【連載】安倍晋三の射殺と三代の腐れ縁(藤原肇)

第3回 安倍晋三の射殺と三代の腐れ縁②

藤原肇

米ソの冷戦構造が終わり、ソ連体制が崩壊すると共に、反共をかざした統一教会は、戦略の転換に迫られて、反共を家庭に書き換えたが、資金難に見舞われたため、霊感商法は過激なものになった。中曽根バブルの名残に、日本人は陶酔していたので、豊かだった中産階級を対象に、統一教会は資金稼ぎを試み、学生や若い未婚女性が、洗脳工作の主要対象になった。

詐欺商売が稼業で偽装宗教の統一教会が、資金稼ぎの猟場に日本を使い、無知な日本人をカモネギにして、数千億円のカネを巻き上げ、韓国の本部に送金していたという。しかも、隣国の日本は悪魔の国だから、韓国に贖罪するのが天の定めと妄信し、信者から収奪する行為に罪悪感を持たず、当然の献納だと放言したのに、この霊感商法に日本人は騙されていた。

フランスやドイツには市民生活を阻害して、個人の人権を損なう偽装宗教を禁止する、「反セクト法」が存在しており、政教分離の原則が近代社会を支える形で、秩序の維持を果たしている。この観点で見ると日本や韓国の現状は、カルトの活動が放任された状態で、淫祠邪教が横行しており、政治家がそれを利用して、権勢を維持していた点で、クレオール的な文化圏だった。

男尊女卑の韓国では女性の数が少なく、韓国の独身男の妻を日本女性で補い、それを目的に合同結婚式を組織する、そんな手口まで使っているが、収奪行為は財産のレベルに留まっていない。教祖がカップルを決めるが、結婚式の時が初対面だし、離婚は不可能な状態におかれ、子供を生み家庭を作ることが、信者には強制されていて、韓国の田舎に連れ去られた状態で、数千人の女性が消えている。

多くの日本人の女性が性奴隷に似た境遇で、洗脳状態で異国で生きており、祟りの脅かしに脅え一種の拉致状態が続くのに、信仰を口実にして自民党政府は、救済措置を取ろうともしないでいる。狩猟生活をした時代には、生命の危険に曝されて、それで不安に支配されたので、神秘な力への畏怖の心が精霊や魔法に対し、畏敬の感情を生み出したから、それを象徴した習俗がシャーマニズム信仰を生んだ。

この種の問題に取り組み、精霊や信心について古代人の考えを知り、ドルメンや柱状列石を調査して心理の深層に迫る上で、統合的な仮説を作るためには、人類学的なアプローチが役に立つ。また、カルト問題を調べる時に、デュルケムやマックス・ウェバーを始め、フロイトやユングを含む、宗教現象学や心理学に至るまで、社会科学の知識を活用すれば、思いがけない成果を得る。

だが、そんな世界の探求は、簡単には出来ない上に、扱える人材は限られており、誰も取り組もうとしないし、私にも無理だったから、手を出さないのが無難だと当時の私は思い込んでいた。しかも、マンソン事件を始め、人民寺院の集団自殺や、ダビディアン事件など、カルト集団の狂気現象が、各地で暴発していたので、統一教会に深入りすることに、私は余り気が進まなかった。

アメリカでのカルト事件は、狂信的でも宗教色がとても濃厚だし、最後は集団自殺で終わるのに、統一教会は政治色が強く、経済活動を盛んに行い、ファシズム運動に近かった。だから、恥ずかしいことであるが、当時の私は迂闊なことに、大衆の動員力を駆使して、総体革命を掲げていた、創価学会の組織力に対し、より強い危機感を抱き、ナチスの幻影を見ていた。

専制的な統率力では、ヒトラーの手口がスターリンに近いから、滑稽さを持つムッソリーニよりも、危険だと思い込んだ私は、統一教会より創価学会に、危機感を抱いて警戒した。半島民族の性格を持つファシズムに較べると、大陸的なナチズムの偏狭性は、鉄と血の統制力を誇るので、迫力を秘めると判断して、スターリズムを感じ取り、私は見誤ってしまったのである。

それに加えて、何分にも安倍晋太郎は、脆弱で迫力に欠けて、カリスマ性もなかったから、半島に近い下関に根を張る、パチンコ利権と結んだ、世襲議員という誤解が、私の観察眼を曇らせていた。同じ半島人脈に属すが、済州島が本貫の竹下登は、闇の入口の出雲に陣取っており、今将軍の田中派に属して、親分まで食い殺していたし、天下取りを狙っていただけに、陰惨な迫力が感じられた。

