【特集】ウクライナ危機の本質と背景

ウクライナ情勢(19)劣化する欧州政治家たちの対ロシア戦争至上主義が第三次世界大戦(核戦争)を招く=戦争リアリズムと紛争解決プラグマティズムに立脚し、和平交渉妥結とロシアを含む全欧州の新しい安全保障体制を目指せ(&IWJ近況報道)

田中一郎

翻って、この日本ですが、幸いにしてウクライナは日本から遠く、また、国と国との関係も薄いので(チェルノブイリ原発事故関係を除く)、このウクライナ戦争を少しは突き放して冷静に見ることができるのではないかと思っていました。

しかし、事の推移はそうではなく、この国のマスごみたちが、アメリカ大本営発表の偏った情報をそのまま無批判にたれ流し、そのゴミ情報をまた、有権者・国民がそのまま無批判に受け取って、今日では、日本は「プーチン・ロシア悪玉、ゼレンスキー・ウクライナ善玉」論一色に染まっているかの観があります。

そして更に、この事態に便乗する日本の戦争屋たちが、台湾有事の際に中共中国による侵略戦争から日本を守るためと称して、自衛隊と在日米軍の一体的作戦行動と対中共中国戦争の準備を始めるという(南西諸島の武装化、沖縄・鹿児島への派兵、日米共同作戦計画の策定や共同軍事演習の実施など)、信じがたい日本国憲法違反の軍事的行為を展開し始めています。そして更に信じがたいのは、これに少なくない有権者・国民がエールを送っているという事態が出現しているのです。

このままでは非常に危険です、台湾をめぐる情勢は、中共中国が挑発しているのか、それとも日米側が挑発しているのか、よくわからないところがあります。

お互いが、お互いに、軍事行動に対して軍事行動で対応すれば、それはそのまま戦争につながっていくことは火を見るより明らかでしょう。そもそも、戦争時に一般有権者・国民にもたらされる情報は、完全に統制され、取捨選択され、それぞれの戦争当事者にとって都合のいいことしか公表されない・流布されないということは常識です。

その常識的な「偏った情報」事態が発生している今日において、既に単純体細胞で「平和ボケ」した、マスごみや政治家や官僚どもが有権者・国民の世論を操り、その有権者・国民もまた、単純単細胞のごとく反応して操られるという状態に、ゆでガエルのごとく向かわされている事態が、私は今、起きているのだと思っています。

悲しいかな、日本のリベラル・左翼もまた例外ではないようで、全員とまではいいませんが、依然として、日本のマスごみ(新聞、TV、雑誌など)だけに立脚した「プーチン・ロシア悪玉、ゼレンスキー・ウクライナ善玉」論に染まっている人たちは少なくありません。危なっかしい限りです。

以下、昨今の私のメール発信や、日本のマスごみ報道を批判して独自の報道を続けるIWJ、そして若干の関連情報を下記にご紹介いたします。

「戦争」こそが、なによりも「悪」=「諸悪の中の悪の親玉」というご認識をお持ちいただき、民族解放戦争は「正義の戦争」だなどという「世迷い認識」を突き放していただくようお願い申し上げます。

メールの表題にも書きましたように、ウクライナ戦争の解決のためには「戦争リアリズムと紛争解決プラグマティズムに立脚し、和平交渉妥結とロシアを含む全欧州の新しい安全保障体制を目指せ」ということです。

1.直言(2022年9月5日)「武器供与のリスクと副作用」――「ウクライナ戦争」の半年(水島朝穂早稲田大学法学部教授)
他のMLでの議論で私が発信jしたメールです。一部加筆修正しています。

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◆直言(2022年9月5日)「武器供与のリスクと副作用」――「ウクライナ戦争」の半年
http://www.asaho.com/jpn/bkno/2022/0905.html
http://www.asaho.com/jpn/bkno/2022/0905.html

(一部抜粋)
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(中略)8月30日にプラハでインタビューに応じたアンナレーナ・ベーアボック外相(緑の党)は、ウクライナに対して、「あなた方が私たちを必要とする限り、私たちはあなた方の側に立ち、ドイツの有権者がどう思おうと、私はそれを実行します」といってのけた。

この写真は、『南ドイツ新聞』9月2日付の記事中にはめ込まれた動画のなかから、外相が問題発言をした部分をスクリーンショットしたものである。外相は英語で話したが、ドイツ語の字幕が付いていて、ドイツの有権者はしっかりこれを読み取ったわけである。SNS上にこの動画が拡散し、「炎上」した。

