【特集】沖縄の日本復帰50周年を問い直す

土地規制法と自衛隊の反戦デモ敵視 土地規制法廃止アクションネットワーク事務局   谷山博史さん

谷山博史

自衛隊教範と土地規制法の一致 

土地規制法の処罰の対象を思い出していただきたい。

自衛隊の教範や教育課程テキストと土地規制法には通底する市民活動観がある。土地規制法の処罰対象は安全保障関連施設の「施設機能の阻害行為」または国境離島の「国境離島機能の阻害行為」を現に行うものだけではなく、「その恐れがある」ものを含んでいる。

つまり市民活動は裏に「敵性活動」を行う「隠された本音」があるとみなして監視と処罰の対象とすることが前提なのである。

自衛隊の保全活動は反戦デモを初めとした市民活動に関して普段から情報収集活動を行う。土地規制法は注視区域・特別注視区域での「阻害行為」または「その恐れがある」市民活動を調査・監視する。

そして土地規制法では総理大臣が関係機関に個人情報を含む情報の提供を求めることができる。

すなわち自衛隊の保全活動を行う情報保全隊などが土地規制法の管轄機関である総理府と一体となって市民監視と市民活動規制の体制が作られるということを意味する。

私たちは、自衛隊の市民監視・個人情報収集や、土地規制法による市民の調査・監視が表現の自由やプライバシー権を保障した憲法に違反するものだということを認識する必要がある。2016年の自衛隊情報保全隊による国民監視の差し止めを求めた訴訟の控訴審ではプライバシーに係る情報の収集、保有は違法との判決がなされている。「(同原告への)プライバシーに係る情報の収集、保有は違法」と断じた。

土地規制法についてもプライバシー権の侵害と表現の自由への侵害するものであり廃案を求める必要がある。

また、自衛隊の言葉を用いて言えば、法が廃止されるまでの間、この法律が市民の人権を侵害できないようできうる限り「無力化」する必要がある。

土地規制法が全面施行される今年の9月までの間に「阻害行為」の事例などが示される基本方針や規制区域や調査対象に関わる政令の規定から、市民活動に関わる規制を除外させるべく政府・国会やメディアに訴えていかなければならない。

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谷山博史 谷山博史

土地規制法廃止アクションネットワーク事務局、日本国際ボランティアセンター (JVC)前代表/現顧問、市民社会スペースNGOアクションネットワーク(NANCiS)コーディネーター)、日本イラク医療支援ネットワーク(JIM-Net)顧問著書に「『積極的平和主義』は紛争地に何をもたらすか?!」(編著、合同出版、2015年)、「非戦・対話・NGO」(編著、新評論、2017年)、「平和学から世界を見る」(共著、成文堂、2020年)など多数。

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