【連載】コロナ渦の起源についての検証(矢吹普)

第2回 「軍人オリンピックのナゾ」その(二)

矢吹 晋

19年8月に米国最大の生物化学兵器基地(フォート・デトリック)が緊急閉鎖された。その後、米国で、いわゆるインフルエンザがブレイクアウトし、すでに一万余が病死した。10月下旬、武漢で世界軍人オリンピックが開かれ、米兵たちは武漢の街角のいたるところをぶらついた。そして1月に武漢で新型コロナウイルス患者が現れ、いまや全世界でブレイクアウトした。
問題の焦点は、以下の7点である。

(1)「患者零号」は、結局誰なのか[氏名と死亡時期、ウイルス型のゲノム]。
(2)武漢市の華南海鮮批発市場は、ほんとうに感染の起源地なのか。
(3)米国生物化学兵器実験室 (フォート・デトリック)で、コロナウイルスを研究した目的は何か。
(4)19年8月、米国最大の生物化学兵器基地(フォート・デトリック)はなぜ緊急閉鎖されたのか。
(5)[米国で米中共同研究を行っていた]米国研究所はなぜXXチーム に対して数千頭のキクガシラコウモリの研究材料を依頼したのか。
(6)ゲノム配列を調べて、中国にはなぜC型だけしか発見できないのに対して米国患者からはABCDE型、すべての型を発見できたのか。
(7)米国疾病統制センターCDCの主任レッドフィールド(Redfield)の回答によれば、インフルエンザとして扱われた患者のなかに、実際には新型コロナウイルス患者も含まれていた。では、それらの新型コロナウイルスによる死亡者のカルテを公開する必要がある。
(8)武漢軍人オリンピックにおけるフランス、スペイン、イタリアへの感染可能性

武漢軍人オリンピック(19年10月18日~27日)で新型コロナウイルスに感染したと主張するフランス女子10種競技の優勝者エローディ・クローヴェル(Elodie Clouvel)の証言を、フランス国際放送RFIが5月6日に報道し、翌7日に英ミラー紙が詳報した。ただし、フランス国防相は軍人オリンピックでの感染はなかったと否定している。これらの報道を受けて、5月7日AFP電は、零号患者について、次の解説記事を報じて注目された。

「中国が新型コロナウイルスの最初の症例を報告したのは19年12月だが、その時点ですでに新型コロナCOVID-19は広まっていたのか。科学者たちはウイルス自体の進化の跡をたどることで患者零号を見つけようとしている。これは『ウイルスの系統樹』をさかのぼって調べるプロジェクトだ。フランスでは、20年1月下旬にクラスター(感染者集団)が発見されたとしているが、抗ウイルス薬の専門誌IJAAに発表された最新研究によると、その1カ月前に、すでに同国に存在したことが示唆されている。

仏パリにあるアビセンヌ病院(Avicenne Hospital)とジャン・ベルディエ病院(Jean-Verdier Hospital)でインフルエンザに似た症状で集中治療を受けた患者14人から採取した検体のレトロスペクティブ(回帰分析)を行った結果、患者の1人が新型コロナウイルス陽性であることが明らかになった。この患者は仏国内に住む42歳の男性で、中国への渡航歴はなかった。男性が入院したのは12月27日だった。アビセンヌ病院感染症部門を統括するオリビエ・ブショー(Olivier Bouchaud)によると、新型コロナウイルスは初め『誰からもその存在を気付かれることなく』拡散する。そのため、より以前の感染の証拠が見つかる可能性があると、ブショーはAFPに語った」(遺伝子でたどる新型コロナの起源、AFP、20年5月7日)。

さらに武漢での軍人オリンピックからは、スペインの選手の中からも感染者が出ている。スペインの英字紙Olive Pressは5月8日、以下のように報じた。「2019年10月に武漢オリンピックから帰国したスペイン選手はコロナウイルスの症状を示した。スペイン国防部によれば、一人として検査を受けなかった。スペイン選手団は約170名であった。ある選手は『ル・モンド』紙に「当局は喉の痛み、あるいはインフルエンザ扱いしてすでに治癒したと扱ったが、これはまずかった」と語った。

中国はWHOに12月31日になってようやくコロナウイルスを通報したが、これは軍人オリンピック閉幕65日後であった。この週に、フランス選手の症状が出たあとで、スペイン選手団のリーダーは、参加した選手にパンデミックの症状の有無を尋ねた。スペイン国防部はオリンピック参加者が症状を示していることを知らず、これからテストするのでは遅すぎることを知らない。スペイン選手団の宿舎はフランス宿舎の近くではなかった」(”Spanish athletes displayed coronavirus symptoms following the world military games in Wuhan in October 2019”, Olive Press ,20年5月8日)。

他に、イタリアのフェンシング選手(Matteo Tagliariol)がコロナに罹患したのではないかという疑惑について、イタリアの『ゴスパニュース』(Gospa News)は5月7日に以下のように報道した。

「武漢の軍人オリンピックの最中に、多くの選手にひどいインフルエンザが蔓延した。『私たちは病気になり、彼はトレーニングを3日間休みました。そして、軍医と話すと、彼はわたしたちに『代表団のほとんどが病気になったので、あなたたちも感染したのでしょう』と言った』。彼ら二人の証言によって、急性呼吸器症候群がすくなくとも2カ月前には存在していたという仮説を裏付けている」(”Too Many Influenza’s Cases at Military Games in China”, Gospa News, 20年5月7日)。

このように、軍人オリンピックに参加した多くの選手に症状が見受けられた。

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矢吹 晋 矢吹 晋

1938年生まれ。東大経済学部卒業。在学中、駒場寮総代会議長を務め、ブントには中国革命の評価をめぐる対立から参加しなかったものの、西部邁らは親友。安保闘争で亡くなった樺美智子とその盟友林紘義とは終生不即不離の関係を保つ。東洋経済新報記者、アジア経済研究所研究員、横浜市大教授などを歴任。著書に『文化大革命』、『毛沢東と周恩来』(以上、講談社現代新書)、『鄧小平』(講談社学術文庫)など。著作選『チャイナウオッチ(全5巻)』を年内に刊行予定。

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