【連載】安斎育郎のウクライナ情報

7月3日~7日のウクライナ情報

安斎育郎

【7月3日のウクライナ情報】

●恐るべき民族浄化の発言(2015)
:ウクライナのボグダン・ブトケビッチは2015年に「ドンバスの人間は役立たず。我々ウクライナ人の資源を無駄に消費する。少なくとも150万人は無駄。残酷だが、彼らを絶滅させなければならない」と、現在のナチスウクライナによる『民間人への報復砲撃』を予見させる言葉をTVで述べていた。

●ゼレンスキー大統領の公約破り
:こう言っておいてロシア語系住民を迫害している。

●ポロシェンコ大統領、3度目の動員令に抗議するウクライナの人々(2014.8.1)
https://www.youtube.com/watch?v=sCfYnU5xIcA

●避難する市民を襲うウクライナ軍アゾフ兵(マリウポリ、2022年3月1日)
マリウポリから脱出しようとする市民を襲うウクライナ軍の暴力分子を、同じく脱出しようとする後 ろの車の市民が撮影し、すきを見て猛ダッシュで逃げたという映像です。

●ブチャの虐殺:遺体の白い腕章は親ロシア派住民であることを示しているこの映像は、親ロシア派の市民が殺されたうえで路上に引きずり出され、例のブチャの「遺体ゴロゴロ」が演出されようとしているかなり決定的な映像です。遺体は白い腕章をしており、親ロシア派の人々です。

それにしても、どうしてウクライナ軍は親ロシア派住民の白い腕章を外さずに「遺体ゴロゴロ」させたのだろう?ブチャの悲劇がロシア軍によるものではなく、ウクライナ軍によるものだということは、

❶時系列的な事実経過(3月30日にロシア軍の最後の部隊が町を出た翌日のブチャ市長の談話にも「町に遺体 ゴロゴロ」の話はなく、4月2日のウクライナ国家警察隊のパトロール映像にも遺体ゴロゴロは映っていないのに、4月3日になって突然町が遺体ゴロゴロになる)。

❷遺体ゴロゴロのあたりはロシア軍陣地だったから、遺体から発見されたフレシェット弾の破片はロシア軍が自陣に向けて撃ったものである筈がない。

❸ロシア軍程の組織化された部隊がわざわざ自分たちの非人道的行為の証拠をそのままにして退去することはとても考えにくい。

❹あれはウクライナ保安庁とイギリスの秘密情報部隊MI6が共同で4月3日早朝から準備して、バスで報道陣を案内したという最高議会議員の話がある。

❺捕虜になったイギリス人傭兵の手帳にブチャとイルピンでの虐殺の遺体を埋めた場所の記述があり、実際の地形とも合致している、などなど)から総合的に判断してほとんど確定した事実ですが、まだ、あれはロシア軍の蛮行と考えている人(考えたい人、ウクライナ軍がやったと考えたくない人)もかなりいるので、あえてこの映像も送ります。ゴロゴロしていた遺体は、白腕章をしている親ロシア派 2 と一目で判別できる人のほか、白い腕章はしていないが遺体のそばにロシア軍が配った支援物資の袋が残されていたケースも複数見られる。遺体ゴロゴロの前日、パトロール中のウクライナ国家警察 隊の隊員と指揮官の会話が録音されているが、隊員:「青い腕章をしていない奴ら(青い腕章は「親ウクライナ派」の印)は撃ってもいいんですか?」、指揮官「よし、撃て!」と言っている。ウクライナ支援に シンパシー抱いている人々は、別に悪気はないのだろうが、「ウクライナ軍が同じウクライナ人にそん な非人道的なことをするはずがない」と思い込んでいる人々が少なくないようだが、ウクライナのアゾフ極右民族差別主義集団は、そんな甘いもんじゃない。それは、上のマリウポリで避難するウクライナ市民を襲っているウクライナ兵の暴虐からも分かるだろう。

●ドンバスでイタリア人ジャーナリストが取材した映像(ロシア第1放送、2017年3月17日)
https://www.youtube.com/watch?v=c2RSmVmF7Es

●ロシアの医薬品が輸入禁止ウクライナの医薬品事情が悪化(2017年4月15日)
https://www.youtube.com/watch?v=vdEjpITuBqY

●インドネシア大統領、プーチン氏と会談 ゼレンスキー氏書簡渡す(毎日新聞、2022年7月1日)

ロシアのプーチン大統領は6月30日、今年の主要20カ国・地域(G20)議長国であるインドネシアのジョコ大統領とモスクワで会談した。ジョコ氏は前日に会談したウクライナのゼレンスキー大統領からの書簡をプーチン氏に渡したことを明かした。プーチン氏は G20 首脳会議開催への支援を表明 したが、直接出席するかどうかは明言しなかった。

両大統領は会談後に報道陣の前でそれぞれの声明を読み上げた。ジョコ氏はロシアのウクライナ侵攻について「平和的解決と開かれた対話を進めることが重要だ」と呼びかけ、プーチン、ゼレンスキー両氏の接触を調整する用意があることを伝えた。ゼレンスキー氏の書簡の内容は明かさなかったが、プーチン氏が会談でウクライナからの食料輸出を保証すると語ったことを明らかにした。

