【特集】ウクライナ危機の本質と背景

ウクライナ情勢(19)劣化する欧州政治家たちの対ロシア戦争至上主義が第三次世界大戦(核戦争)を招く=戦争リアリズムと紛争解決プラグマティズムに立脚し、和平交渉妥結とロシアを含む全欧州の新しい安全保障体制を目指せ(&IWJ近況報道)

田中一郎

「ウクライナ情勢(19)劣化する欧州政治家たちの対ロシア戦争至上主義が第三次世界大戦(核戦争)を招く=戦争リアリズムと紛争解決プラグマティズムに立脚し、和平交渉妥結とロシアを含む全欧州の新しい安全保障体制を目指せ(&IWJ近況報道)」をお送りいたします。

(プリンターが故障して修理中です。印刷して文章推敲ができず、誤字・脱字・かな漢字転換ミスがあると思いますが、どうかご容赦をお願い申し上げます)。

ウクライナ戦争が長期化の様相を見せています。プーチン・ロシアもゼレンスキー・ウクライナも、お互いのメンツと意地の張り合いを続けていて、一向に戦争を中止する方向に向かおうとはしませんし、それどころか、ここにきて欧米の最新兵器を持つウクライナ軍に押され気味のロシアは、核兵器使用も辞さない態度を示し始めており、核戦争への拡大の懸念すら出てきています。愚か極まりないという他ありません。

これまで何度も申し上げてきましたが、この戦争は、直接的にはプーチン・ロシア軍がウクライナとの国境を超えて軍を侵攻させたことが始まりですが、しかし、それにはこれまでの長い経過とそれ相応の理由があります。

その経緯や理由がロシア軍侵攻の正当化・合理化にはつながりませんが、しかし、この国際紛争を解決するためには、その経緯や理由こそが重要なのです。そもそも、この戦争の出発点は、冷戦終結後のワルシャワ条約機構解散(旧ソ連解体)と、事実上の約束違反のNATO東方拡大にあります。

簡単に言えば、アメリカの「軍産情報複合体」が、冷戦終結によって崩壊しそうになっていたことから脱却・立ち直りをするため、あえてロシアと西側諸国との対立関係を人為的に(政治家や戦争屋を使って)創作し、更に、社会主義経済崩壊に便乗して極端な市場原理主義経済体制を押し付けようとしてロシア経済を大混乱に陥れたことに根本的な原因があるのです(このことを論じない議論は、すべて場当たり的でご都合主義的なニセモノの議論と言っていいでしょう)。

ですから、ウクライナ戦争を単純なロシア軍事侵略に対抗するウクライナ側の民族解放戦争と位置づけるわけにはいかないのです。

既にプーチン・ロシアは、この戦争に反対する国内の勢力を露骨に弾圧し、徴兵に応ずるか、さもなくば監獄へ行け、などという重大な人権侵害を行って戦争反対の抗議行動を弾圧し、一般市民の言論・表現の自由を奪っています。

他方で、国内各地から、嘘八百を交えながらも徴兵を強要して、若い世代を戦場に送り込み、たくさんの犠牲者を出しています。他方、ゼレンスキー・ウクライナもまた、似たような状態です。

60歳以下の男子の国外避難をご法度とし、全ての男子は対ロシア戦争に武器を持って立ち向かえと国が命令を出し(従わなければロシアと同じような目に合わせる)、国内の戦争反対の意見や活動もまた、弾圧され封じ込まれています(戦争の犠牲者数も公表しないと女のウクライナ国防相がTVのインタビューに答えていました)。

ロシアにプーチン有れば、ウクライナにゼレンスキー有りで、両者はともに、今現在、戦争亡者となって自国民に大きな犠牲を強いている最高責任者です。どちらも「戦争」という「悪魔の仕業」の代行業者となっています。

(関連)動画の紹介 ウクライナ・オン・ファイヤー 日本語字幕 –
https://dedeseele.com/uklaineonfire/

つい最近まで、腐敗に次ぐ腐敗を続けていたウクライナ政府(その代表の1人が反ロシア政権時のティモシェンコ首相女史、また、ゼレンスキーはコロモイスキーというウクライナの天然ガス事業で財を成したオルガルヒ(アメリカ在住)にバックアップされているコメディアン)の軍隊は長期にわたり脆弱だったのですが、2014年のマイダン革命前後から、ネオナチを含む暴力極右のナショナリズム極論勢力がウクライナ国軍に入り込んで国軍を改革・強化、勢いに乗ってウクライナ政権をも牛耳るような力を暴力を背景に持ち始め、更にアメリカ「軍産情報複合体」やその代理店のような連中(例:ヌーランド元米国務次官、バイデンの息子ハンターバイデン、民営化されたCIAと言われる全米民主主義基金など)にバックアップされながら、対ロシア戦争に猪突猛進してしまっています。

ウクライナの歴史的な経緯を鑑みれば、ナショナリズムという前世紀的な時代錯誤で危険なイデオロギーに染まるのではなく、民族や習俗や宗教の違いなどを相互に認め合って「共存」の基盤の上に、民衆の日々の生活を大事にする政治や経済や社会が築かれなければいけないところを、これを否定、ウクライナ国内のロシア系住民を迫害するような形で暴力極右が幅を利かし、結局はそれを嫌うロシアとの戦争に突入してしまったのが、今日のウクライナでありゼレンスキー・ウクライナ政権です。

いわば、ユーゴ内戦の失敗を、今度はウクライナで繰り返していると言っていいのではないかと思われます。

この情勢下で、最大の問題は、欧州の政治家たちの動きです。7年ほど前には、ロシアとウクライナとの間の関係を修復するため、「ミンスクⅡ」というドンバス地方での紛争解決のための平和協定をあっせんし、締結に至らしめていたドイツやフランスが、今回は対ロシア戦争至上主義のような政治方針を取り、戦争中のウクライナの戦場に兵器・武器・弾薬を大量に供与するような「戦争煽り行為」を繰り返しています。

返す刀で、ウクライナ戦争の影の仕掛け人であり原因を創った張本人であるアメリカやその「軍産情報複合体」とともに、対ロシア経済制裁にまで踏み込み、世界の多くの国々の不賛同や反対をよそに、ロシア叩きに専念しているのです(もちろん日本もその情けない「端くれ」でもあります)。

もともと天然資源に乏しい欧州では、ロシアに逆に経済制裁をくらってエネルギーコストが急上昇し、どちらが経済制裁をしているのかわからない状態に陥り、それでも原発の稼働延長や再推進などまでやり始めて、欧州版「ほしがりません、勝つまでは」で、こちらも意地を張っているのです。

愚か極まりないという他ありません。こんなことをしていて、仮に西側兵器の力でロシア軍を追いつめていけば、プーチン・ロシアが核兵器に手を付けるということも十分に考えられるので、本来なら欧州政治家は、今とは逆の方向で国際政治を展開しなければならないハズです。

冷静終結から30年、欧州政治家たちが戦争のリアリズムを失い、国際紛争解決のためのプラグマティズムを見失って劣化している今日の様は、まったくもって愚かという他ありません。第三次世界大戦と核戦争で、自分たちが悪の塊だと信じるロシアとともに滅び去りたいのかと言いたくなります。

(関連)「プーチン・ロシア悪玉、ゼレンスキー・ウクライナ善玉」の単純体細胞的善悪二元論ではウクライナ戦争は解決できない=①核兵器原料&原発燃料のウランを例外にする茶番の経済制裁、②経産省現役官僚が語るウクライナ戦争他- いちろうちゃんのブログ
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