横田基地周辺の有機フッ素化合物(PFAS)による地下水汚染
安保・基地問題3.横田基地周辺の汚染に対する住民の学習と血液検査の運動
2020年1月、横田基地周辺の水道水・井戸水が高濃度に汚染されていることが新聞で報じられると、驚いた多摩地域住民が集まって懇談会をもち、橫田基地周辺の水汚染を知る学習会実行委員会として継続的に取り組んでいくことを決めた。
2月24日に京都大学の小泉昭夫名誉教授を招いて「有機フッ素化合物の汚染を知る学習会」を羽村市で開催(200名余の参加)。
その後、多摩地域の汚染に関する東京都環境科学研究所の調査報告や、沖縄の米軍基地の汚染の実態、研究者の健康リスクに関する論文などをまとめた参考文献集を作成し学習。ビデオ動画を観る会、ジャーナリストを呼んでの学習会などに取り組み、毎月、継続的に会合を開いてきた。
20年9月17日、東京都の3部局(水道局、環境局、都市整備局)宛てに、横田基地周辺の水汚染についての懇談・要望書(質問状)を提出、12月4日に文書回答があった。
21年5月に、チラシ「横田基地周辺で有機フッ素化合物にどこまで汚染されたか?―自主的な血液検査で明らかにしましょう!」と、カラーのマンガチラシ(写真)を作成。「多摩地域の有機フッ素化合物汚染を明らかにする会(準備会)」の結成を呼びかけた。
コロナ感染が強まる中、9月からは学習会実行委員会の会合をオンラインで開催。沖縄や京都、大阪など、この問題に取り組んでいるみなさんやメディア関係者の参加もあり、全国的なネットワークづくりが始まっている。
22年2月6日、オンライン学習会「横田基地周辺の有機フッ素化合物汚染/実態を明らかにする血液検査―なぜ必要か、何がわかるか」を開催。小泉昭夫名誉教授の講演のあと、自主的な検査運動を呼びかけた。沖縄の子育て世代の女性と小牧飛行場のある愛知県豊山町で汚染問題に取り組んでいる方からのあいさつがあり、大阪府摂津市のダイキン工業の汚染公害に取り組んでいる方からのメッセージが紹介された(参加者は沖縄などオンラインと会場参加の両方で約140名)。
4月末からは、フェイスブックの公開グループ「多摩地域の有機フッ素化合物汚染を明らかにする会(準備会)」を立ち上げ、連日、横田や沖縄、国会質問、アメリカなどの情報を発信している。
8月7日、国分寺市内で「多摩地域の有機フッ素化合物(PFAS)汚染を明らかにする会」の発足のつどいを開催します。第一部で血液分析を担当される原田浩二京都大学大学院医学研究科准教授のオンライン講演、第二部で国分寺の本町クリニックの杉井吉彦院長と社会医療法人社団健生会理事長の草島健二さんのあいさつ、沖縄から「連絡会」事務局長の高橋年男さんにオンライン報告をしていただく予定である。数百人規模の住民による自主的な血液検査を今後どのように進めるか話し合っていくことにしている。
【参考文献】
・ジョン・ミッチェル、小泉昭夫、島袋夏子『永遠の化学物質 水のPFAS汚染』(岩波ブックレット、2020年8月)
・諸永裕司『消された水汚染~「永遠の化学物質」PFOS・PFOAの死角』(平凡社新書、2022年1月)
●「ISF主催公開シンポジウム:参院選後の日本の進路を問う~戦争前夜の大政翼賛化」(8月27日)のお知らせ
※ご支援のお願いのチラシ作成しました。ダウンロードはこちらまで。
1947年生、石川県出身、日野市在住。月刊雑誌の編集を経て、現在フリーの出版企画編集コーディネータ、<科学と人間シリーズ>14点を刊行(リーダーズノート出版で発売)