「植草一秀教授は無実だ」、真相隠す大きな力(4)

高橋清隆

植草氏への大掛かりな悪宣伝

(3)からのつづき。多くの国民が植草氏を「クロ」だと見なすのは、マスコミの影響が大きい。マスコミでは意図的とも思える植草氏へのブラックキャンペーンが張られている。

新聞の場合、検察側の主張だけを載せる。例えば、7月18日の公判を報じた翌日付けの毎日新聞の記事は懲役6月が求刑されたことを伝え、「検察側は、被害者や同乗者の証言に加え、いったんは容疑を認めて自殺を図ろうとした植草被告の態度などから、『弁解は不合理で全く信用できない』と述べた」と記す。そして植草氏が女子高生のスカートをたくし上げて体を触ったことを挙げて記事を結ぶ。しかし、植草氏は一度も容疑を認めていない。この文言は「取扱状況報告書」にねつ造して書かれていたもので、植草氏は接見禁止を求める検察の「準抗告申立書」を見て始めて知った。

「酔って覚えていない」との語句も報道でよく見られたが、植草氏はこのような発言をしていない。「やった覚えはない」との発言を警察が「やったかどうか覚えていない」と調書に書いた。それをマスコミが尾ひれを付けて伝えた。「警察のでっち上げ」との語句は否認する植草氏に警察官が発した言葉だという。架空の供述を警察がマスコミへリークしたと植草氏は著書で訴える。

そもそも、真実を語ることが「弁解」なのだろうか。家族への影響と自身の今後を思い絶望感から自殺を考えることのどこが不合理なのか。一般紙はこの不合理な検察の主張を積極的に載せている。

スポーツ紙や週刊誌、芸能ニュースは、変質者のレッテル張りに余念がない。求刑のあった翌7月19日付のインターネットニュース『ZAKZAK』(夕刊フジのネット版)は「ミラーマン性癖…ヘルスでは『後方からプレー』」と題し、植草氏の変態性を宣伝する。非公開で行われた女子高生への尋問内容との名目で女子高生の尻をどうなで回したかを面白おかしく紹介し、風俗店での行為やアダルトビデオを買ったことなどを取り上げている。検察が事件の事実関係でなく私的な行動を洗いざらい公表するのは筋違いだが、こうした部分に焦点を当てて報じるのは人権侵害ではないか。

こうしたニュースに使われる植草氏の顔写真はいつも、目を見開いてぎょろりと右下を見詰めたとぼけたもので、明らかに失敗写真としてはねられたものである。「ミラーマン」「サワリーマン」との語句も統一性があり、作為的なものを感じる。

メディアは事件の真相をまじめに考えさせないように必死である。7月19日午前5時台に「植草事件求刑で検察側が決定的事項認める」のPJニュースがトップページにアップされると、3時間もたたないうちにスポーツ報知が「ヘルスでの制服お触り暴露! 植草被告6月求刑」との記事を出し、差し変わった。【つづく】

引用元:「植草一秀教授は無実だ」、真相隠す大きな力(1)~(5)

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高橋清隆 高橋清隆

反ジャーナリスト。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。元ローカル新聞記者。著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)、『亀井静香が吠える』(K&K プレス)、『山本太郎がほえる~野良犬の闘いが始まった』(Amazon O.D.)など。翻訳にデーヴィッド・アイク『答え』第1巻[コロナ詐欺編](ヒカルランド)。2022年3月、メディア廃棄運動を開始。 ブログ『高橋清隆の文書館』http://blog.livedoor.jp/donnjinngannbohnn/

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