第2回 日本でも確認され、拡大が懸念される“モンキー・ポックス(サル痘)”
社会・経済コロナの第7波が猛威を振るっています。日本では連日、感染者数の記録が更新されているわけで、注意が怠れません。
そんな中、天然痘に似た「サル痘」の感染者が国内で初めて確認されました。最初はヨーロッパから帰国した男性でしたが、2人目は来日した北中米からの男性とのことですが、国籍は明らかにされていません。
今年になって欧米を中心に流行り始めたわけですが、既に75か国で2万人近くの感染という急拡大が続いています。これまではアフリカ大陸の西部と中央部にしか存在が確認されていませんでした。アフリカ以外でこれほど感染者が増えたのは初めてのことです。
そのため、世界保健機関(WHO)では7月23日、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言しました。これはWHOによる最高レベルの警戒警報で、2020年1月の新型コロナウィルス以来のことです。
まさに、「一難去ってまた一難」ということでしょうか。厚生労働省は「新型コロナと違って容易には感染しない」と説明し、「天然痘ワクチンは85%の発症予防効果があり、政府はテロ対策のため国家備蓄を行っている」ので、過剰反応は必要ないとの立場を取っています。
なお、日本での感染者第1号となった男性は、ヨーロッパで開催が相次いだゲイ集団のパレードに参加し、複数の男性と性的接触を重ねたことで感染した模様です。そのため、WHOでも「感染は男性同士の性的関係が原因のため、そこを押さえれば感染を防ぐことができる」と述べています。
とはいえ、アメリカでは10歳以下の子供の間での「サル痘」感染例が確認され、「WHOの説明では納得できない」との声が上がってきました。更に、女性のサル痘感染者もアメリカで発生していることがCNNによって報道されています。
アメリカNBC放送によれば、「サル痘感染者の98%はゲイあるいはバイセクシュアルの男性である」とのこと。では、なぜ10歳以下の子供たちや女性の間でも感染者が発生し始めているのでしょうか。
実は、アメリカでは世界最悪の児童誘拐と売買が日常化しているのです。いわゆる人身売買で、「USA Today」紙によれば、年間少なくとも250万人の子供が性的目的のために売買の対象になっているとのこと。
アメリカでは銃や麻薬が犯罪の温床となっていることは、よく知られていますが、最近の急成長ビジネスは「児童売買」に他なりません。「ニューヨーク・タイムズ」紙ですら、「隣の女の子」と題した特集記事を掲載し、注意を喚起しているほどです。
ゲイやバイセクシュアルの男性が10歳前後の子供たちを対象にした快楽追求に走っていることが、アメリカでは子供の間でサル痘感染が広がっている理由と見なされています。
アメリカの不都合な真実の一端と言えそうです。
翻って、去る5月上旬にスペインで、8000人が参加して開かれた大規模なLGBTフェスティバルの参加者から感染が急拡大。同じ頃、ベルギーでも同性愛者のイベントが開催されたため、この2つの集会が感染源と見られています。既に欧米や中東を中心に感染が急拡大し、ついにはスペイン、ブラジルでは死者も出ました。日本の厚労省は「発症から2-4週間で治癒する」と説明していますが、そんな生易しいものではなさそうです。
何しろ、コロナと違って「死亡することはない」と言われていたのですが、その楽観論は既に覆されています。
比較的若い男性の同性愛行為が引き金になっているようですが、幼児や女性の間でも感染が広がっていることから、感染者が使ったタオル、シーツ、コップ、筆記用具などを通じても感染することが判明しています。こうした緊急事態を受け、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)では「警戒レベル2」を発し、海外渡航には細心の注意を払うように促しています。
CDCによれば、アフリカの野生動物から抽出したクリーム、ローション、パウダーは使わないこと。もちろん、ネズミ、リスなど囓歯類やサルなど人間以外の霊長類の肉を食べるのは危険とされています。こうした肉を食べることでサル痘に感染するリスクは高いと言えるでしょう。
感染すると数週間の潜伏期間を経て、顔から手足、全身に発疹が現れます。初期の症状は発熱、頭痛、筋肉痛、悪寒、疲労感などで、コロナとよく似ているわけです。とはいえ、致死率は1%から最悪10%程度であるため、過度の心配は不要とも言われています。しかし、先に来日したアメリカのバイデン大統領もWHOのテドロス事務局長も、「無視できない危険をはらんでいる。早急な対策が欠かせない」と危機感を募らせていました。
また、WHOでは「現時点ではパンデミックになる可能性は断定できず、原因や感染経路の詳しい分析を行っている」とのこと。要は、「いまだ未知の要素が多い、新たな感染症」というわけです。ヨーロッパでは英国の感染者数が最多となっています。そのため、英国でもベルギーでも感染した場合には「21日間の隔離が必要」との指示が出されました。
国際未来科学研究所代表、元参議院議員