移動を完全監視される社会

高橋清隆

実家のある新潟と東京の間をよく移動する。急用の場合は新幹線に乗るが、近年困っているのは朝、田舎から上京するときだ。最寄りの在来線の駅は八時頃まで人がおらず、券売機でも近距離切符しか買えない。

五年ほど前にSuica(スイカ)が使えるようになったので、それで改札を通ったことがある。新幹線駅のみどりの窓口で精算しようとしたら、「別途購入していただく形になります」と言われ、百五十円損をした。「じゃあ、どうすればいいんですか」と尋ねると、「券売機の所に乗車証明があるから」と返される。

納得がいかず、東京に着くと駅員に相談しようとしたが、改札の窓口にいるのは一人だけで、長蛇の列を相手にしている。仕方なくJRの相談窓口に電話すると、いつまでたってもつながらず、諦めた。後日、田舎の駅で乗車証明書を探したが、どこにもなかった。スイカで入っても別料金を取られるなら、何もタッチせずに新幹線駅までアプローチしたいが、増設中の監視カメラで捉えられたら無賃乗車で検挙されそうだ。

しかも、その新幹線駅は最近、みどりの窓口を廃止した。それで今回は、新幹線の乗り換え口に人がいる長岡まで在来線に揺られた。初乗りの百五十円切符を差し出し、東京までの運賃と精算した。「もう一つ手前から乗るにはどうすればいいでしょう?」と相談すると、「前日に窓口購入するか、ネットで買うか、百五十円切符を買って」との返事。

「それじゃあ、百五十円無駄になるじゃないですか」
「ちょっとね」

私は耳を疑った

「そこが重要じゃないですか」

駅員はきょとんとしていた。

この精算手続きだけで新幹線を一本逃す。長岡ならドリップコーヒーが買えるからと気を取り直すと、売店の扉に張り紙が。

「開店時間が六時半→八時に変更になりました」

東海道新幹線などでは、車内販売を廃止した。代わって登場したのが、個人の携帯端末からネット注文して、売り子が席に届けるというもの。ここでも電子に誘導している。これもコロナ茶番を利用した小さなショックドクトリン。「売り上げ減と人手不足」は口実にすぎない。

以前、東中野駅で遠距離切符を買おうとしたら、切符売り場がなくなっていた。JR東日本は、普通の有人窓口を全廃する方針のようだ。みどりの窓口も減っているのに。

どれもこれも、ウェブ取引と監視カメラで民衆を完全監視する布石だろう。人間が負ける想定で人間とAIを競わせ、最終的に人間をAI端末にするために。

これは自家用車を取り上げ、自動運転かライドシェア(乗り合い)に誘導していることと並行する。国際カルトは、人間に自由な移動を許さない社会にしたいのだ。

モバイルスイカやえきねっとを使えば、二、三百円安くなるのは承知している。「こっちの方が便利だよ」と人は言う。しかし、少々高いのは、自由のコストだと思っている。どこで何をしているかを完全に把握されているだけで気持ち悪い。

 

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高橋清隆 高橋清隆

反ジャーナリスト。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。元ローカル新聞記者。著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)、『亀井静香が吠える』(K&K プレス)、『山本太郎がほえる~野良犬の闘いが始まった』(Amazon O.D.)など。翻訳にデーヴィッド・アイク『答え』第1巻[コロナ詐欺編](ヒカルランド)。2022年3月、メディア廃棄運動を開始。 ブログ『高橋清隆の文書館』http://blog.livedoor.jp/donnjinngannbohnn/

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