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【高橋清隆の文書館】(2024年03月29日) 在日米軍副司令官に返答求める 日米合同委員会廃止要求デモ第2弾

高橋清隆
 日米合同委員会の廃止などを求める「#みちばた」有志主催の第2回集会が3月28日、東京・南麻布のニューサンノー米軍センター(通称・ニュー山王ホテル)前で開かれ、およそ35人が2時間にわたって抗議の意志を示した。政治経済学者の植草一秀元教授も駆け付け、「日本の独立」を訴えた。前回示した要求文に対する在日米軍副司令官のジョージ.B.ラウル4世准将の返答を求める文書を甲斐正康さんが手渡そうとするが、またも受け取りを拒否された。

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主催者の(左から)川口・甲斐の両氏(2024.3.28筆者撮影)

同委員会は原則隔週木曜日11時から外務省とニュー山王ホテルで交互に開かれる。国家主権を左右する事項を話し合うにもかかわらず、議事録も決定した密約も公開されておらず、「国会より上の存在」とやゆされている。前回の抗議集会は2月1日に開かれ、約50人が気勢を上げている。ただし、今回は独立メディアのIWJや映画監督の内山雄人氏が取材に来た。警備する警察官の数は倍増した。

先回持参した要求文書は①日米合同委員会の廃止②過去行われた同委員会の全議事録の公開③同委員会で取り決められた全密約の白紙撤回を求めた内容。受け取りを拒否され、ニュー山王ホテル気付でラウル副司令官に郵送するが返送され、横田基地宛てに再送すると、福生市内の郵便局にラウル氏本人が受け取りに来たことが確認されている。

今回、用意した文書は、「非民主的な会議を同盟国である我が国日本に押し付けることは、日本の主権に対する侮辱的な侵害であり、日米合同委員会によって交わされた密約は日本の憲法と主権を侵害し、それと同時に米国の憲法をも侵害しております」とつづり、先回の3要求に対する返答を求めている。

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甲斐さんから要求内容を聞く参加者(2024.3.28筆者撮影)

午前10時半、主催者を代表して甲斐さんがあいさつした。「ご近隣の皆さま、2月1日もうるさいと思われたかもしれませんが、日本にとってとても、とても大事な抗議街宣です。戦後79年たちながら、いまだ米国の属国、植民地状態であることは分かっていると思います。植民地支配の象徴がこのニュー山王米軍センターで行われている日米合同委員会です」と説明した。

「未亡人製造機」と呼ばれる戦闘機、オスプレイを日本だけが買わされている実態を挙げ、「米国への抗議は日本である種のタブーかもしれませんが、このタブーをぶち破らない限り、日本人に真の幸せは来ない」と展望。

環太平洋連携協定(TPP)を上回る不利な条件の日米貿易協定を結ばせた米国のトランプ前大統領を礼賛する日本人が多いことに触れ、「これが日本の奴隷根性」と両断。「日本は日本で、真の独立を果たし、国民の利益を考える政治家を送り出そう」と呼び掛けた。

その上で、「今日の大テーマは、先回の要求3項目に対する返答を求めること。日米合同委員会を続けるのか、廃止するのか。白か黒か、はっきりしてもらう」とホテル側をにらみつけると、歩道に立つ聴衆から「素晴らしい。これぞ日本人でしょ」「頑張れ」などと声援が飛んだ。

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日米合同委員会の不当性を訴える川口さん(2024.3.28筆者撮影)

共同主催者の「YouTuber.JT3Reload」こと川口智也さんは開口一番、「私は国内・国外の全ての敵から合衆国憲法を擁護し、守ることを厳粛に誓います――。これはジョージ.B.ラウル様も含む全ての米軍兵が入隊時に誓わせられるもの。日米合同委員会は憲法を超える秘密会議であり、合衆国憲法にも違反してますよね」と問い掛けた。

「そうだ」の声が返る中、「あなたたちは何を守り、擁護しているんでしょうか。秘密会議は合衆国憲法違反であり、非倫理的であり、合衆国憲法が保障する民主主義・自由・人権の全てに違反しています」と指摘した。

