【連載】ウクライナ問題の正体(寺島隆吉)

第24回 流れは変わった! 元国務長官キッシンジャーの重大な警告

寺島隆吉

「チーム・ゼレンスキー、天狗になってドイツに喧嘩を売る」( 『翻訳NEWS』2022/05/04)
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-902.html

この記事は、その事情を次のように説明しています。

ユダヤ人の血を引くこの喜劇俳優は、ナチスの軍隊がはびこる政権の顔になるには打って付けの腹話術人形である。そしてこの操り人形はますます重要になっている。

というのも、西側の 「民主主義」国家が、ナチス親衛隊SSの徽章を誇らしげにつけた兵士がいるこの政権を後援し武装することに夢中になっているからである。

しかし、ゼレンスキーは、世界をガス燈のように照らす旅をするうちに図に乗りすぎて、自分の力が彼の黒幕アメリカCIA、 イギリスMI6と同じだと思うようになったようだ。今週、チーム・ゼレンスキーは、 調子に乗りすぎて欧州連合の要であるドイツまでこき下ろしただ。

ドイツ大統領フランク・ヴァルター ・シュタインマイヤーがゼレンスキーの側近に言われたとは、ポーランドとバルト三国の指導者を含む代表団の一員としては彼をキエフには招かないこということだった。

この4人の指導者(ポーランドとバルト三国) はキエフへの 「連帯訪問」 を決行したが、ドイツ大統領シュタインマイヤーはベルリンに取り残されることになった。この冷遇はドイツ国内で大きな困惑を引き起した。温厚と言われるオラフ・ショルツ首相でさえ、この国家元首への侮辱に 「憤慨している」 と発言したほどだ。

しかし外国の要人が「国家の敵」 「暗殺リスト」に載せられたからといって、その人たちは実際に命を脅かされるとは考えられません。イスラエル政府の情報機関 「モサド」と違って、キエフ政権にそのような力があるとは考えられないからです。

とはいえ、ジャーナリストとなると話は違います。ウクライナで取材する外国人ジャーナリストのエバ・バートレット(Eva Bartlett)は実際に暗殺対象になっているからです。そのことを伝えているのがオンライン誌Global Research(June 08, 2022)に載った次の記事です。

*Video: Award-Winning Canadian Journalist Eva Bartlett on Ukraine “Kill List” as Canadian Government Does Nothing(ビデオ:受賞歴のあるカナダ人ジャーナリストはウクライナの「暗殺リスト」 に載せられたがカナダ政府は何もしない)
https://www.globalresearch.ca/award-winning-canadian-journalist-eva-bartlett-on-ukraine-kill-list-as-canadiangovernment-does-nothing/5782889

上記の記事でバートレットは、ビデオを通じて、キエフ政権による「報道の自由」 圧殺に対して抗議してくれるよう訴えているのですが、カナダ政府は動こうとしません。

それもそのはずです。 以前にも紹介したように、カナダのトルドー首相は、ゼレンスキー大統領と同じくWEF(世界経済フォーラム)「シュワブ学校」の一員ですから、キエフ政権を援助することはあっても、 自国の女性ジャーナリストを救おうとする気はないでしょう。

それにしても、たとえば、カナダ人独立ジャーナリストのエバ・バートレットは、なぜ「暗殺リスト」に載せられるようになったのでしょうか。それは、 彼女が次のような記事を書いたからでした。

Eva Bartlett Reports from Mariupol: “Ukraine Forces Used Scorched Earth Tactics”「ウクライナ軍は焦土作戦を用いた:マリウポリからエヴァ・バートレットの報告」( 『翻訳NEWS』2022/05/17)
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-914.html

これまで、エバ・バートレットは、アメリカがイスラム原理主義勢力を使ってシリア政府の転覆を図ってきたことを現地で取材して、「アサド大統領が住民を虐殺したり化学兵器を使っている」というアメリカ政府の流してきた嘘を暴露してきました。