(中略)「ウクライナ戦争」の半年が経過して、武器供与を叫ぶゼレンスキーにためらう西側諸国も出てくるなかで、この戦争をいかにして終わらせるかという課題が重要になってきている。

私なりの問題指摘は、共同通信文化部が配信した拙稿(『山梨日日新聞』6月10日付など)や、『週刊金曜日』特集「戦争を止めるためにいま考えること」の巻頭論文「武器供与ではなく、即時停戦求める声を! 」で行っている。も

ちろん、2年前の憲法改正によりさらに権力を強め、特にそこで条文化した愛国教育や歴史の押しつけ(67.1条)が8月に入って「効果」を発揮している。冬を前にした「天然ガス戦略」も巧妙である。「プーチンの戦争」をどう終わらせるかというのは難題である。

しかし、武器供与の強化という手法にこだわることはやめるべきだろう。それについての一つの視点として、以下、IPPNWドイツ支部の視点を紹介しよう。

「核戦争防止国際医師会議は、武器供与が制御不能なリスクにつながり得ることを警告する。武器供与は紛争解決の手段として適していない。ウクライナに対するロシアの侵略戦争を終わらせるには、交渉と外交に基づく他の手段が求められる。」として、次の6つの点を警告する。
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<田中一郎コメント>
「直言」を執筆している水島朝穂というオレサマ大学教授には、日本のアカデミズムに漂うスノビズムを感じさせ、好きになれないが、しかし、その主張内容は至極もっともなものである。上記では、直近の「直言」から2カ所を切り抜いて上記でご紹介した。

まずは、ドイツ緑の党。ウクライナ戦争が始まって、ヨーロッパの多くの国々がウクライナへの軍事支援による対ロシア戦争を声高に言い始め、2回の世界大戦であれだけの苦難を経験し、かつ徹底した反省をしたはずのドイツが、またぞろロシアに向かって兵器を手に、こぶしを振り上げるようになった(また、ついこの間までは、2つの大戦の教訓から、対ロシア政策については慎重に構え、比較的厳格な中立政策をとっていた北欧3国(ノルウェーはNATO加盟国ながら、ロシアへの配慮からNATO軍とは距離を置く政策をとってきたという=伊勢崎賢治氏の議論を参照)さえもが、NATOと一緒になってロシア叩きを始める始末である。ヨーロッパにおける政治家や政治の劣化を嘆かわしく感じる次第である)。

(関連)ウクライナ危機に国際社会はどう向き合うべきか 緩衝国家・日本も迫られる平和構築の課題 東京外国語大学教授・伊勢崎賢治氏に聞く – 長周新聞
https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/22976

(関連)伊勢崎賢治さんはTwitterを使っています- 「ノルウェーに日本が学ぶべきことです。2014年のクリミヤ侵攻以来、そして今回のウクライナ戦争で、この国是は中立国フィンランドのように揺れに揺れていますが、時間がたてば世論のバランサーとしての機能を回復
https://twitter.com/isezakikenji/status/1530751194284453888

メルケル政権が終わり、社会民主党首班の連立政権となっていたドイツだから、これはまたぞろ社会民主党が更に劣化して、おバカなことをやっては有権者・国民を煽っているのだろうと最初は思った。

しかし、伝えられる情報では、そうではなく、ウクライナへの軍事援助・武器供与の先頭に立って扇動しているのは、なんと、あの「反戦・環境の党」であるはずのドイツ緑の党であり、社会民主党は国内の有権者の世論動向も気にしながら、緑の党に引きずられるようにして、しぶしぶ対ロシア強硬政策を取らされているという雰囲気であることが見えてきた。

それにしても愚かしいのはドイツ緑の党である。アンナレーナ・ベーアボック外相(緑の党)という、独断専行の単純単細胞政治家が、有権者の意向を無視してでも対ロシア軍事強硬路線を取ると豪語し、まさに権力の乱用を「勇者」の印である、とでも言わんばかりの態度である。

昨今は、ロシアから天然ガスの供給を止められて経済危機に陥り、どちらが経済制裁をしているのかわからなくなった他、それに対処するために、原発の稼働延長やむなし、などとも言い始め、かつての脱原発はどこへやら、の事態となっている。そして、対ロシア戦争遂行のためには「欲しがりません勝つまでは」の気構えで、苦難を乗り越えようとしている様子もうかがえる。

