【連載】沖縄の戦場化を断固拒否する(山城博治)

「南西」諸島を決して戦場にさせてはならない 「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」共同代表 山城博治さん

山城博治

2、対外脅威を煽り軍拡を進める政府自民党に抗して

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は明らかに侵略戦争であり、ロシア・プーチンに正義はない。一刻も早く停戦・撤収を図るべきだ。そうでなくこのまま戦線を拡大し戦闘を続ければ、NATO諸国の軍事支援は一層強化され戦線はいよいよ泥沼化する。

そうであればこそ米国を盟主とするNATO諸国はウクライナへの軍事支援一辺倒の政策をあらため、真剣にこの恐るべき悲劇を収束させる努力すなわちロシア・ウクライナの和平交渉を仲介しなくてはならない。ロシア・プーチンはウクライナのNATO加盟の断念と中立化を求めている。

折り合えない条件ではないはずだ。バイデン米大統領は最大級の言辞でプーチン批判を繰り返している。しかしそれはこの戦争を収める方向に働かずまさにその逆、戦争拡大を煽っているに等しい。それだけでなく世界中を憎悪で包み、際限のない軍拡へと引き込んでいる。日本の自民党政権などその典型でその言動が新たな脅威を生みかねない。

安倍晋三元首相ははじめとする自民党のタカ派有力議員の妄言とも言える暴言が乱発されている。第一次安倍内閣誕生以来その後の自民党政権は、対中国敵視政策を強めてきた。当初は「尖閣防衛」「離島奪還作戦」を強調した。

そして2020年に米国でバイデン政権が誕生して中国を最大の脅威と位置付け、中東におけるテロとの戦いから戦略転換するや日本政府は雪崩を打つかのように追随。南西諸島における自衛隊基地建設に一層拍車がかかった。

そして今年2月24日に惹起したロシア軍のウクライナ侵攻を格好の口実に怒涛の軍拡に乗り出そうとしている。先陣を切る安倍元首相の「台湾有事は日本有事」「敵の中枢攻撃能力保有」「核の共同管理」とする突出する軍拡論議がいさめられるのではなく、政権中枢をもその路線に引きずり込んでいる昨今の動きは極めて危険だと言わねばならない。

岸田文雄首相は総裁選挙の際から「敵基地攻撃能力の保有」について言及して首相就任後は射程1,000km以上の長距離ミサイルの研究開発にゴーサインを出した。そしてまた安倍元首相らの要請に応えるように防衛費の大幅増、6兆円当初予算編成に内閣挙げて取組む姿勢を見せている。

歯止めなき軍拡。安倍は憲法の縛りを「理想主義」と一蹴して顧みようともしない。

いよいよ安倍は持論である「戦後レジュームの解体」の仕上げに掛かろうとしているかのようだ。幾百万の尊い犠牲の上に築かれた日本国憲法の平和を求める精神が投げ捨てられ憲法9条が無きものにされようとしている。この夏に実施される参議院議員選挙こそその最後の攻防戦になることは必至な情勢だ。

全国の仲間の総決起でこの濁流となって溢れ出す改憲・軍国化への道を止めよう。

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山城博治 山城博治

1952年具志川市(現うるま市)生まれ。2004年沖縄平和運動センター事務局長就任。その後同議長、昨年9月から顧問となり現在にいたる。今年1月に設立された「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」共同代表就任。沖縄を「南西」諸島を戦場にさせないために全県全国を駆けまわって、政府の無謀を止めるため訴えを続けている。

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