【連載】コロナ騒ぎ謎解き物語(寺島隆吉)

第27回 私たちに希望がないわけではないーコロナ論争を脚気論争の歴史から考えるー

寺島隆吉

しかし、私たちに希望がないわけではありません。それは脚気論争の歴史が示しています。

というのは、明治時代どころか江戸時代でも、脚気は麦飯を食えば治るということが現場の漢方医たちには、目の前の患者の治療を通じて分かっていました。

ところがドイツ留学帰りの東大医学部教授や陸軍軍医総監の森林太郎(=作家・森鴎外)らが「脚気菌が存在するはずだ」と主張して、食べものによる治療に強力に反対し、たくさんの人を殺すことになりました。

私がNHKの大河ドラマ『篤姫』を観ていて、第14代将軍である徳川家茂が反幕府の長州藩を征伐するため大阪城で冬を過ごし、そこで体を壊して大阪城のなかで亡くなったことを知りました。

しかし私には、栄養満点の食事をし有能な医者たちに取り囲まれているはずの将軍が若くして亡くなったこと(享年20歳)が、不思議でなりませんでした。

しかし板倉聖宣『脚気の歴史――日本人の創造性をめぐる闘い』(仮説社)を読んで、その謎が解けました。何と驚いたことに将軍家茂は脚気で亡くなっていたのです。死因は「脚気衝心」 、すなわち「脚気に伴う急性の心臓障害」でした。

脚気で死ぬことがある、ということが私に驚きでした。

しかし『脚気の歴史』には、第13代将軍の家定も死因は脚気だと言われていること、さらには明治天皇も脚気に悩まされていたと書いてあったのです。

もっと驚いたことは、日清戦争では兵士で脚気にかかった人数は4万8,000人、脚気で死んだ人は2,410人だったのに、戦傷死した人は453人にすぎませんでした。

要するに脚気で死んだひとは戦傷死した人の5倍を超えていたのです。それどころか脚気にかかったひとは戦傷死したひとの100倍を超えていました。

日清戦争における死者数の内訳

 

この傾向は日露戦争でも変わりませんでした。兵士に麦飯を食べさせれば脚気にならないことは現場の指揮官には分かっていたのに、東大医学部と軍医医務局は「伝染病説」すなわち「脚気菌説」に固執した結果、兵士で脚気にかかった人は何と21万2,000人、戦傷死した人は4万7,000人、脚気で死んだひとは2万8,000人にも及んでいたのです。

こうして、日本で脚気論争に決着がつけられるには、クリスティアーン・エイクマンというイギリスの研究者が、「動物の生存には従来の栄養素の他に少量の特別な栄養素が必要だ」として、現在は「ビタミン」と呼ばれているものを発見し、彼にたいして1929年にノーベル賞が授与されることが必要でした。

ところが、すでに日本では陸軍軍医・都築甚之助は、「臨時脚気病調査会」を追放されたあと、米糠エキス「アンチベリベリン」を開発して脚気治療に大きな成果をあげていました。

このような研究がそのまま進んでいたら日本にもノーベル賞が来たかもしれません。

しかし、これに対して東大医学部長・青山胤通は「脚気が米糠で治るものなら小便を飲んでも脚気は治る」と口汚く罵り、そのうえ1914年4月に開かれた日本医学会総会で特別講演をおこなった東大教授・林春男は「米糠エキスは動物の白米病には効くかもしれないが人間の脚気には効かない」と断を下したのです。

この光景は、長周新聞(2021-07-24)が、「新型コロナワクチンを正しく知る、日本学術会議が公開シンポジウム──専門家たちの知見に学ぶ」と題する記事を載せて、自分たちがPCR検査とワクチンを推進してきたことの根拠にしてきたことを思い出させるものでした。

これはかつて原発建設をめぐっての公開討論会で、京大助教が「原発は危険だ」と主張したのにたいして東大教授が「君のような意見は原子力学会では全く相手にされない」と嘲笑した光景とも重なるものでした。

どちらが正しかったかは今では歴然としているのではないでしょうか。

このように、この『脚気の歴史』を読んでいると、改めて、現在のイベルメクチンをめぐる論争を想起せざるを得ません。

というのは、「新型コロナウイルスはワクチンでしか治らない」「イベルメクチンは有効性が立証されていない、大きな副作用も懸念される」という言論ばかりが大手メディアで横行し、現場医師がイベルメクチンを堂々と胸を張って患者に処方することが許されていないからです。

世界各地でイベルメクチンが予防薬としても治療薬としても大きな成果をあげているにもかかわらず、大手メディアはそれをほとんど報道しようとしません。安全で安価で有効なイベルメクチンさえ使えば、危険で高価なワクチンを使う必要がないのです。

ところが、いまだに日本でも世界でも、WHOやCDC(アメリカ疾病管理予防センター)の意向を気にしてか、イベルメクチンを使うことにためらいがあります。ビル・ゲイツ財団や巨大製薬会社からの大きな圧力があるのかもしれません。

だからでしょうか。東京医師会の会長が記者会見で「今こそ現場でイベルメクチンを」という呼びかけを行ったところ、その動画がユーチューブから消されたり、 「東京医師会の会長は過激派だ」とか「会長の兄は学生運動の過激派に属していた」という書き込みも出てくるという始末です。

しかし、脚気論争の歴史を見れば分かるように、結局のところ、真理・真実は権力・金力に打ち克ってきました。

ガリレオが唱えた地動説も、現在でいう「陰謀論」のような扱いを、教会権力から受けてきましたが、今では、どちらが正しかったのかは論じる必要もありません。

新型コロナウイルスと遺伝子組み換えワクチンをめぐる論争についても、同じ結果が待ち受けているように私には思われてなりません。

How many deaths will it take till he knows that too many people have died?
(いったい何人の死が必要なのか、余りも多くの人が死んだことを知るまでに問題はそれまでに何人の人が死ななければならないのかということです。─ボブ・ディラン「風に吹かれて」 )

繰り返しになりますが、私たちはガリレオの時代に戻ってはならないのです。

(寺島隆吉著『コロナ騒ぎ謎解き物語2—[メディア批判]赤旗から朝日まで 私たちはガリレオ時代に戻ってしまうのだろうか』の終章第から転載)

 

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寺島隆吉 寺島隆吉

国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授

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