その彼女が、 今度はドンバスに飛び込み、マリウポリ市を取材しました。それを次のように報告しています(和訳は寺島が一部修正)。

4月21日と22日、 私はジャーナリストのロマン・ コサレフ氏と共にマリウポリに向かい、ひどく困っている人たちに人道支援物資を届けに行きました。

彼は3週間前から支援をおこなっています。

数日前にマリウポリ市で出会った女性ヴァレリーは、アゾフ大隊が住宅地を占拠して、そこから爆撃していることについて次のように語りました。

「私たちの土地から狂った人たちが一掃されなければなりません。彼らをナチスと呼ぶ人もいます。確かに彼らはナチスという言葉がぴったり当てはまると思います」

また、マリウポリ市のアゾフスタル製鉄所を占拠して有名になったアゾフ大隊や市民の生活についても、 現地で長く取材してきたジャーナリストのロマン・コサ レ フ氏にインタビューをしています。

コサレフ氏は人道支援について話しながら、砲撃の大きな音がして、しばしば話を中断しています。その様子は4月21日、マリウポリで録画された動画のURLを最後に載せておきますので、それをクリックして見てください。

「ご覧の通り、 キエフ軍の砲撃はまだ続いています。ネオナチとウクライナ軍の残党が立て籠るアゾフスタル製鉄工場で起こっているのです」

「プーチン大統領は、 空爆して工場を爆撃するよりも、 まずネオナチ武装集団・ウクライナ軍に武器を置いて降伏する時間を与えることを決定しました」

「周りの破壊されたアパートは、ロシアが悪意を持って攻撃したために荒廃したのではなく、ウクライナとナチスが占領していたためです」

「地元の人でもアゾフ大隊とウクライナ軍の区別がつかないそうです。アゾフ大隊は最近ウクライナ軍の一部になったからです。でも彼らの入れ墨や鉤十字を見ればアゾフ大隊だと分かるそうです」

「彼らは住民の建物に入り、そこに武器を設置し、向かってくるロシア軍とドネツク人民共和国軍に発砲し始めました。だからロシア軍とドネツク軍も反撃を強いられました。しかし一般市民は低層階や地下室に押し込められ、 ウクライナ軍に 『人間の盾』 として利用されました。そして、彼らは撤退する際にも、 家屋を爆撃し続けました」

私は、 テロリストがシリアで行ったように、ウクライナ軍はより多くの民間人を殺すために仕掛け爆弾や地雷を設置したのかと尋ねました。

「そう、仕掛け爆弾も、地雷も、すべて。彼らは焦土作戦をとっているのです」
https://youtu.be/otCd5Ool51M(動画約6分)

アゾフ大隊やウクライナ軍は、なぜ「焦土作戦」をとるのでしょうか。

キエフ政権はネオナチ勢力によって要職が占められているのですから、 彼らの思想からすればウクライナからロシア語話者を一掃したいのです。ナチスドイツが欧州からユダヤ人を一掃したいと思ったのと同じです。

そのために第2次世界大戦のとき、 「リヴィウのポグロム」という有名なユダヤ人大虐殺も、ウクライナの地で起きました。ウクライナの都市リヴィウ(旧ポーランド領)ではウクライナ人のナチス信奉者が協力して、 4,000人のユダヤ人が殺されているのです。

ですから、ウクライナからロシア語話者を一掃するために、彼らがこのドンバスで「焦土作戦」をとることは当然だとも考えられるのですが、欧米の大手メディアは、そのことをほとんど全く伝えてきませんでした。

なぜカナダ人ジャーナリストのエバ・バートレットはロシアに移ったか

 

しかしエバ・バートレットが、このような流れに抗して、ウクライナの真実を伝えようとしたのですから、キエフ政権の怒りを買い、「暗殺リスト」に載せられたのも、 当然といえば当然のことでした。

実は彼女は、すでに2021年からドンバスに入り、すでに次のような記事も書いているのです。

Seven years after Maidan divided country, Ukraine from Western media intensifies shelling of Donbass to sound of deafening silence「マイダンから7年、 ウクライナはドンバスへの砲撃を強化」( 『翻訳NEWS』2022/05/23)
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-922.html

この記事では、 「マイダン(欧州広場)」でのクーデターで国が分裂してから7年間、 「ウクライナはドンバスに耳をつんざくような砲撃を強化」 「それに対する欧米メディアの全くの沈黙」について鋭く告発しています。

ですから、彼女の「暗殺リスト」 入りは、時間の問題だったとも言えます。なぜならドンバスの惨状について、彼女はすでに2021年の時点で右のような記事を書いていたのですから。

