【特集】参議院選挙と改憲問題を問う

参院選・弁護士候補が語りつくす、れいわ新選組憲法対談:西みゆか(埼玉選挙区)×辻恵(比例代表)

紙の爆弾編集部

・異常な日本の官僚制度

辻:安倍政権の8年間は、日本の政党政治の歴史において最低最悪の期間であったと私は考えていて、モリ・カケ・サクラをはじめとした権力の私物化の責任を明確にしない限り、日本の無責任体制は変えられないと確信しています。

この観点から、6月の中旬をめどに、森友事件の真相究明と責任追及を目指し、佐川宣寿元財務相理財局長をはじめとした3人の官僚を、虚偽公文書作成罪等で刑事告発する準備を始めています。賛同いただけるたくさんの方々に是非告発人になっていただきたいし、西さんにも告発代理人に就任いただきたいと思います。

西:そうですね。ぜひ頑張らせていただきます。

辻:西さんはアメリカの弁護士資格も取得されていますね。1963年のケネディ大統領暗殺事件にFBIが深くかかわっていたのではないかという疑惑が根強くあります。アメリカでは事件から50年経てば一連の関係記録が公開されるわけですが、公開による影響が懸念されると10年間延期されました。多分FBIの悪事が暴露されるのを慮ったのだと思われますが、それでも歴史において検証されるという制度は維持されています。自分たちの行動が将来検証されるということになれば、恥ずかしい行動はとれないという抑制が働くわけです。

日本の安倍政権下の森友事件に関する財務官僚の行為は、こうした歴史による検証の制度をなくしてしまうもので、優秀といわれた日本の官僚制度も地に堕ちたと情けなくなります。

西:アメリカで一緒に働いたことがある友人の弁護士から聞いた話ですが、日本の行政機関の会議に出て、アメリカ時代と同様に議事録を一字一句違わず録っていたら、「こんな細かくきちんと書くものじゃない」と言われて、全部削除されたと憤慨していました。法律を学んでいると、手続きの適正があってこそ中身が担保されるというデュープロセスの原則が当たり前ですが、霞が関ではそうではないようです。

辻:日本の官僚制度は内閣人事局により人事権を官邸に握られてしまっています。ふるさと納税制度でも、当時の菅義偉総務大臣の意向にそぐわない意見を述べた官僚が左遷されましたが、官僚はとにかく忖度しないと出世の道が閉ざされるわけで、気骨のある官僚はいられなくなるわけです。

新しい時代を担いたいと思う人材は、官僚にならずに経済界で挑戦し、日本の統治機構を担う人材が枯渇してゆくことになります。今の政治が続く限り、官僚制度をはじめ、日本の基幹的な組織や制度はどんどん劣化していくに違いありません。

西:ところで、岸田首相は5月、イギリスのシティで「インベスト イン キシダ(岸田に投資を)」と言ったようですが、誰が、外国に配当するためにあくせく働くでしょうか。

辻:1980年代にサッチャー・レーガンの新自由主義がもてはやされて、日本でも1985年に電電公社、1987年に国鉄が民営化され、官から民へということで、特に2002年からの小泉政権下で竹中平蔵氏が軸となって、金を稼ぐ力が世の中の中心だという路線が全面化していきました。2007年の郵政民営化や規制緩和がどんどん進められ、日本は公的な制度が壊され、貧困化と分断という結果に直面しています。

私たちはこういう地点に今立っているわけで、岸田首相も、当初はモリ・カケ・サクラも問題だし、新自由主義も弊害があると言ったりしたけれども、今は官僚の言いなりになって何の発信も行ないません。今必要なのは、政治も経済も社会も、そして物質的にも精神的にも劣化が進んでいる日本の現状をどう立て直すのかという国の将来に対するビジョンです。しかし、既存の政党はどこも、まともな将来ビジョンを出すことができていません。

西:れいわ新選組だけですよね。

辻:旧来政党のアンチを自称する維新にしても、「身を切る改革」「しがらみを断つ」「行財政改改革」とか言っていますが、大阪都構想はまったく虚構の空理空論だったということが明らかになっているし、今や「カジノだ!カジノだ!」としか言っていません。しかし大阪のカジノは、年間2000万人の入場者があって4200億円の売り上げがあるとの触れ込みですが、成功しているといわれるシンガポールですら実際は、入場者4500万人で売り上げが3000億円。維新の数字の根拠は全く不明です。あのユニバーサルスタジオジャパンの入場者すら2000万人に達したことがないのです。

維新は今度の参院選においても一定程度の伸びを示すかもしれませんが、冷静に見れば、まったく将来展望を持っていないことは明らかです。既成政党の受け皿になるだけでなく、そもそも政党政治に対する不信を持っている層に語りかけることが、れいわ新選組の使命といえます。

