【連載】安斎育郎のウクライナ情報

7月3日~7日のウクライナ情報

安斎育郎

【7月6日のウクライナ情報】

ウクライナの戦況からすると、ゼレンスキー大統領に「武器なき戦い」は早くやめて、和平への道を歩むよう言いたいですが、本人は相変わらず「降伏しない強い英雄的大統領」を演出したいらしく、リシチャンシクから撤退せざるを得なくなってもなお、「奪還」を宣言し、欧米などに「さらなる武器提供」を求めています。

狂気の沙汰としか思えませんが、この戦争を起こさせる原因をつくったアメリカのネオコン勢力は、ロイド・オースチン国防長官(大手軍需産業レイセオン・テクノロジーズ元取締役)が言っ たように「ロシアを弱体化させる」ために、ウクライナの人々を犠牲にもうしばらく戦争を続けさせる つもりなのでしょう。

また、「なんでもかんでもロシアのせいにする」という点では、これまでもブチャの虐殺、マリウポリ劇 場爆撃、ロシア兵のレイプや性的虐待などは実際にはウクライナの仕業やデータ捏造だということが分かってきましたが、いま「旬」の話題は「クレメンチュクのショッピング・センター爆撃」の話題です。今日の情報の中には、この事件の映像を詳細に解析して真実に迫りつつある大事なものが含まれています。

あの攻撃映像で安斎が真に不審に思っていたのは、飛んでくるロシアのミサイルが極めて鮮明 に映っていたことですが、音速を超えるスピードで飛んでくる飛翔体が監視カメラにそんなに鮮明に映る筈はないのです。今日の映像の解析者は監視装置の解像度をもとに計算し、この映像がウクライナ側が作った「合成映像」であることも突き止めています。まったく、西側情報なるものはうっかり信じちゃいけませんね。

●ゼレンスキー大統領、奪還の決意を強調(2022年7月3日)
ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアが制圧を宣言した東部ルハンシク州の“最後の拠点”リシ チャンシクからウクライナ軍が撤退したことを認め、奪還の決意を強調しました。

●ウクライナのゼレンスキー大統領 「戦略を立て直し、最新鋭の兵器を持って戻ってくる」
ゼレンスキー大統領は3日、兵士の命が何よりも大事だとして、ルハンシク州“最後の拠点”とされていたリシチャンシクからウクライナ軍が撤退したことを認めました。その上で、「我々は何も諦めない」と話し、奪還を目指す決意を強調。欧米などにさらなる武器の提供を求めています。

リシチャンシクをめぐっては、ロシア国防省が周辺の集落を含め完全に掌握したとし、ルハンシク州を制圧したと表明していました。 ロシアは隣接するドネツク州を含めたドンバス地方全域の支配を目指していて、今後ドネツク州への攻勢を強めるものとみられています。そのドネツク州では北部スラビャンスク市で3日、市場などに砲撃があり、市長によりますと、子どもを含む6人が死亡しました。
https://www.youtube.com/watch?v=LswBdSHQr0o

●ショッピング・センター爆撃の真相(2022年7月4日)

こういう映像を解析できる人がちゃんといるんですね。ロシアが軍事施設を砲撃した後、ウクライナ が 8か所で爆発や放火をしたという解析結果で、しかも、ウクライナが発表したミサイルが飛んできて 爆撃に至る過程を映した映像は「合成映像」ということです。安斎も、音速を超える速さで飛んでくる ミサイルがあんなノロノロとクリアーに映像に移るはずはないと思っていましたが、この解析者はちゃ んと計算までして合成映像であることを確認しています。

https://note.com/tanaqoo/n/nb07c4a2d0d5f

合成映像づくりは戦争を闘う国にはつきもので、ゼレンスキー大統領もずっとキーウにいて不退転 の決意で闘っていると言われるものの、身の安全を考えれば国外の隠れ家に移っている可能性は当 然あります。発表された動画にもいかにも「合成然」としているものがあります。

