第1回 今週のメディア、もっと頑張んらんかい!!
メディア批評&事件検証三つ目は5月24日アメリカのテキサス州の小学校で発生した
「18歳少年の銃乱射事件」
容疑者は18歳の少年で、小学校で銃を乱射して子供19人、大人2人が殺害された。ちょっと考えると分かる話だが、拳銃ではこれだけ大量に殺人行為は出来ない。新聞が伝えるところでは、この少年は18歳の誕生日にアサルトウエポン(突撃銃=Assault Weapon)。
https://foimg.com/00190/4bbqyl
私もアメリカの田舎(ペンシルベニア州クエーカータウン)に住んでいたので、アメリカ人の普通の市民が銃を持っている気持ちは分かるつもりだ。
私が下宿していた先はバプティストの教会が運営する学校の教師だったが、ある日偶然に彼が枕の下に拳銃を置いているのを発見。彼に聞いた。
「なぜ拳銃をそんなところに持っているのか?」
「私たちアメリカ人は国民が戦って作り上げた国だ。だから憲法でも銃の保持は認められている。銃を持つことはは国民の権利なんだよ」。
なるほど!
その時は納得したね。
彼は子供のことを考えて弾丸は抜いてベッドのそばの机の引き出しに入れていた。
ここまでは分かるのだが、今回テキサス州で起きた乱射事件で使われたのが日本語に訳すと突撃銃。英語だとAssault Weapon。今回の銃は
AR-15 style と呼ばれている戦闘用のライフル銃だ。
これは戦争の中で使うもので市民の日常生活とは全く関係ないものだ。
しかし、アメリカでは18歳の少年が400ドル?1000ドルくらいで銃器販売店で買えるのだそうだ。
米国では5月14日に東部ニューヨーク州のバファローで18歳の白人がスーパーで銃を乱射して黒人10人が死亡したばかり。
日本から帰国したばかりのバイデン大統領は24日夜ホワイトハウスで演説。
「もう、うんざりだ。このような銃乱射事件は世界のどこでも滅多に起こらない。なぜ米国では頻発するのか」と米国民に問いかけた。その上で「今こそ、この痛みを行動に変え、銃規制に向けて動き出す時だ」と訴えた。
アメリカ人は知っている。いや今や世界中が知っているよ。
アメリカでは銃規制なんかできないことを。
全米ライフル協会 (NRA)。これが謂わば「悪の権化」だな。ウクライナ戦争と同じ構図だよ。銃を生産しているのは軍事産業だ。
銃が売れれば銃のメーカーは儲かる。儲かったお金でじゃんじゃん政治家に献金して銃規制に反対させる。「銃の保持は建国の精神だ」などとほざいてね。
スイスの調査機関「スモール・アームズ・サーベイ」によると、米国では2017年時点で、一般市民が3億9330万丁の銃を保持していた。人口100人当たり世界最多の120.5丁で、世界で銃が人口より多い唯一の国だという。
諸悪の根源はアメリカという国が「軍産複合体」で成り立っている構図だ。
ここを変えない限りアメリカ国内で銃乱射事件は続発するし、世界のどこかでベトナム戦争以来、イラク戦争、アフガニスタン紛争、そして今回はロシアがウクライナに攻め込んだのだが、裏ではアメリカの「軍産複合体」が動いている。
今回ロシアが戦争を始めた。しかし、ロシアは大きな出血を余儀なくさせられているが、一方ウクライナ軍にせっせと武器を供給するアメリカの軍事産業。ロシアとウクライナが鍔迫り合いをすればするほど儲かるのだ。
停戦なんかやめてくれ!
もっともっとじゃんじゃん戦えよ!
これがアメリカの国の底で蠢く「軍産複合体」の本意だ。
銃の規制などおそらく実現はしないだろう。
それがアメリカだ!!
(2022/05/30)
(「週刊 鳥越俊太郎のイチオシ速報!!」より転載)
※ご支援のお願いのチラシ作成しました。ダウンロードはこちらまで。
1940年3月13日生まれ。福岡県出身。京都大学卒業後、毎日新聞社に入社。大阪本社社会部、東京本社社会部、テヘラン特派員、『サンデー毎日』編集長を経て、同社を退職。1989年より活動の場をテレビに移し、「ザ・スクープ」キャスターやコメンテーターとして活躍。山あり谷ありの取材生活を経て辿りついた肩書は“ニュースの職人”。2005年、大腸がん4期発覚。その後も肺や肝臓への転移が見つかり、4度の手術を受ける。以来、がん患者やその家族を対象とした講演活動を積極的に行っている。2010年よりスポーツジムにも通うなど、新境地を開拓中。