【連載】モハンティ三智江の第3の眼

第3回 物価高の昨今、インドのインフレと比べてみたー日印食品比較も

モハンティ三智江

さて、その現地米だが、細長い外米でパサパサしているものの、バスマティ(Basmati)という高級品種はよい香りがし、チャーハンなどの炒め飯にもってこいだ。私はよくオムライスも作っていたが、こっちで作ると、ご飯がべちゃっとしていまいちだが、インド米で作ったそれはライスがくっつかずきれいにできる。

インド人はほかに主食として、小麦粉を練って作った甘くないパンケーキ(ロティ=Roti)がポピュラー、夕食は胃にもたれないロティが多い(南インドは米食中心)。大型ぞうりのような形のナンは日本でもポピュラーだが、素焼きの大釜の内壁に種を貼り付けて焼くのである。

あと、全粒粉で作った丸くて薄っぺらなチャパティは、美容と健康によい。インド人はギー(Gee)といって、バターを精製した純牛脂を、パンに塗ったり、カレーやダル(Dal=豆スープ)に垂らしたりする。

ちなみに、亡き夫がよく朝食に食べていたのは、プリ(Puri)というふっくら揚げた丸い薄焼きパンだった(皮が膨れているのをパンパンと叩いてへこませ食べる)。

さて、インドといえば、なんと言ってもカレー、インドの代名詞となっている国民食だが、私はスパイスの癖の強い現地カリーが苦手で、ある時期から自分の食べる分だけ日本食紛いを自炊するようになり、それが帰国前まで続いていた。

先月(2023年2月)インドを訪れた義妹は(右から2番目の着物姿)、南のIT都市バンガロールで我が息子(右端の赤いTシャツ)と5年半ぶりの再会、現地でバナナの葉っぱに盛られたカリー定食(ミール)を堪能した。

 

スパイスを多用した辛味のある現地カリーは刺激が強く、胃の丈夫でない私はてきめんやられてしまうのである。

カリーを食べていたのは初期だけ、それでもインド人のように3食カリー三昧というわけにはいかず、昼食だけ、それも夫とともに作ったカリールーは現地のものでも、日本カレーに心なしか似た味のゆで卵入りで、経営する宿のお客さんにも好評だった。

現地カリーは、北と南で違い、北は油っこく、ねっとりと煮からめたものが主流だが、南はスープカリー主体で、酸味があるカリー汁は日本人の口に合う。

バナナの葉っぱに盛られたご飯やロティ、パパド(Papad=豆煎餅)、ダル(豆スープ)、何種類ものカリー、アチャール(Achar=マンゴーなどの辛いピクルス)、見た目もカラフルな菜食ミールは、南の旅に出たときの我が定番飯、葉っぱの上であったかいご飯とカリーを混ぜてこね回し、右指先を駆使して食べる現地作法、野趣味溢れる食べ方は、おいしさをいっそう引きたてたものだ。

しかし、日本には、味噌や醤油、納豆、梅干し、豆腐・揚げがある。健康面では、油の消費量が異常に多いインドに比べ(死因の1位は心臓病)、ヘルシーともいえる。出来合いの保存料入りの食品でなく、日本古来の和食を食べている限りは、平均寿命69歳のインド人よりはるかに、長寿を誇れそうだ。

一長一短の食比べ、現地には現地の良さがあり、日本には誇れる和食があるが、インドで認知症が少ないのは一説によると、スパイスのなせる技らしい。

カリーの黄色味を作るウコンは、漢方でも自然薬効果があるが、認知症予防になるかどうかはともかくも、一時期私も毎日ひと匙摂っていた。ターメリックパウダーは辛くないのである。

私見では、インドに認知症が少ないのは、短命で高齢化する人が少ないということもあると思うのだが。おおらかな国民性も寄与しているかもしれない。くよくよせず楽天的、ノープロブレムが口癖の、困難にぶつかってもたくましく乗り切るインド人のしたたかな明るさを、神経質な日本人は見習うべきではなかろうか。

 

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モハンティ三智江 モハンティ三智江

作家・エッセイスト、俳人。1987年インド移住、現地男性と結婚後ホテルオープン、文筆業の傍ら宿経営。著書には「お気をつけてよい旅を!」、「車の荒木鬼」、「インド人にはご用心!」、「涅槃ホテル」等。

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