。あの人がこう言った、みんなが言っていると、流されないこと。いま、ネットで人を殺すこともできるのです」

小池百合子東京都知事は就任翌年の2017年から、歴代の都知事が行なってきた朝鮮人犠牲者追悼式典への追悼文送付をとりやめ、今年も送らなかった。

辻野氏は、「小池さんは、犠牲者すべてに哀悼の意を表しているからとしています。美濃部知事からスタートして石原慎太郎知事も送っていました。小池さんは歴史を隠ぺいしています。『様々な史実がある』と言い逃れていますが、震災で下敷きになって死んだ人と、人間によって殺された人はまったく違う。小池さんは心の中で韓国の併合を正当化し、朝鮮人を一段低く見ている。その姿勢が『そよ風』のような虐殺否定の団体の活動を支えている」

「根本は、国の政策が背後にあって、虐殺事件が起きた。その虐殺事件のとばっちりで、福田村事件が起きた。だから、朝鮮人虐殺がなかったら福田村事件も起きなかったといえます」

「私が育った福岡の村でも、小さい時に『朝鮮人』を、だらしない人、汚らしい人の代名詞みたいに使っていた。なぜ虐殺が起きたかを、学校できちんと教えてほしい。韓国の元徴用工も、お金が欲しくて活動しているのではない。尊厳を傷つけられたことへの謝罪と、人格を取り戻そうとしている」

辻野氏は岸田首相について「ひょうひょうとして、ケロッとして、安倍さんよりすごいことを次々とやっている」と語った。

戦後、最も危険な政治家である岸田文雄首相は10月4日、政権の発足から2年を迎えた。岸田氏は9月5日から7日間、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の首脳会議で汚染水海洋放出について、安全性を説明した一方、9月20日のニューヨークの国連の場では汚染水問題を封印した。岸田氏のブレーンの外務官僚が、国際的な場で、科学的な論争になると不利と見たのではないか。

私が前から訴えているように、自由と民主主義を否定し「日本の朝鮮侵略の贖罪」を主張する不安産業の統一協会を選挙・政治活動に活用してきた自民党は、政治資金規正法で規定する政党の要件を充たしていない。政党助成金(今年度は159億円)を受け取る資格はない。次期衆院選の最大の焦点は、自民党の解党・解散問題である。

(月刊「紙の爆弾」2023年11月号より)

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浅野健一 浅野健一

1948年、香川県高松市に生まれる。1972年、慶應義塾大学経済学部を卒業、共同通信社入社。1984年『犯罪報道の犯罪』を出版。89~92年、ジャカルタ支局長、スハルト政権を批判したため国外追放された。94年退社し、同年から同志社大学大学院メディア学専攻博士課程教授。2014年3月に定年退職。「人権と報道・連絡会」代表世話人。主著として、『犯罪報道の犯罪』(学陽書房、講談社文庫)、『客観報道』(筑摩書房)、『出国命令』(日本評論社)、『天皇の記者たち』、『戦争報道の犯罪』、『記者クラブ解体新書』、『冤罪とジャーナリズムの危機 浅野健一ゼミin西宮』、『安倍政権・言論弾圧の犯罪』がある。

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