下の映像は公表され たある動画の一場面ですが、大統領の後ろを歩くバイデン風の人物と、手前のゼレンスキー大統領では光の当たる方向が逆です。しかもこの動画、大統領の姿だけが小刻みにウロウロ動いていて、いかにも「嵌め込んだ」感濃厚なのです。だから、動画の合成などは普段からやっていてお手の物なのでしょうが、見る人が見ればバレるものです。

●タッカー・カールソン:誰のための戦争か?(2022年5月7日)
アメリカの保守系メディアなのですが、タッカー・カールソンは頑張っています。
https://www.youtube.com/watch?v=BuK6HuzKKRU

●スペインの独立系ドキュメンタリスト Ruben Gisber の報告(2022年4月10日)

スペイン人ジャーナリストRuben Gisbert氏はマリウポリやドンバスなど、ウクライナの現地に入り込んで、戦争の実態をつぶさに目撃し、西側世界に報じています。彼が目にしたのは、ロシア軍ではなく、ウクライナ軍による凄惨な戦争犯罪でした。その犠牲者はロシア系住民です。捕虜のロシア兵を残虐に殺害するやり方も完全な人道犯罪です。

Ruben氏はスペインがウクライナに武器支援をすることは、彼らの戦争犯罪に加担することだと訴えています。Ruben さんは現地でネオナチに命を狙われていますが、報道を止めるつもりはありません。勇気ある英雄です。ただし本国スペインのマスメディアでは陰謀論者扱いされているそうです。

ここからは、ウクライナの住民の声です。

●マリウポリ難民の証言(2022年7月4日) ウクライナ軍がロシア語を話すウクライナ人を敵として扱う。酷いものです。

●「ロシア人というだけで抹殺されてきた」(マリウポリ、2022年5月30日)
:職場で母語であるロシア語も使えない。これは文化弾圧ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=u-qTD3QeFGA

●「ウクライナ語で話せ!」と言われて反論する勇気ある婦人(2022年5月2日)
:このおばちゃん、勇気あるね。撃たれるかもしれないとは思わなかったのかな。
https://www.youtube.com/watch?v=bN7vYs7Z82o

●マリウポリ出身のウクライナ人の証言(2022年4月29日)
:傷病兵がマリウポリからの脱出を語る。
https://www.youtube.com/watch?v=e4BAAD3ZC1I

●「あいつらは私らを憎悪していた」(マリウポリ住民、2022年7月2日)
:「嫌われたのは、ロシア語しゃべるからだよ、われわれが」
https://www.youtube.com/watch?v=-7oVno0zows

●リシチャンスク解放に住民が「遅いよ!」と文句?(2022年7月5日)
:ウクライナ軍が撤退した後のリシチャンスクの破壊の跡。爺ちゃんはもっと早くロシア軍に来てもら いたかったらしい。

●解放されたマリウポリの戦勝記念日の人々(2022年5月9日)
:アゾフスターリ製鉄所に立てこもったアゾフ連隊が投降した直後の住民のデモ行進ですね。みんな安心している様子です。

●解放された地域の住民がロシア軍に「援助」(2022年4月8日)
住民が通りがかりのロシア軍兵士の戦車に駆け寄って物資の援助。彼らも楽じゃあるまいし。

これはゼレンスキーの大統領としての初記者会見の様子ですが、東部のロシア語系住民に対する 宣戦布告のような内容です。

●2019年10月11日、ゼレンスキーの初記者会見映像
:ゼレンスキーが大統領になったのは2019年5月。これは初記者会見だが、ドンバス戦争の宣戦布告 のような内容だ。

●バイデン:侵攻前のゼレンスキー氏「聞く耳持たなかった」(朝日新聞デジタル、2022年6月13日)
:ロシア軍が侵攻に至るまでのウクライナ政府の対応をめぐり、米バイデン大統領は6月10日、ゼレンスキー大統領が米政府の警告を無視していたと、不満を漏らした。これに対し、ウクライナ政府高官が激 しく反発。駐ウクライナ米大使が釈明に追われる事態となった。 事の発端は、バイデン氏が米ロサンゼルスで開かれた政治資金パーティーで記者団に述べた発言だ。