・自民党が改憲を掲げる理由

西:私は、街宣で憲法について、特に自民党の改憲草案をとり上げてその危険性を訴えていますが、自民党のホームページに載っている改憲草案の説明は、ペラ一枚の内容が全く薄いものです。 あとは漫画で、「頑張ってくださっている自衛隊を違憲というのはおかしい」といった調子で、憲法を何だと思っているのか、怒りを禁じ得ません。

辻:おそらく自民党が、絶対に憲法を改正しなければならないという切実な理由を持っていないということを示しているのだと思います。それなのに、なぜ岸田政権は改憲に前のめりな発言をしているかということですね。

私は、国民の不満や抵抗を押しつぶすために、異論を許さない大政翼賛的な状況を作り出したいのだと思います。つまり、現在の様々な問題を解決できる将来ビジョンを示すことができないので、現在の既得権益や支配権を、絶対に失うことがないように平定しておきたいということです。そのために憲法改正によって、国民を統合したいということでしょう。

西:改憲草案を検討していると、本当に自民党の議員は、この内容を理解しておられるのか疑問です。自民党内にも異論があるのではないかと感じます。

辻:2017年の衆院選が終わった当時、自公政権は、衆議院も参議院も3分の2の多数を押さえていたわけで、国会の憲法改正の発議はやろうと思ったらできたわけです。それなのになぜやらなかったのかというと、国民投票で勝てるという自信がなかったということでしょうね。

西:それはどういうことでしょうか。

辻:3月の韓国の大統領選挙を見ても、ある意見に対する賛否が問われた時は、結果は極めて拮抗した数字の勝負になることが多いわけです。特に憲法9条が問題になるとすれば、さまざまな立場の9条改憲反対派がいるので、自民党側は勝てるかどうか半信半疑です。もし拙速に国民投票にかけて敗北したら、自民党は存在基盤を失い危機に陥ることになりかねません。

だから自民党は、狡猾にさまざまな方法を考えて、勝てるという見通しを立てようとしています。その一つが、国民投票の直前までCMをやりたい放題にして、資金力でマスコミを押さえて国民世論を誘導する画策です。維新は大阪都構想の住民投票で、金の力でテレビCMを流し続けましたが、それと同じことをして世論の流れを意図的に作り出そうと考えているのです。

もう一つは、本当の狙いは憲法九条の改正で、戦争のできる国にすることでありながら、緊急事態条項の条文や、環境権を認める条文等を作って、これらと9条改憲を並べ、すべてをひとまとめにして賛否を問う形に持ち込もうとしています。個別に一条ごとに賛否を問うことになれば、9条改憲が否決されるおそれが増すからです。

西:実際のところ、改憲草案の内容は、どれも違憲そのものです。

辻:このような憲法問題をめぐる攻防に勝つための最良の方法は、私は、第二次世界大戦の敗北後、日本が戦争放棄の平和憲法を制定し、そのもとで現在まで77年間、戦争に関与せず、国民が殺すことも殺されることもまったくない不戦国家として存在してきたことを、世界に発信することだと考えています。

そのためには、国連の改革を、日本が主導権をとって主張することが必要だと思います。すなわち、国連憲章が締結されたのは、日本が降伏する以前の1945年6月、効力が発効したのが同年の10月です。したがって日本はドイツ同様に、いまだ国連内では敗戦国として扱われています。

しかし、唯一の被爆国として戦争放棄を憲法で宣言し、その後77年間不戦国家として存在してきたことの意義を世界に発信して、ヤルタ・ポツダム体制における戦勝国・敗戦国という枠組みを取っ払って、新生国連を提言すべきなのです。そのときには、西さんには、アメリカでの留学や就業の経験を活かして、ぜひ国連代表として、日本の主張を世界に発信してほしいですね。

西:光栄なお話です。

辻:日本は国連についても極めて姑息で、ドイツのほかにインドやブラジルといった経済成長国と一緒に常任理事国になろうと運動したことがあります。しかし、アジアでの戦争責任の問題を真摯に解決していないために、これらの国々から賛成を得られず、目論見は成功しませんでした。

西:相変わらず情けない話ですね。

辻:私は、れいわ新選組が、今回の参院選、来春の統一地方選、そして次の衆院選を、ホップ・ステップ・ジャンプで戦い、一日も早く本物の政権交代を実現したいと考えており、必ず実現できると確信しています。この戦いは、世界に対して唯一の被爆国であり不戦国家である日本が存在感を発揮することに繋がるものなのです。

(月刊「紙の爆弾」2022年7月号より)

 

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