恥ずかしながら私は、ドンバスについて調べるまでは、このような記事が1年も前に書かれていたこと(2021年3月2日)を知らなかったのです。

この記事では、今まで知らされてこなかったことが実に詳細に記録されているのですが、ここではその一部しか紹介できないのが本当に残念です。ぜひ皆さんには全文を読んでほしいと思います。 以下は、そのほんの一部です。

世界の多くがコロナ関連の問題に注目している中、ウクライナのドンバス住民に対する7年にわたる戦争は続いている。

ここ数週間、キエフによる市民への砲撃は激化しており、予想どおりの西側メデ ィアの沈黙
が続いている。

表向きは、ミンスク合意に基づく停戦があるとされているが、実際には、平和境界線の村に住むドンバス住民は、絶え間なくウクライナの砲撃にさらされている。

(中略)

同じく最前線の村、ザイツェボでは、行政長のイリーナ・ディクンさんが、停戦合意は自分の村には届かなかったと、この6年間の地獄を話してくれた。

「ここでは、 生きているのではなく、 生き延びているのです。 出て行ける人は出て行った。残っているのはほとんど高齢者です」

ウクライナが砲撃している最前線に近い家では救急車が来ないので、怪我をした住民を助けるために運転を習い、応急処置の訓練も受けたそうだ。

彼女は、ウクライナの村の「通りごとの」破壊について詳しく説明するとともに、 「離脱した共和国にロシアが侵略している」という西側メディアの主張は誤りであると強調した。

「ここにはロシアによる侵略などありません。普通の、平和な人々それぞれが、自分の望む生き方をしたいと思っただけです。

当初、私たちは共和国を作りたかったわけではなく、自治権を持ちたかっただけなのです。
かし、私たちに対して砲撃をしたのです」

しかし、私たちの声に耳を傾けてはもらえませんでした。ウクライナは国民に対して軍隊を動
「オデッサで人が殺されたからだ。だから、自分たちの地域を守るために軍隊に入ったんだ」と、ある兵士は言った。

私は多くの民兵とも話し、なぜ武器を手にしたのか、さまざまなことを尋ねた。

別の男性は、 最初はキエフのクーデターに反対するデモに参加し、 「ナチス政権を支持しない」と言い、最終的には民主共和国を守るために武器を手にした、 と言った。

ウクライナ軍から500メートル離れたその最前線で、 私は防弾チョッキとヘルメットを身につけた。ほぼ毎晩のように砲撃や重機関銃の攻撃にさらされる高齢者の話を聞きながら、この勇敢な人たちを守るものは何もなく、ウクライナが毎年、彼らを傷つけ、殺し、家を壊し、破壊するのを防ぐ国際機関もないことを思い知らされた。

一方、ウクライナには、西側諸国が自分たちの犯罪をごまかして、 武器を送っている。

大手メディアでは、2022年2月24日のロシア軍による「特別作戦」でウクライナ危機が始まったかのように報道されてきました。

が、この記事で全く違った現実があることを思い知らされます。

「ここでは、 生きているのではなく、 生き延びているのです」

行政長のイリーナ・ディクンさんが、 6年間の地獄を話しながら思わず漏らした右記の言葉ほど、重く響いた言葉はありませんでした。

それにしても、ユダヤ人でありながら「民族浄化」に協力しているゼレンスキー大統領とは、なんという皮肉な存在なのでしょうか。

(追記)

今回はマリウポリで発見された「集団墓地」についても述べるつもりでしたが、もう長くなりすぎたので、 残念ながら今日はここで打ち止めにします。

それに、 知人から送られてきた「ブチャにおける虐殺事件がやはりキエフ軍によるものだった」という新しい情報についても紹介する予定でしたが、これも断念します。

それはともかく、この「集団墓地」は、ロシア軍が戦争犯罪を隠すために作ったものであると欧米のメディアは報じていましたが、エバ・バートレットの現地取材は全く違った事実を突きつけています。彼女はこう主張しています。「西側メディアは同じ嘘を繰り返す」 。

これについても続編で詳しく書くつもりです。

実を言うと今日のブログは、 「1日2回で1万歩の散歩」という日課を返上して、昨日から書き続けているので疲れてきたからです。どうかお許しください。

(寺島隆吉著『ウクライナ問題の正体2—ゼレンスキーの闇を撃つ—』の第9章から転載)

 

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寺島隆吉 寺島隆吉

国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授

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