AFP通信によると、バイデン氏はロシアによるウクライナの軍事侵攻の可能性を事前に警告していた ことに言及。「多くの人に大げさだと思われていたことは知っている」とした上で、「(プーチン氏が)国 境を越えようとしていたと確信していた。だが、ゼレンスキー氏は聞く耳を持たなかった」と述べた。

●ウクライナへ送った武器がダークウェブで取引されている(2022年7月4日)
:ロシア・テレビが試しに武器の購入希望を闇市場に告げてみたら、買える、買える。

●ウクライナの電力、借金事情(ロシア第1放送、2022年4月6日)
:ウクライナは国民生活も国家財政も極めて不健全な状態だと分かります。私はこの戦争の跡のウク ライナ再建は極めて困難だと思っていますが、借金なしには立ち行かないウクライナの国家財政を西欧社会は支え続けるのでしょうか?

とりあえず100兆円という声が聞こえますが、そんなものでは収まらないと思います。100兆円は福島原発事故による損害の規模です。
https://www.youtube.com/watch?v=xTDBgObVkxk

 

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安斎育郎 安斎育郎

1940年、東京生まれ。1944~49年、福島県で疎開生活。東大工学部原子力工学科第1期生。工学博士。東京大学医学部助手、東京医科大学客員助教授を経て、1986年、立命館大学経済学部教授、88年国際関係学部教授。1995年、同大学国際平和ミュージアム館長。2008年より、立命館大学国際平和ミュージアム・終身名誉館長。現在、立命館大学名誉教授。専門は放射線防護学、平和学。2011年、定年とともに、「安斎科学・平和事務所」(Anzai Science & Peace Office, ASAP)を立ち上げ、以来、2022年4月までに福島原発事故について99回の調査・相談・学習活動。International Network of Museums for Peace(平和のための博物館国相ネットワーク)のジェネラル・コ^ディ ネータを務めた後、現在は、名誉ジェネラル・コーディネータ。日本の「平和のための博物館市民ネットワーク」代表。日本平和学会・理事。ノーモアヒロシマ・ナガサキ記憶遺産を継承する会・副代表。2021年3月11日、福島県双葉郡浪江町の古刹・宝鏡寺境内に第30世住職・早川篤雄氏と連名で「原発悔恨・伝言の碑」を建立するとともに、隣接して、平和博物館「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館」を開設。マジックを趣味とし、東大時代は奇術愛好会第3代会長。「国境なき手品師団」(Magicians without Borders)名誉会員。Japan Skeptics(超自然現象を科学的・批判的に究明する会)会長を務め、現在名誉会員。NHK『だます心だまされる心」(全8回)、『日曜美術館』(だまし絵)、日本テレビ『世界一受けたい授業』などに出演。2003年、ベトナム政府より「文化情報事業功労者記章」受章。2011年、「第22回久保医療文化賞」、韓国ノグンリ国際平和財団「第4回人権賞」、2013年、日本平和学会「第4回平和賞」、2021年、ウィーン・ユネスコ・クラブ「地球市民賞」などを受賞。著書は『人はなぜ騙されるのか』(朝日新聞)、『だます心だまされる心』(岩波書店)、『からだのなかの放射能』(合同出版)、『語りつごうヒロシマ・ナガサキ』(新日本出版、全5巻)など100数十点あるが、最近著に『核なき時代を生きる君たちへ━核不拡散条約50年と核兵器禁止条約』(2021年3月1日)、『私の反原発人生と「福島プロジェクト」の足跡』(2021年3月11日)、『戦争と科学者─知的探求心と非人道性の葛藤』(2022年4月1日、いずれも、かもがわ出版)など。

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