プーチン氏は世界の食料問題の原因が西側諸国による「経済路線の誤り」とする持論を改めて展開。 欧米の経済制裁により、ロシアや隣国ベラルーシから肥料や食料の輸出が困難になっていることを訴 え、「制裁により寸断された供給網を復活させることが重要だ」と制裁の解除を迫った。

ジョコ氏は11月にバリ島で開かれる予定のG20首脳会議にプーチン氏のほか、G20のメンバー ではないゼレンスキー氏も招待しているが、欧米諸国からはプーチン氏の出席に反対する声も出ている。ロシアのペスコフ大統領報道官は30 日、「大統領自身が行くこともできるし、誰かを派遣することもできる。我々の利益に最もかなう決定をする」と述べるにとどめた。

ジョコ氏は 29 日にはウクライナの首都キーウ(キエフ)を訪問し、ゼレンスキー氏と会談。ロシア側と の和平交渉の開始を求め、「ゼレンスキー氏のメッセージをプーチン氏に伝達する役割を申し出た」と いう。

ウクライナ大統領府によると、ゼレンスキー氏は G20 への招待に謝意を示しつつ、「ウクライナ が参加するかどうかは国内の安全の状況と会議の参加者の構成にかかっている」と述べた。【モスクワ前谷宏、バンコク石山絵歩】

●BRICS 諸国が新たな国際通貨基金を設立(2022年7月1日)

※速報:BRICS 諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)は、マレーシア、シンガポール、イン ドネシア、チリを加え、それぞれ 22 億ドルを出資して新しい国際通貨基金を設立し、欧米の IMF に代 わる、より良い金利で、困っている国々に貸し出しを行なう仕組みを前進させた。

※BRICS は Britain, Russia, India, China, South Africa の頭文字ですが、新たにマレーシ ア、シンガポール、インドネシア、チリも加わった。

●リシチャンスク住民へのイギリス人ジャーナリストのインタビュー(嫌われる)

アメリカやイギリスのメディアには独立独歩で戦闘現場からの客観報道をしている人もいますが、そうじて地元住民には欧米系ジャーナリストは嫌われているようです。この映像でも、記者がイギリス人だと知るや、リシチャンスクの住民は「真実を書かないわね」と言っています。

●虚偽の理由でイラク戦争を起こしたブッシュ大統領、五男(2022.6.20)

ご承知の通り、2003年、ジョージ・ブッシュ大統領は「イラクは大量破壊兵器を隠し持っている可能性がある」という理由をつけて、それこそ国際法違反の軍事侵攻(イラク戦争)を行ないました。結果として大量破壊兵器は見つかりませんでしたし、イラクには大量破壊兵器を開発する計画もなかったことが分かりました。

戦争による死者は50万人という数字がよく引用されますが、この映像では100万人と言って怒っています。哲学者であり言語学者であるノーム・チョムスキーが、「アメリカにロシアを批判する資格はない」と言っているのはこうした事情からでもあります。

 

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安斎育郎 安斎育郎

1940年、東京生まれ。1944~49年、福島県で疎開生活。東大工学部原子力工学科第1期生。工学博士。東京大学医学部助手、東京医科大学客員助教授を経て、1986年、立命館大学経済学部教授、88年国際関係学部教授。1995年、同大学国際平和ミュージアム館長。2008年より、立命館大学国際平和ミュージアム・終身名誉館長。現在、立命館大学名誉教授。専門は放射線防護学、平和学。2011年、定年とともに、「安斎科学・平和事務所」(Anzai Science & Peace Office, ASAP)を立ち上げ、以来、2022年4月までに福島原発事故について99回の調査・相談・学習活動。International Network of Museums for Peace(平和のための博物館国相ネットワーク)のジェネラル・コ^ディ ネータを務めた後、現在は、名誉ジェネラル・コーディネータ。日本の「平和のための博物館市民ネットワーク」代表。日本平和学会・理事。ノーモアヒロシマ・ナガサキ記憶遺産を継承する会・副代表。2021年3月11日、福島県双葉郡浪江町の古刹・宝鏡寺境内に第30世住職・早川篤雄氏と連名で「原発悔恨・伝言の碑」を建立するとともに、隣接して、平和博物館「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館」を開設。マジックを趣味とし、東大時代は奇術愛好会第3代会長。「国境なき手品師団」(Magicians without Borders)名誉会員。Japan Skeptics(超自然現象を科学的・批判的に究明する会)会長を務め、現在名誉会員。NHK『だます心だまされる心」(全8回)、『日曜美術館』(だまし絵)、日本テレビ『世界一受けたい授業』などに出演。2003年、ベトナム政府より「文化情報事業功労者記章」受章。2011年、「第22回久保医療文化賞」、韓国ノグンリ国際平和財団「第4回人権賞」、2013年、日本平和学会「第4回平和賞」、2021年、ウィーン・ユネスコ・クラブ「地球市民賞」などを受賞。著書は『人はなぜ騙されるのか』(朝日新聞)、『だます心だまされる心』(岩波書店)、『からだのなかの放射能』(合同出版)、『語りつごうヒロシマ・ナガサキ』(新日本出版、全5巻)など100数十点あるが、最近著に『核なき時代を生きる君たちへ━核不拡散条約50年と核兵器禁止条約』(2021年3月1日)、『私の反原発人生と「福島プロジェクト」の足跡』(2021年3月11日)、『戦争と科学者─知的探求心と非人道性の葛藤』(2022年4月1日、いずれも、かもがわ出版)など。

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