【連載】コロナ騒ぎ謎解き物語(寺島隆吉)

第14回 『長周新聞』批判─「反ワクチン」は陰謀論 !?④:「ワクチンを受けた人」が他の人にとって危険!?

寺島隆吉

もう一度長周新聞の次の一節に話を戻します。

彼が主宰する反ワクチン団体には1,400万ドル(15億円強)出資する活動家がおり、ケネディは団体から年間25万5,000ドル(2,800万円)ほどを得ていることを公表している。

これが長周新聞によると、RFKジュニアが「反ワクチン運動で暴利を得ている」という根拠になっている事実らしいのです。

が、 「子どもの健康防衛(Children’s Health Defense)」は営利企業ではなく非営利組織(NGO:Non-Profit Organization)なのですから、その運営費用は寄付に頼る以外にありません。

ですから、そこに、CCDHという団体が主張するとおり、 「1,400万ドル(15億円強)も出資する活動家」がいたとしても、それは不思議でもありませんし、違法ではありません。

なにしろ、ジョージ・ソロスという投資家は、海外の政権転覆を企てるNGOに、巨額の費用を提供しているのですから、それに比べれば、1,400万ドルという金額は、はした金かも知れません。

それどころか、ソロスは、ウィキペディアによると、シンクタンクINET(Institute for New Economic Thinking)の創設に当たり、5,000万ドルを提供し、東欧における数々のカラー革命のためにもに巨費を投じてきたのですから。

ゲイツは、2005年には国際団体GAVIアライアンス「ワクチンと予防接種のための世界同盟」に、民間としては最大規模の7億5,000万ドルの寄付を発表しています。

これに負けず劣らずなのがビル・ゲイツです。

ゲイツにすれば、 「1,400万ドル」は、はした金に過ぎないでしょう。

しかも、この「ワクチンと予防接種のための世界同盟」はWHOを通じて世界中にワクチン接種を促し、それをもとに巨大製薬会社は巨額の利益を得て、その利益はビル・ゲイツ財団にも還流される仕組みになっているのです。

ですから、CCDHという団体の主張のとおり、RFKジュニアが、 「団体から年間25万5,000ドル(2,800万円)ほどを得ていることを公表している」としても、それが不当な暴利だと、どうして言えるのでしょうか。

RFKジュニアは弁護士ですが、彼は「反ワクチン運動」で忙しく、弁護士として生計を立てているようには見えません。ですから、たとえ彼が自分の主宰する「子どもの健康防衛(Children’s Health Defense)」という団体への寄付金から年収の大半を得ていたとしても、私はそれを責める気にはなれません。

ところが長周新聞の眼からすると、RFKジュニアは「反ワクチン運動」を餌にして、それを「反ワクチン産業」に成長させ暴利をむさぼっている人物になるわけです。

しかし、RFKジュニアは、ワクチンを利用して巨利を得ようとするビル・ゲイツや巨大製薬会社と孤立無援の闘いを強いられてきた人物、というのが氏の実像に近いと言えるでしょう。

長周新聞は、RFKジュニアが、 「セレブや環境保護、代替医療信奉者などのコミュニティーの中心に位置して講演会やパーティを開催。マスコミにもひんぱんに登場して発信している」と書いていますが、実態はまったく逆です。

彼は、財界・金融界の下僕になり下がった大手メディアから、 「陰謀論者」として叩かれ続けているからです。その大手メディアを裏から支えてきたのがビル・ゲイツでした。それを詳しく説明してあるのが次の翻訳記事です。

(2)億万長者ビル・ゲイツのメディア支配:ロバートFケネディ・ジュニアを徹底的に誹謗中傷( 『翻訳NEWS』2021-01-07)
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-476.html

それを、あろうことか、 「権力と闘う」ことを第一義として掲げてきた長周新聞が、このような「RFKジュニア叩き」の先頭に立つなどということは、私にとって想像を絶することでした。

彼の父親ロバート・ケネディ(元司法長官)は、兄ケネディ大統領の遺志を継いで大統領選挙を闘っている最中に、兄と同じように暗殺されました。いつRFKジュニアも暗殺されるかと心配している人は少なくありません。

それを攻撃しているのが長周新聞なのです。これでは日本の未来は暗いと言わざるを得ません。

〈追記〉

かつて日本でも「脚気はウイルスによるものか否か」が大きな論争になったことがあります。作家の森鷗外として知られる森林太郎は、東京大学医学部を卒業し、ドイツで当時の最高医学を学んできたあと、陸軍軍医になっていました。

その鷗外は、脚気がウイルスによるものであるとの説に固執し、結局「麦飯を食えば治る病気」の治療を遅らせる一因になりました。なにやら現在のコロナウイルス論争を思わせるエピソードではありませんか。

脚気をめぐる論争を取りあげた著作に『模倣の時代』上・下2巻(仮説社、1988)があります。

東大教養学科「科学史科学哲学」の第1期生であり、理科教育で有名な「仮説実験授業」の創始者でもある板倉聖宣先生の大著です。同学科の卒業生である私にとっては大先輩です。

最近、 『脚気の歴史』(仮説社やまねこブックレット、2013)が出されていることを知りました。詳しくは本書の「終章」を御覧ください。

(寺島隆吉著『コロナ騒ぎ謎解き物語2—[メディア批判]赤旗から朝日まで 私たちはガリレオ時代に戻ってしまうのだろうか』の第1章4節から転載)

 

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寺島隆吉 寺島隆吉

国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授

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