オスプレイで事故を起こしても沖縄でレイプしても裁判に問われず、有機フッ素化合物(PFAS・ピーファス)の汚染源が米軍基地であるのが明らかにもかかわらず基地に立ち入ることが許されない実態を挙げ、「民主主義・自由・人権は憲法で認められているのに、日米合同委員会が例外をつくる。そんなことが民主主義国家である日本、米国で許されていいのか」と重ねた。

「私たちは民主主義が欲しいだけ。ラウル様と米軍の皆さま、もう一度、心に問いただしてください」と訴えた。

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和平のための提案をするパストリッチさん(2024.3.28筆者撮影)

続いて、日本在住の学者で米大統領選に立候補した経験もあるエマニュエル・パストリッチさんがマイクを取る。パストリッチさんは今回も独自の要求文書を用意した。先回は、同委員会がアメリカ側にとっても違憲であり、建国の背景にある法的・道徳的要請に違反しているとした上で、甲斐さんらと同じ3項目を要求する内容だった。今回はさらに①日米両国の政府高官や軍関係者に一般市民も加えた日米平和委員会の設立②日本の憲法第9条を参考にした合衆国憲法の第29次修正――の2つの提案をしている。

パストリッチさんは「日米合同委員会は秘密行政の中心」と断じ、強制ワクチンも言論管理もここで決められたと指摘。「今、中国、ロシア、イランとの戦争準備も、日本経済の軍事化政策もここで準備している。実際、参加している日本の官僚と米軍人が悪いことをしているのを皆、知っている。彼らは臆病で、勇気を持って反対できないから、私たちが力を合わせて止めないといけない。世界大戦の直前まで来ていて、時間がない」と警告した。

持参した英文の手紙を朗読し、「日米合同委員会の代わりに日米平和委員会をつくり、日本に倣って米国の平和憲法への修正を進めたい」と表明。「もともと米国は革命によって独立して創った国。帝国主義や秘密主義を許さない。官僚ではなく、日本の国民と一緒に頑張りましょう」と主張した。

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「CIAが諸悪の根源」と断じるNAOLIONさん(2024.3.28筆者撮影)

「#みちばた」のメンバーで『CIA音頭』を作詞・作曲したNAOLIONさんは日米合同委員会への抗議行動を評価しつつ、「泥棒に『泥棒』と言っているのが今の行動」と形容。「一番問題なのは、これを許す売国政治家の存在。まずは、これ(日米合同委員会)をやっていることを拡散して、国民に広く知ってもらうこと」と強調した。

「ニュー山王ホテルは米国人のエスコートがなければ日本人は入れない。ここは日本なのに、シンプルにおかしい。植民地丸出し。米国が嫌いなわけでなく、世界中の紛争を見ればCIAが種をまいて火を付け、拡大していて、諸悪の根源。ここはCIAの(日本)本部みたいなもの」と指摘し、『CIA音頭』の一節を口ずさむ。

「CIA CIA 俺たちみんなを見張ってる CIA CIA かっこいいなスパイだ エージェント」

笑いと手拍子が起きた。

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抗議と並行して政治の改変を主張する植草元教授(2024.3.28筆者撮影)

要求文の賛同人にもなった植草氏は、要求3項目について「心から賛同する」と評価。「日本は名目は独立国だが、実態は独立を果たしていない」と喝破した。

国家権力による冤罪(えんざい)事件によって犯罪者に仕立て上げられている当事者でもある植草氏は、司法制度の問題に言及。

「東京地検特捜部は占領下の隠退蔵物資事件捜査部が前身だし、日米合同委員会には法務省内閣官房長も入っている。日本の刑事司法の取り扱いに米国が介在しているのは、極めて重大な問題。砂川事件の跳躍上告も、米軍の司令によって日本の裁判所の判断がゆがめられたもの」と糾弾した。