総体革命を掲げる上に政治組織の公明党を持ち、800万人の会員数を誇る創価学会に較べるなら、右翼の岸信介や笹川良一が統一教会の背後にいても、大した存在には見えなかった。確かに、合同結婚式や霊感商法で問題を起こしたが、在日の芸能人を相手に詐欺商売をする統一教会は、KCIAに密着していても、悪徳カルトに過ぎなかった。

1980年代の報道では、池田大作の指揮下に大石寺に結集していた、創価学会の行動力は壮絶だったし、10兆円を超える資金力に幻惑されたので、メディアも圧倒されていた。また、ロスに点拠を構えたヴィーゼンタール協会と組み、アーバイン牧場の丘の上に創価大学の分校を作った、会員数も多い創価学会に較べて、統一教会は取るに足りないと私は見誤っていた。

その理由は簡単であり、統一教会のカルト性が余りに見え見えで、モーゼの再来が文鮮明だという作り話は幼稚過ぎ、劣悪な詐欺の手口はお粗末だし、発想の貧困さは目に余った。また、韓国が男のアダムであり、日本がエヴァの国という愚劣な設定が、国家観として低能児級の発想だし、こんなヨタ話に引っ掛かるなら、如何にバカかと軽蔑したのは、発想が余に愚劣だったからだ。

しかも、念の入ったことであるが、朝鮮語が国際標準語になって、世界は韓国により統合されて、地上の天国になるという思い上がりは、余りに自己中心思考の権化で、とても相手する気にならなかった。だが、国家を乗っ取ろうと考えた、創価学会の総体革命に較べ、自民党に徐々に浸透を果たし、最後に内部を完全に腐らせ、全滅させる黴菌作戦が、20年の時間で勝利を占め、統一教会は目的を果たした。

この作戦の成功の背後に、安倍晋三の存在があり、祖父の岸信介に始まって、3代かけて首相の椅子に座らせ、最終的に目的の実現を狙う、傀儡作りへの長期戦略が実った。この忍耐強い浸透工作は、安倍が下関を地盤にして、山口県を支配していたから、実現した成果であるが、

2000年も昔になるが、ローマ時代のキケロは、市民が自由に生きる、共和制に体現される形で、共通善に奉仕するような、普遍性を誇る共同体に、祖国のイメージを描いていた。だから、身近な仲間からなる出生地や家族を超えて、理想の連帯で結ばれた開かれた社会が、近代以降における祖国だし、現在の理想は未来観を伴っている。

それに対し過去に向き伝統を重んじる者は、古い体制を思慕しがちが、帝政や王制さえも乗り越えて太古の世界を憧憬し、その実現を目指す集団にカルト性が強く現れる。アメリカの独立を始め、フランス革命に強い敵意を抱いた英国では、共和的な普遍思想に強い反発を示したから、王党派を中心にして保守主義の牙城だった。

しかも、保守主義が過度になり、伝統主義を突き抜け太古に回帰する時に、呪術や憑依と結びつくシャーマニズムが出現し、社会不安に乗じる形でカルト現象が蔓延する。社会学的にこれは旧体制の破綻による、末期現象と呼ばれ病理に属す現象だが、歴史上に良く出現して天変地異に結びつくが、太陽の黒点変異による影響を受けると言う。

太陽系のレベルで発生する経年変化には、キチンやジュグラーを始め、ゴンドラチェフが論じた60年や180年の周期が、シュンペーターにより提示された仮説としてある。だが、歴史学の周期説においては600年や1400年説もあるが、より長いものとしては、プラトンの二万六千年説や地質学的な長期変移説も、興味深い仮説を提供している。

話が脱線し過ぎると宇宙論に発展するので、テーマを元に戻すが、安倍親子のその後に関して、政治の舞台に光を当て動きを追跡すれば、日本のカルト化現象とネオコンの関係が理解できる。それにしても、世界レベルにおける末期症状として、登場したネオコンの横行との関連では、安倍晋三が日本の没落に関与し、病跡学の対象として興味深いものがある。

これが歴史の事実であるが、思考力喪失の日本人は洗脳されてしまい、遺影の前で追悼の花を捧げ、政府は大勲位を贈り国賊に国葬を行い、現人神に仕立てようとしている。この醜態は国辱的で愚かさの極致だが、AJP・ティラーが言った「ドイツ人は鉄の規律で締め上げて発狂する」ように、カルト化した国家は狂信に陶酔して狂うのである。

 

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藤原肇 藤原肇

フリーランス・ジャーナリスト。『皇室の秘密を食い荒らしたゾンビ政体』『日本に巣食う疫病神たちの正体』など著書多数。海外を舞台に活躍する。

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