まさに、反戦も脱原発も経済も犠牲にしてでも、対ロシア戦争至上主義とでもいうべき態度である。愚かなり、ドイツ緑の党だ。(大戦争というものは、このようにして、「偉大なる正義」を大義名分として展開されていくものだと私は思っている)。

2つめの、「核戦争防止国際医師会議」(IPPNW)こそ、正論そのものである。武器や兵器の供与は、戦争をこじらせこそすれ事態をよくすることはない。

ドイツをはじめ、ウクライナを支援するヨーロッパ諸国が戦争状態で対峙する相手は、世界最大の核保有国である。下手をすれば、第三次世界大戦へと突入し、核戦争の事態を招きかねないとも言える。

一方のウクライナは、20世紀型の古臭いナショナリズムに染め上げられた暴力極右勢力が国の主導権を握っているような状態で、60歳以下の一般男子国民の海外避難を禁止し、国内の言論表現・思想信条の自由を踏みにじり、すべてを対ロシア戦争にささげることを国民に強要する状態だ。ゼレンスキー政権はウクライナのプーチン政権のようなものと言えなくもない。

ロシアの国境を越えての軍隊派兵の非を指摘し、国際法違反であることを訴えることは誰にでもできることだが、問題はその次にどうするかである。

日本と同様に政治家どもが劣化しつつあるヨーロッパは、この「その次にどうする」のところが「武器兵器の供与」によりウクライナに代理戦争をさせるという、まさに得手勝手な、そして劣悪な結論となり、目先のこと(戦局・政局)以外の、もう少し長いタイムスパンでの思考を欠如させている様子である。背後にいるアメリカと「軍産情報複合体」の長期にわたる対ロシア戦略については想像もできないのかもしれない。

「プーチン・ロシア悪玉、ゼレンスキー・ウクライナ善玉」論の単純単細胞論議では、この戦争を解決できないのはもはや自明なことである。

解決のためには(「対決よりも解決」(玉木雄一郎国民民主党党首)とはこういう時に使うフレーズだ)、まずは即時停戦と和平交渉、その席に非当事者の媒介国に加わってもらい、ロシアとウクライナの両方のプライドが維持できる形でプラグマティックに解決策を探るほかない。

その間、国連軍が真ん中に入って停戦状態を維持し、さしあたり「ミンスク合意Ⅱ」くらいのところを落としどころに交渉を進める他ないだろう。停戦状態が続けられるのであれば、交渉は長引いたとしても、悲しいかな今の状態よりは少しはいい。少なくとも傷つき死亡する人は少なくて済む。

もちろん、米欧諸国は、ウクライナへの武器兵器供与を止めなければならない。ロシアに対しても、その大半の軍隊を自国へ撤退させよと交渉すべきである。

そして、とりあえずの和平交渉の後には、ロシアを含めた全欧州の新しい安全保障体制の構築へと歩を進めるべきである。

また、アメリカとロシアは、他方で核兵器削減交渉を中共中国も入れて再開すべきであり、アメリカが主導してスクラップしてしまったINF条約やABM条約(あるいはそれに代わるもの)など、いわゆる核軍縮条約交渉・新兵器規制強化交渉(AI兵器など)も、第三者を入れながら再開していくべきである。

(関連)「『INF条約破棄』は何をもたらすのか」(時論公論) NHK解説委員室
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/314352.html

(関連)ABM条約とは – コトバンク
https://kotobank.jp/word/ABM%E6%9D%A1%E7%B4%84-181443

本来であれば、平和国家を自称する日本が、こうした世界的な平和戦略攻勢や核兵器禁止・軍縮会議を推し進める先頭に立たなければならないはずである。

しかし、対米隷属の戦後国体下で思考停止状態になって久しい東アジアの三流国家=ニッポン(政府)では、とても担えそうにない大役である。

私は一刻も早く、時代錯誤のバカの塊である自公政権(&維新・参政党)を倒し、日本国憲法を(様々な意味で)活かしていける正真正銘の平和国家にすることが、私達有権者・国民の責任であり使命であると考えている。戦争準備予算をGDPの2%に増やすだの、日本国憲法を改悪して9条に自衛隊条項を入れるだの、緊急事態条項を新設するだの、世迷いごとを言う政治家どもを一掃し、ホンモノの「世直し」政権を打ち立てることが、問題解決のスタート地点に立つことだと思う。

