基地の街に住むということ―沖縄県宜野湾市・PFAS問題
琉球・沖縄通信・生存権を守ろうとする沖縄県民の怒り
費用をケチる「故意」の放出に人々は怒った。軍への水道を止めてしまえという声まで出た。しかし、送水管の一部は米軍施設の下を通る。沖縄県企業局はこの部分につき沖縄防衛局に1年毎に使用許可を申請し、使用料を払って借りる。国が無償で米軍に提供した沖縄の土地を沖縄が有償で借りるわけだ。なんとも馬鹿馬鹿しい話ではないか。しかも、米軍が認めなければ許可は下りず、住民への送水が止まる。「馬鹿馬鹿しい話」が住民の首根っこを押さえているのだ。
参照:
*地位協定第2条4項(a)
*地位協定の実施に伴う国有の財産の管理に関する法律 第4条1項
*在日合衆国軍隊の用に供する国有財産の一時使用等を許可する場合の取り扱いの基準について 平成6年9月30日 蔵理第3939号
*提供民公有財産等の一時使用に係る使用期間の更新について(沖縄県企業局長より沖縄防衛局長あて)
*提供民公有財産一時使用許可書(沖縄防衛局長より沖縄県企業局長あて)
・日本政府は税金で焼却処理、主権国家としての姿勢問われる
人々の焦りを見越してか、米軍はなお残る36万㍑の泡消火剤の処理を日本に迫り、日本政府は9200万円の国税を投じて引き取り焼却処理した。濃度は不明。もはや主権国家たり得ない。自衛隊は、自らの不始末を日本に押し付ける米軍の指揮の下、有事に日本を守る?ありえない。
なお、日本側への引取り交渉中の2021年9月、米本国ではPFASの焼却処分による環境への移行の不安から国防権限法の修正案が下院で審議中であり、同年12月、2022国防権限法で焼却処分は当面禁止された。
問題はまだある。冒頭にあげた、米軍ヘリの窓枠が落ちた小学校の運動場は隣接する普天間基地の消火訓練施設から250㍍程の距離だ。大雨のたびに基地からの雨水が運動場に流れ込んだ。が、現在は排水溝ができて流れ込まないこと、運動場の整備(調査や除染目的ではない)をしたこと、当校へ何度も赴任した自分が健康だから健康への心配は「杞憂」だ、よって土壌調査はしない、と教育長は言い切る。案じられるのはPFASの残存性・難分解性だ。不安を抱く父母はいるが、口に出すとわが子の学校生活に不利がないかと口をつぐむ。
宜野湾市役所「まち未来課」は湧水や緑地を利用した普天間基地跡地利用計画の策定を市民に呼び掛けるが、PFASに向き合うことは避ける。いつとも知れぬ返還に、汚染からは目を背けどんな未来図を描くのか?
山形県出身。高校まで沖縄の「お」の字も考えたことがなかった。 大学時代、「復帰」に揺れる「沖縄問題」と、うちなんちゅの現夫に遭遇。 1988年沖縄に移住、宜野湾在住34年。 引っ越し翌日、米軍機に頭上スレスレを襲われ(という実感)、 以来、怒りとともに「なぜ?」という疑問を追及せずにはいられず、今日に至る。