【連載】ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会 メールマガジン
ノーモア沖縄戦

メールマガジン第164号:8月に思うこと「戦争の記憶 風化させない」

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それは衝撃的でした。夏の日の出来事が鮮明によみがえります。沖縄県宜野湾市の沖縄国際大学の構内に米軍普天間基地(同市)から飛び立ったCH53Dヘリが墜落。2004年8月13日の事件から19年が経ちました。事件の記憶を風化させないと墜落現場のモニュメント前で大学が集いを開き、学長が声明を読み上げ、激しい米軍機騒音や環境汚染など「変わらぬ現状に憤りを感じると同時に無念でなりません」として、危険な普天間基地の即時閉鎖・撤去を日米両政府に強く要求しました。学生を代表し2人が発言。「空で鉄の塊が大きな音をたて飛び回る姿は、緊張感と不安をかきたてる。平和にほど遠い現実だ」「平和のために大事なことは人と意見を交わすこと。平和をつくるのは我々一人ひとりであるという意識を持つことが沖縄の平和にもつながる」と語りました。

19年前、ヘリの機体は旧本館に激突し炎上・大破。奇跡的に人的被害はありませんでした。米軍は一方的に墜落現場を封鎖し、日本側の立ち入りを拒みました。その屈辱的な米側の姿勢に怒りを覚えたことを思い出します。
沖縄ではその後も、米軍・米兵による事件、事故は後を絶ちません。基地の爆音被害に多くの住民がさらされています。辺野古新基地建設は止まらず、「台湾有事」をにらんだ南西諸島の軍事要塞化は着々と進められています。民意を踏みにじって推し進める政府に大義は一点もありません。

8月15日、78回目の終戦記念日を迎えました。「新しい戦前」といわれる中、日本の平和を巡る状況はどうでしょうか。
岸田政権は、昨年末「安保3文書」を閣議決定し、歴代政府が憲法違反としてきた敵基地攻撃能力を保有する、そのために今後5年間で軍事費を43兆円にも増やしてGDP比2%へと倍増させる大軍拡に突き進んでいます。この大軍拡の本質は、米国が推進する対中国軍事包囲網づくりの最前線に日本が立つということであり、「先制攻撃」を基本原則にすえる米軍の「統合防空ミサイル防衛」戦略に組み込まれることに他なりません。そうなればどうなるか。集団的自衛権の行使により自衛隊が米軍と融合して相手国に攻め込んだ結果、甚大な報復攻撃を呼び込み日本全土が焦土と化す――「アメリカ言いなり」に、こんな危険な道を進むことは絶対に食い止める必要があります。

さらに岸田政権は、年内にも「防衛装備移転三原則」を見直し、殺傷能力を持つ武器まで輸出する国につくりかえようとしています。「平和国家」の理念を投げ捨て、「死の商人国家」にする企(たくら)みは許せません。
「核兵器のない世界」を目指すとりくみも重要な局面を迎えています。岸田首相が主導してまとめた「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」は、「核抑止力」を明記する一方、核兵器禁止条約には一言も触れないなど、被爆者はじめ多くの国民の願いをことごとく裏切りました。「核抑止」とは、いざとなったらいつでも核兵器を使うという考え方です。これに対して、今年の広島と長崎の平和宣言をはじめ、「核抑止力」論は完全に破綻しているという声が幅広い方々から上がり、核兵器禁止条約への参加を求める声が広がっています。

いまやるべきは、戦争の準備でなく、平和の準備です。東アジアに平和をつくるための「外交ビジョン」を持つことではないかと考えます。かつてナチスなど全体主義の暴虐とたたかった欧州の人びとは戦後、過去の教訓に学び欧州連合(EU)という組織に平和の願いを結実させました。もちろん、EUには核兵器保有国もあれば軍事同盟もあって限界はありますが…。

「シモーヌ」という映画は、EUで活躍したフランスの政治家が主人公。ナチスのホロコースト(大虐殺)を実体験し、それを二度と繰り返さなせないという信条から行動した人物が描かれていました。争いのない平和の共同体こそが戦争のない世界の基礎になるということを教えてくれています。

矢守一英(基地のない平和な沖縄をめざす会 共同代表)

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