その原点は、敗戦後の独立経緯にあると分析。1945年のポツダム宣言第12項に「日本が民主的かつ責任ある政府を樹立したあかつきには、直ちに連合国の占領軍は日本から撤退すること」と明記され、1952年のサンフランシスコ講和条約第6条にも「速やかに、少なくとも90日以内に撤退すること」と定められていることを紹介。

「ところが、2つの大きな問題が残った」と提起し、同講和条約第3条に「沖縄を含む南西諸島を日本から切り離す」とあることと、同第6条の後段に「ただし、両国の合意があった場合、その限りにあらず」とあることを挙げた。「このことによって米軍の駐留が行われている」。

さらに、「1960年の安保改定が強行採決されたことによって、日米地位協定に含まれている極めて重要な法律事項がほとんど国会で審議されずに成立した」として、駐留軍用地特別措置法、航空法特例法、刑事特別法を列挙。「そのために、沖縄で米兵による少女暴行事件や大学でのヘリ墜落、オスプレイの海上墜落事故が起きながら、日本の警察が何もできない」と嘆いた。

その上で、「79年たっても占領状態を放置してきた日本の政治を改変しない限り、永久に米国の植民地のまま。政治の不作為・怠慢に声を上げていかなければ」と聴衆を鼓舞した。

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持参したメッセージを掲げる参加者(2024.3.28筆者撮影)

この後、「英霊の名誉を守り検証する開会」会長で元自衛官の佐藤和夫氏や『維新と興亜』副編集長の小野耕資氏、ニコニコ動画配信者で『日本国独立宣言論』の著者でもある真田信秋氏、『主権者国民平和独立会議』代表の金野奉晴氏らがマイクリレーした。

正午、甲斐さんと川口さんがパストリッチさんの手紙を含め2通の文書をニュー山王ホテルに持参した。しかし、例によって日本人の顔をしたホテルの係員に拒絶される。

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文書の受け取りを拒否するホテル係員(2024.3.28筆者撮影)

「今回も私たちは受け取りませんので」
「それは何でですか」
「私からはコメントできません。申し訳ありません」
「では、コメントできる米軍の方を連れて来てください」

10分ほど粘るも、何ら対応はなく、甲斐さんはホテルに向かって「私たちは正当な理由をもってここニュー山王ホテルで抗議している。聞こえるなら、ここに来て要求文を受け取ってください」と叫んだ。

川口さんも「私たちは諦めません。日米合同委員会が廃止できるよう、何度でも抗議に参ります」と続けた。

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ラウル副司令官に肉声で返答を求める甲斐さん(右、2024.3.28筆者撮影)

聴衆の元に戻った甲斐さんは状況を報告。「皆さん、言いたいことを言おう、やりたいことをやろう。そして、思いっきり誰かを愛そう」と呼び掛けた。

多摩市に住む50代の会社員男性は初めて参加した。「やっと来れた。保守系の人たちが数人でやっていたのをSNS(交流サイト)で見て知っていたが、コロナで中止されていた。この運動は不可欠で、いつか自分もと思っていた。日米合同委員会の研究者によれば、消費税や規制緩和、自由貿易、民営化、移民、LGBT法もここで決められたそうで、黙っているわけにはいかない」と話した。

用意した2通の文書は午後、横田基地のラウル副司令官宛てに郵送された。主催者によれば、3回目も企画中。日程が決まり次第、SNS上で発表するという。

※この記事は、【高橋清隆の文書館】(2024年03月29日) 在日米軍副司令官に返答求める 日米合同委員会廃止要求デモ第2弾

、からの転載です。原文は、コチラ→「高橋清隆の文書館」2024年03月

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高橋清隆 高橋清隆

反ジャーナリスト。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。元ローカル新聞記者。著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)、『亀井静香が吠える』(K&K プレス)、『山本太郎がほえる~野良犬の闘いが始まった』(Amazon O.D.)など。翻訳にデーヴィッド・アイク『答え』第1巻[コロナ詐欺編](ヒカルランド)。2022年3月、メディア廃棄運動を開始。 ブログ『高橋清隆の文書館』http://blog.livedoor.jp/donnjinngannbohnn/

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