改めて検証するウクライナ問題の本質 :Ⅵ 忘れられたドンバスの苦悩(その3)
国際ウェイドは、米国は今や狙い通りにロシアを「罠」にかけることができ、最終的にはかつてのボリス・エリツィンのような無能を極め、欧米が御しやすい指導者にロシアを統治させようとしていると見なす。
そのためにこそ、二つの段階から成る「ウクライナの罠」が必要となり、その「罠」が機能するためにはウクライナ軍が不可欠となる。
だから米国はウクライナ軍を最初は挑発者として、次に長期的な不正規戦を担う戦士になるよう訓練したのではなかったか。そして現在、停戦協議に一切動こうとしない。
それでもなぜウクライナは、より強大とされたロシア軍の介入を覚悟で、あえてドンバスで挑発に出たのか。「占領回復と再統合」だけでは説明がつかない疑問が残る。
インターネットのオルタナティブメディアで活躍するブラジルの国際問題評論家であるルーカス・レイロズ・デ・アルメイダは、「ウクライナが直接自分たちとの戦闘になるようにロシア軍を仕向けたのは、合理的でも戦略的でもない」としながら、「ウクライナの指導者たちは欧米から際限なく資金や武器の支援を受けることができると信じて、勝利に惑わされたのだ」(注10)と解説するが、それほどゼレンスキーは愚かだったのだろうか。
ウクライナはロシアを戦争に引きずり込む米国の戦略の「駒」として使われ、自国を「アフガニスタン化」して「罠」の役を演じさせられているのは疑いない。
少なくとも欧米主流メディアか氾濫させている「一方的な被害者」としてのウクライナ像は、正確さを欠いている。
(注1)26. 07. 2019「UKRAJINSKI AMBASADOR: Hrvatski scenario za Donbas」(URLhttps://www.novosti.rs/vesti/planeta.299.html:808493-UKRAJINSKI-AMBASADOR-Hrvatski-scenario-za-Donbas)
(注2)29 December,2021 「Ukrainian diplomat says Kiev is preparing for military confrontation with Russia」(URLhttps://infobrics.org/post/34878)
(注3)December 29, 2021「Plan “B” means “to flee”: Ukraine takes the Russian Federation to fear」(URL
https://lyricsweb.eu/2021/12/29/plan-b-means-to-flee-ukraine-takes-the-russian-federation-to-fear/)
(注4)February 1,2022「The DPR Announced the Completion of Kiev’s Development of a Plan of Attack in the Donbass」(URLhttps://www.oreanda.ru/en/v_mire/the-dpr-announced-the-completion-of-kiev-s-development-of-a-plan-of-attack-in-the-/article1409056/)
(注5)February 19, 2022「Donetsk secret service intercepts Kiev’s plan to attack Donbass」(URL
https://awoum.com/donetsk-secret-service-intercepts-kievs-plan-to-attack-donbass/)
(注6)January 20, 2022L「In Donetsk they assure that Ukraine plans “acts of subversion” in the territory of the self-proclaimed republic」(URLhttps://www.parisbeacon.com/32164/)
(注7)February 11,FEB11「Ukrainian intelligence, military prepare provocations in Donbass」(URL
(注8)January 14, 2022「CIA-trained Ukrainian paramilitaries may take central role if Russia invades」(URL
March 16, 2022「Exclusive: Secret CIA training program in Ukraine helped Kyiv prepare for Russian invasion」(URLhttps://news.yahoo.com/exclusive-secret-cia-training-program-in-ukraine-helped-kyiv-prepare-for-russian-invasion-090052743.html)
(注9)March 30th, 2022「Why the US and Nato have long wanted Russia to attack Ukraine」(URL
(注10)February 17, 2022 「Oversaturation of Ukrainian forces escalates security crisis」(URLhttps://news.yahoo.com/exclusive-secret-cia-training-program-in-ukraine-helped-kyiv-prepare-for-russian-invasion-090052743.html)
1953年7月生まれ。中央大学大学院法学研究科修士課程修了。政党機紙記者を経て、パリでジャーナリスト活動。帰国後、経済誌の副編集長等を歴任。著書に『統一協会の犯罪』(八月書館)、『ミッテランとロカール』(社会新報ブックレット)、『9・11の謎』(金曜日)、『オバマの危険』(同)など。共著に『見えざる日本の支配者フリーメーソン』(徳間書店)、『終わらない占領』(法律文化社)、『日本会議と神社本庁』(同)など多数。