コロナワクチン後遺症に目を向けよ~医師・長尾和宏さん
社会・経済長尾さんは、このイベルメクチンがコロナ後遺症だけでなく、ワクチン後遺症にも効果が高いことに驚いた。イベルメクチンないしグルタチオンを主体に漢方薬やサプリメントなど10種ほどの薬剤を個々のケースに合わせて、2~3種類ずつ試行錯誤しながら処方しているうちに、ほぼ全員が徐々にではあるが快方に向かっているという。ワクチンを何度も打っているイスラエルなどのほうが感染拡大を抑えられないのはなぜだろう。代替薬を隠してワクチンを打つしかないという逆立ちした論理で突っ走る現実こそ虚構ではないのか。
5~11歳への接種券を自治体が家庭に送らないよう求める活動は、国策に反する。ワクチンを打たなければ命と健康が危ないと刷り込まれれば、ワクチンを打つことで反対に作用すると案じる長尾さんには猛烈な脅しが来る。「国賊」扱いである。殺人予告や放火予告など毎日のように届く。「もう慣れました」と笑い、「そのうち冤罪で逮捕されるかもしれません」とジョークで会場を沸かせてみせるが、心穏やかではないだろう。匿名による無益な誹謗中傷に時間を取られている暇はない。
新型コロナ発生後、6000人以上の発熱患者を診てきた長尾さんは、一人もコロナでは死者を出さなかったのに、ワクチン接種後に3人を亡くした悔恨がある。このごろは、3回目の接種で体調を崩す患者が目についてきた。1回目、2回目では軽い副反応ですんだものが、体の免疫が変わっていくためか3回目で変容することはあるという。だが、ワクチン後遺症では病院へ行っても最後は「気持ちの問題だ」と言われ、泣き寝入りとなってしまう。
長尾さんの言葉に熱がこもる。「ワクチンに対するネガティブな情報は徹底的に隠蔽されている」。現に苦しむ患者がいても、ワクチン後遺症を認めない国は、同じ過ちを繰り返すのではないか。そこを長尾さんは恐れる。サリドマイド、薬害エイズ、水俣病などを挙げながら、そして子宮頸がんワクチンの積極的な勧奨再開を不安に思って質疑で手を挙げる会場参加者にも呼応して、医師の立場から提起をやめない。
●小児接種は悲劇の拡大
ワクチンを打つことによってNK細胞という自然免疫力が半分や3分の1に落ちると長尾さんは言う。NK細胞とは、ナチュラルキラー細胞のことで、がん細胞を攻撃するリンパ球の一種である。ワクチンを打ったがゆえに新型コロナに感染しクラスターが発生しては笑うに笑えぬ悲喜劇。だから、ウイルスが入り込む部位で疾患が起こり、場合によっては心臓にダメージを受けて亡くなるということもあり得る。
2年間のマスク生活と2度のワクチン接種で免疫力が下がっている高齢者には、誤嚥性肺炎の危険性がいや増す。直接死だけでなく、こうした間接死にも目を向ける必要がありそうだ。2回の接種で逆に今のオミクロン株にかかりやすくなっている可能性もあるとすれば、木を見て森を見ないワクチン神話であろう。
しかし、長尾さんらが国会議員に訴えても全く知識がなく落胆する。記録映像の上映会と講演会を企図しても政権与党の自民党からは誰も来ない。医者たちからのSNS(ネット交流サービス)では長尾さんを「捏造」「金もうけ」などと陰謀論者扱いするものがある。それでも小児接種1200万回をただ黙過するわけにはいかないだろう、長尾さんの声のトーンが高くなる。「医者が止めないといけない。映画を見て、おかしいと思わないほうが狂っている」。子どもの命と尊厳を守ろうとしているのはどちらの側か。
同調圧力の強いこの国で思考停止すればどうなるのか。そもそも、人類よりウイルスのほうが先に誕生している。ウィズコロナは今に始まった話ではなく、最初からそうなのだ。清潔志向が行きすぎれば、滅菌思想に染まってしまう。だが、それが人間の抵抗力を奪うものとなっては意味がない。3回目接種も半年たてば抗体量が減るから秋ごろには4回目接種が求められると製薬会社がアピールしている。薬物中毒と似てきた。
長尾さん主導の映画は、間を置かず、第2弾、第3弾を構えている。今回の記録映像は緊急性に鑑み、編集が粗かったと私は思う。宮沢さんはとても重要な発言をしているのに、専門用語を早口でしゃべられては理解が追いつかない。BCG接種によるコロナウイルスへの効果や交差免疫の意義付けなども、字幕をつけて鑑賞者に解説したほうがよかった。長尾さんの発言する「QOL」もカッコ付きで「生活の質」と補いたい。
この日の質疑応答では大分県からフェリーで駆けつけた看護師もいて、長尾さんも目を丸くしていた。映画館の閉館時間が迫り、8人で打ち切られたのが惜しい気もする。ワクチン後遺症にかかる確率を長尾さんは「1万円か10万円の当たり」と捉えている。恐れるべき高確率ではなかろうか。そんな宝くじなら買わなければいい。ワクチンは無料で受けられるが、財源は私たちの税金である。私がワクチンを打たず様子を見るきっかけとなったのは、昨夏のプロ野球・中日ドラゴンズ、木下雄介投手(享年27)の急死である。
急性心筋炎。しかし接種との因果関係が認められないまま、忘れ去られようとしている。長尾さんが反対する小児接種では、さらなる悲劇が無責任な国策として広がろうとしているように思えてきた。小児接種には親の同意と立ち会いが必要である。メディアも医療界も推進一辺倒を変えないなら、取り返しのつかない結果を引き受けさせられる子を持つ保護者が立ち止まって考えるしかない。
(「レイバーネット日本」より転載)
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1959年、北九州市生まれ。明治大学文学部卒業。毎日新聞校閲センター大阪グループ在勤。単著に『戦争への抵抗力を培うために』(2008年、青雲印刷)、『それでもあなたは原発なのか』(2014年、南方新社)。共著に『不良老人伝』(2008年、東海大学出版会)ほか。