メールマガジン第194号:戦争前夜の沖縄ヘイト - 政治家が国民誘導する危険
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11月10日琉球新報社創刊130年記念事業・池宮城秀意記念フォーラム「沖縄ヘイトにあらがうー私たちに何ができるか」は、各登壇者の率直でぶれない思いに共感し学ぶことが多かった。「沖縄に生きて」の著者で、米軍初期占領下沖縄を知るには欠かせない池宮城秀意氏の功績を思い起こす機会ともなった。
歯に衣着せぬ発言が心地よい辛淑玉氏は、差別発言を広げるものとして公的人間の差別発言を挙げ、歴史修正史観を持つ者が強さを確認するために必要なものが沖縄差別、沖縄ヘイトであると説いた。公的人間の差別発言や安倍元首相をはじめとする過去の戦争を反省する姿勢を自虐的とする歴史修正史観者が沖縄ヘイトの背景にいるのは確かだ。沖縄戦を体験し戦争に繋がるものに強い嫌悪感を持つ沖縄、米軍基地に反対し続ける沖縄と、日本という国の強さを誇りたい歴史修正史観者、米国隷属の政治家は相容れない。ただ、ここで一つ強調したい点は、フォーラムで提示されなかった視点としても付け加えたい点は、ヘイトを煽る公的人間や政治家には政治的戦略としての目的を持ったヘイトがあるということで、それこそが危険だということだ。
ドイツのナチス政権は、戦争前にユダヤ人やポーランド人を対象にしたヘイトスピーチやプロパガンダを拡散した。「ユダヤ人は戦争を勃発させようとする陰謀者」などのフェイクニュースで恐怖を煽り、「東欧人は人間以下の存在」とのポスターやヘイトスピーチで人々の嫌悪を強めた。戦前の日本も鬼畜米英と呼んで人々のヘイト(嫌悪)を強め、大本営ではフェイクニュースを流し続けた。今の日本のネットは、中国脅威を煽り、中国、朝鮮、沖縄ヘイトで満載だ。登壇者の1人、安田浩一氏は、イスラエルの人々がパレスチナの人々を揶揄するヘイト動画を見せてくれたが、それはパレスチナ人を自分達より劣った者として見なす世相作りに役立っており、今回のイスラエルのパレスチナに対する無差別攻撃の背景となっていると思われる。
戦争前夜では、政治家は敵国と見なす国や人々に対するヘイトやフェイクニュースを戦略として意図的に流し国民を誘導する。沖縄は日本の一県で敵国でもないが、戦場として円滑利用したい政策があるが故に、日本本土と沖縄の分断は必要で、ヘイトやフェイクニュースはその手段として有効なのだと考える。自民党政権関連組織が運営するネトウヨが、反原発や反基地など政策反対者を敵視、「福島土人」「沖縄土人」と揶揄したことからもわかる。戦争前夜のヘイトは戦争肯定に繋がる危険性を持つので要注意である。
与那覇恵子(当会発起人)
※本稿は与那覇さんの了解を得て、11月25日の琉球新報論壇を転載したものです。
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