【特集】ウクライナ危機の本質と背景

改めて検証するウクライナ問題の本質 :Ⅵ 忘れられたドンバスの苦悩(その3)成澤宗男さん

成澤宗男

クロアチア軍の「嵐作戦」(Operation Storm,1995年8月4日~7日)といえば、今回のロシアとウクライナとの戦争勃発前まで、第二次世界大戦後の欧州における最大の軍事侵攻作戦として記憶されていた。

クロアチア軍が、自国内で事実上の独立状態にあったセルビア人分離派主体の「クライナ・セルビア人共和国」に攻勢をかけ、ほぼ3日間で制圧した電撃作戦のコードネームであった。

おそらく、ドンバスで同じように分離派の実効支配地域を抱えているウクライナにとって、この「嵐作戦」に関心が引かれたとしても不自然ではないだろう。

2010年から17年まで、ウクライナのクロアチアとボスニア・ヘレツゴビナ大使であったアレクサンダー・レフチェンコは19年7月26日、ウクライナ国内のYOU TUBE番組に出演した際、次のように発言している。

「『嵐作戦』のようなシナリオは、(ドンバスでの)自称共和国によって支配された領土で勝手にやられた選挙の問題を解決するのを可能にし、ドンバスの違法な武装組織を撤退させるのみならず、自衛団の武装解除も可能にするだろう」(注1)

この発言に象徴されるように、ウクライナでは分離を目指すドネツク(DPR)とルガンスク(LPR)の二つの共和国に対し、もはやミンスク2にもとづく政治的解決に期待するよりも、クロアチアが実行したような電撃作戦によって、「政府以外の勢力による実効支配」という問題を解消する動きが存在していたと推測される。

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成澤宗男 成澤宗男

1953年7月生まれ。中央大学大学院法学研究科修士課程修了。政党機紙記者を経て、パリでジャーナリスト活動。帰国後、経済誌の副編集長等を歴任。著書に『統一協会の犯罪』(八月書館)、『ミッテランとロカール』(社会新報ブックレット)、『9・11の謎』(金曜日)、『オバマの危険』(同)など。共著に『見えざる日本の支配者フリーメーソン』(徳間書店)、『終わらない占領』(法律文化社)、『日本会議と神社本庁』(同)など多数。

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