およそ今の政権打倒を目指さない運動は、私は全てニセモノだと見ている。

(関連)ウクライナ支援 防衛省 新たに自衛隊保有のワゴン車を提供へ-NHK-ウクライナ情勢
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220804/k10013752741000.html

(アメリカの手下となって、アメリカに言われるがままに、かようなことをしていては、お話にならない。国際的に軽蔑され始めているのではないか。情けないと思わないのか!? :田中一郎)
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2.憂慮する日本の歴史家の会 — ウクライナ戦争の停戦を求めて —-
https://peace-between.jimdosite.com/

3.IWJ報道より

(1)日刊IWJガイド・非会員版「ウクライナ東・南部4州でロシアへの編入を問う『住民投票』は28日に開票終了! 9割前後がロシアによる併合に賛成! 核戦争へ突入!-」2022.9.29号~No.3668号 – What’s New お知らせ
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51358

◆冬到来を目前にして、天然ガスパイプライン、ノルドストリーム1と2への攻撃が行われた! 実は、ロシアの侵攻直前にバイデン大統領がノルド・ストリーム2の破壊を予告していた!!! ロシアの破壊工作の可能性ばかりフォーカスする日本のテレビ・大手新聞では絶対に報じない話! あってはならないことが起きている! しかもこのタイミングで! 前代未聞の事態!

(ノルドストリーム2の破壊(あるいは建設工事の中止)は、ウクライナに進出していたバイデン現大統領の次男=ハンターバイデンが、ウクライナを通るロシアからの天然ガスパイプラインの稼働率を上げて収入を増やすため、その商売敵のパイプラインのノルドストリーム2の破壊(あるいは建設工事の中止)を画策し、アメリカ議会にロビー活動を強めていたという情報があります。いずれにせよ、トランプ政権末期に、バイデン親子のウクライナでの動きがアメリカ議会で問題になっています。:田中一郎)

(2)「自国優先」というスローガンは、一時の「トランプ現象」を連想させる」が、対露制裁を貫いて、ガス欠で凍死者続出するよりはるかにまし!? イタリア議会選挙でジョルジャ・メローニ党首が率いる右派政党「イタリアの同胞(FDI)」が第一党に! 対ロ制裁にEU内で亀裂が大きくなる可能性も! 2022.9.28号~No.3667号
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51355#idx-4

(3)イタリアで「極右」政権誕生か!? ムッソリーニのファシズムの流れをくむ「イタリアの同胞」のメローニ女性党首が第1党に! 連立を組む極右と中道右派をあわせて過半数に!! 反EU、ロシア制裁反対でEUは分裂か!? 2022.9.27号~No.3666号
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51352

(関連)「極右」が首相に? イタリアのメローニ氏、いったい何者なのか:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASQ9V2108Q9VUHBI001.html

(4)インドだけではなかった! 中国も、ロシア産ガス輸入を過去最高水準に拡大し、余剰分を欧州、日本、韓国、タイに転売し、「漁夫の利」を得ていると、香港『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』がスクープ! 対露制裁に参加した国が苦しみ、不参加の国々が利益を得る不条理! 米国の戦略は同盟国諸国を破滅に追いやっているだけ!!  2022.9.26号~No.3665号
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51348

(5)日刊IWJガイド・非会員版「即時停戦を!『ウクライナ問題は少なくとも二つの革命から見ていく必要がある』岩上安身による国際政治学者・羽場久美子氏インタビュー報告!」2022.9.24号~No.3663号 – What’s New お知らせ
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51341

(6)日刊IWJガイド・非会員版「米国がザポリージャ原発への攻撃はウクライナ軍だと認めた! ロシア軍が攻撃していると報じていた日本の新聞、テレビは誤報を謝罪すべき!」2022.9.21号~No.3660号 – What’s New お知らせ
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51330

◆ウクライナの土地はすでにウクライナ人のものではない!? 米国企業モンサントと資産運用会社ブラックロックがウクライナの土地を買い占めている! ゼレンスキー大統領とウクライナ軍・NATOが現在奪還しつつある南部・東部の地域は、ウクライナ人の土地ではなく、西側の独占企業の土地だった!

◆ウクライナ紛争によるエネルギー危機で改めて注目される北極海の資源と航路! 資源開発はロシアがリード! ヤマル半島のLNGプラントには日本企業も参加! 日本はロシア制裁に参加している場合ではない!!

 

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田中一郎 田中一郎

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