【連載】横田一の直撃取材レポート

東京15区補選 自民相乗りを否定しない乙武氏の出馬会見(データマックス2024.4.9)

横田一

写真:乙武洋匡氏

「東京15区補選 “裏金自民”アシストの小池知事」が公開された1時間後の8日午後2時、作家の乙武洋匡氏が衆院東京15区補選への出馬会見を開いたが、予想通り、小池百合子知事が“裏金自民”を3度アシストする展開となりそうだ。「無所属」での出馬を表明したものの、質疑応答で私が自民党相乗りの可能性について聞くと、乙武氏は否定しなかったのだ。

──小池知事は2回すでに自民党にアシストをしているが、江東区長選と八王子市長選で自民党と同じ候補を応援して、「裏金自民党」敗北を避けるのに貢献をしたと。今回も同じパターンになる可能性が高いと思うし、まさに(記者会見場に貼られた)ツーショットポスターで小池知事が登場しているわけだから、現時点では(自民党推薦決定は)なくても今後、自民党からの支援あるいは推薦など何らかの応援を(受けるのか)。ちなみに江東区長選では自民党の為書きが並んでいたが、自民党アシスト、「政治とカネの自民党」への怒りを静める役を買って出る可能性はないのか。

乙武洋匡氏(以下、乙武) 私自身、そもそも裏金問題に対しては激しい憤りを感じている。またルールを守らない不正なお金の使い方、貯め方をしていることに対して許せないという気持ちは強く持っている。ただ選挙というのは、そのとき、そのときの構図によって誰が誰を応援するというのが恐らく変わってくると思う。私は、自分の参加していない選挙(江東区長選や八王子市長選)には口を挟むことはできないが、少なくとも今回、私自身は裏金問題を許すことができないという立場で選挙に臨むつもりだし、そういった姿勢でいる私を小池さんも応援してくれるのであれば、恐らく小池さんもそういった気持ちではないかという風に思う。

自民党からの支援について明確に答えないので、「裏金自民党と相乗りする可能性はゼロなのか。今後、あり得るのか」と確認すると、乙武氏は「現時点ではどこの政党にも推薦依頼を出していない」と切り出したものの、将来的に相乗りする可能性があることは認めた。

「私の政策を見た上で、どの政党が『推薦を出したい』と言って下さるのかは分からない。なので『ゼロ』とはもちろんいえない」(乙武氏)。

「支離滅裂」「言行不一致」とはこのことだ。裏金問題に「激しい憤りを感じている」のに乙武氏は裏金自民との相乗りの可能性は「ゼロではない」と含みをもたせたのだ。小池知事が「3匹目のどじょう」(前掲記事)を狙って、乙武氏擁立に動いた魂胆が浮き彫りになる。

それは、江東区長選と八王子市長選に続いて東京15区補選でも自民党に恩を売って、女性初の総理を目指す道筋を模索するというものだ。

先の本サイト記事では「自民の相乗り可能な乙武氏を擁立、自民の支援も受けて野党系候補に競り勝てば、自民党に恩を売ることになる」と指摘したが、この“小池知事シナリオ”に沿って乙武氏が出馬会見に臨んだように見えるのだ。

会見開始前に司会者から「質疑応答は一問一答」と釘を刺されていたので、再質問できなかった「小池知事の意向(シナリオ)」については会見終了後の声かけ質問で対応することにした。

司会者が「これにて乙武洋匡の記者会見を終了させていただきます」と宣言、乙武氏が頭を下げたタイミングを見計らって、「自民党への相乗りを否定しないのは小池さんの意向か」と大声を張り上げたのだ。

すると、乙武氏は「いま深く頭を下げたところは謝罪会見と切り取らないでください」と話をすり替え、記者から笑いを誘ったが、質問には無回答。そこで、私は「小池さんの意向か。自民党への相乗りを否定しないのは」「小池総理誕生を(願っているのか)」と再び声かけをしたが、乙武氏は「ありがとうございました」と記者たちにお礼を述べただけで、私の質問に答えることはなかった。

しかし、会見場内に何枚も貼られた小池知事と乙武氏のツーショットポスターは“小池劇場再来”を物語っていた。江東区長選と八王子市長選で自民党に恩を売って、国政転出と自民復党への手応えをつかんだ小池知事だが、東京15区補選でも乙武氏擁立を主導、裏金自民に手を差しのべる“救世主”として登場することになったのだ。

女性初の総理を狙う小池知事の思惑通りに選挙戦は進んでいくのか。16日の告示まで1週間となった東京15区補選から目が離せない。

【ジャーナリスト/横田 一】

 

本記事は「東京15区補選 自民相乗りを否定しない乙武氏の出馬会見(データマックス2024.4.9)」の転載になります。

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横田一 横田一

1957年山口県生まれ。選挙取材に定評をもつ。著書に『亡国の首相安倍晋三』(七つ森書館)他。最新刊『岸田政権の正体』(緑風出版)。

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